プライバシーに関心の低かった私がプライバシーテックベンチャーでの挑戦を臨んだ経緯
こんにちは。2023年3月よりAcompanyで事業開発を担当している橋村洋希(はしむらひろき)です。
Acompanyは、プライバシー保護とデータ活用の両立を支援するプライバシーテック企業です。グローバルレベルで見ても希少性のある独自技術:秘密計算エンジンを活用し、世の中のプライバシー課題の解決を目指しています。
(秘密計算については、弊社の記事を本末尾に載せております)
プライバシー課題に対してあまり関心が無く、むしろ自チームや担当案件に対してISMS内部監査を求められた時は受身的に対応していた私ですが、プライバシーテックの社会実装という当時のスタンスとは真逆な環境に身を移すに至った背景や思いについて、簡単ですが書いてみました。
現在プライバシー保護やプライバシーテックにご興味ない方でも、ディープテック(≒社会課題を解決する技術)たるプライバシーテックの可能性や魅力について、少しでもご認知いただけますと嬉しいです。
toS(Society)思考
昨今、自身における取組テーマを社会課題の解決と置いています。
この取組テーマに対して、後付けられるような綺麗なストーリーは正直無いのですが、toB/toC問わず皆が共通して抱える課題に対してリーズナブルな解決策を提供することができれば、シンプルに1社/1人でも多くの課題を解決することができ、その可能性に挑戦したいという思いから、個人的に社会課題と捉えている領域の解決を目指して仲間と日々奮闘中です。
Acompanyにジョインする前は、AIベンチャーのエクサウィザーズにて事業開発を担当していました。エクサウィザーズではAIを起点にした社会課題解決に向けて、当時個人的に掲げていたテーマであったDX黎明期業界への貢献(業界初となるAI活用の成功事例創出)や地域創生事業の創出(地方の労働生産性向上に向けた仕組み作り)を中心に様々な案件に携わり、微力ながらもAI活用を含むDX推進のユースケース創出に取組させていただきました。
エクサウィザーズで社会課題解決に取組みたいと考えるに至った背景は、その前に在籍していたアクセンチュアにて大手企業向けコンサルティングに従事する中、それらの経験を、多くの資本やリソースを有する企業に限らず、その他ユーザー/ステークホルダーを含む社会が抱える課題に対して応用したい気持ちが高まっていたからです。
前職でコミットしたかった目標については、チームメンバーやクライアントに恵まれ幸いにも具体的に形作ることができ、何よりクライアントから感謝のお言葉をいただき喜びを感じていた中、別視点での社会課題を認知し始めていました。
根深いプライバシー問題
1つ目のきっかけとしては、前職で担当していた地域創生事業に関するプロジェクトで直面したプライバシー対応です。
当取組はプレスリリース前のため詳細は非開示とさせていただきますが、クライアントであったエネルギー会社や金融機関の保有する顧客基盤を活用した地域特化型ビジネス情報プラットフォーム構築プロジェクトにおいて、個人情報の蓄積・管理・活用におけるプラットフォーム利用ユーザーからの同意取得や利用規約・プライバシーポリシーの内容・表示方法が論点となり、クライアントの他に弁護士や開発チームを交えてデータの処理ロジックや活用範囲の精査・検証を繰り返す中、データ活用事業においてプライバシー対応は避けて通れない取組であること、またそのプライバシーリスクを回避できない限りサービスを提供できない(社会に価値を提供できない、企業や消費者のお役に立てない)ことを再認識しました。
当取組においては、クライアントの法務部や弁護士の協力を得て何とか利用規約やプライバシーポリシーを詳細化することでGo判断を得られましたが、仮に文書修正以上の対応が必要な場合、サービスや技術基盤の構造的な見直しが必要となり、結果として事業計画の遅延・業績影響を及ぼすことにもなりかねず、データ活用施策におけるプライバシー対応の重要性とその課題(サービス企画段階から取組むための対応工数やスキルセットの必要性)を肌で感じました。
また2つ目のきっかけとして、上述の地域創生事業に関連して地方創生文脈でよく挙げられるスマートシティやスーパーシティを簡易調査したところ、あまり目立った成功事例を創出できていない主な理由がプライバシー問題(合意形成、意識改革、プライバシー保護)であることを認知し、事業主に限らず地域住民にとっても根深い社会課題であることを知りました。
プライバシー≒サービスの根幹
1年前の私だと、プライバシー対応というキーワードに対して、どちらかというと地味で守り意識の取組といったイメージを持っていました。
ですが自身の経験や社会動向を踏まえ、プライバシーが適切に保護されていなければ、我々が享受できるサービスレベルが低下し利便性が損なわれ、事業主も新たなサービスを生み出せない状況に陥ることを再認識し、プライバシー対応を社会課題として捉えるに至りました。
データ活用施策(サービス)を、かなり強引ですが人の身体に例えると、サービス戦略≒頭、活用するデータ≒血液、サービス提供手段/アプローチ≒手足、サービス基盤≒胴体で、プライバシー対応≒そもそも人が呼吸できる状態にあること(脳が働き、血液を体隅々まで流し込み、体を動かすことができる状態)というイメージでしょうか。
プライバシー対応をそのように視点を変えて捉え直すと、皆が苦労し工数をかけて対応することが当たり前となっている常識に対して代替ソリューションを提供することは、イノベーションでありチャレンジするに値する領域であると考え始めました。
そしてAcompanyへ
Acompanyへの入社は、プライバシーソリューションを提供している他社と比較して検討したわけではなく、現COO佐藤さんが前職の先輩でもあったことから、自身の課題認識と合わせて定期的に会話する中で決断しました。
とはいえ、事業内容やチーム、タイミングについても勿論考慮しました。
事業内容:何をやるか
これは上述の通り、プライバシー課題に対するソリューションは社会的な意義が大きいと考えるからです。
現時点でまだ可能性が社会に認知されていない領域で、事業主のほかに自治体、医療機関、政府機関等と協業したソリューションの開発・提供を、プライバシー課題という具体的な社会課題に対してダイレクトに取組む。
それは魅力的である一方、”そんなこと本当にできるの?”といった期待/重圧ものしかかってきますので、プレッシャーをいい具合に楽しみつつ皆の期待に沿うべくチャレンジしたいと考えました。
チーム:誰とやるか
Acompanyではコアバリューとして「Be Cool」「Be Hacker」を掲げており、私を含めチームメンバーがこれに共感している点と、入社前から社内メンバーとの交流を通してチームの思いや雰囲気を理解でき、一丸で社会課題解決を目指したく思いました。
タイミング:なぜ今なのか
あらゆる業界/領域でデータ活用が隆盛する中、プライバシー保護規制トレンドもあり、プライバシー保護やプライバシーテックの可能性が注目され始めていますが、市民権を得るまではまだ時間がかかります。
故に、0→1でイノベーションを生み出すことにチャレンジでき、自分達の貢献が社会に浸透していく様子を視認することができるタイミングであると考えました。
加えて、実証実験など案件も増えて社内リソースが不足する中、少しでも社内外に貢献したいという思いも重なり、本タイミングでのジョインを決断しました
Acompanyで成し遂げたいこと
様々な業界/領域でプライバシーデータ/機密データ活用とプライバシー保護のトレードオフ状態を解消させ、攻め(事業主の提供するサービスの利便性や価値の追求)と守り(プライバシー保護)を両立する仕組みを構築したいと考えています。
馬車→自動車、携帯→スマホ、ラジカセ→ウォークマン並のイノベーションをプライバシー領域で創出し、プライバシー対応の最適化に貢献することができると理想です。
[参考]プライバシーテックが注目されている背景
世の中のデータ活用課題とプライバシーテックの可能性に関する記事も昨日公開しておりますので、ご興味ある方はぜひご覧ください!
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