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僕はネギと玉ねぎを一生克服できないだろう

小さい頃はナポリタンが嫌いだった。
当時の嫌いな野菜ランキングは1位長ネギ、2位玉ねぎ、3位ピーマンだった。
上位3位のうち、2種類もの野菜が使われている料理が好きなはずがない。
しかしそれから時は経ち、今やピーマン嫌いとは言えなくなっているだろう。
ネギと玉ねぎは相変わらず嫌いだし、できれば食べたくないのだが、ピーマンに対する苦手意識はすっかりなくなってしまった。

ピーマン、と言えば子供の嫌いな野菜ランキングでは常に上位を争う野菜だろう。しんのすけもピーマンが食べられず、よくゲンコツをくらっている。ピーマンが子どもの嫌いな野菜の代表であるといえるだろう。

玉ねぎとネギが嫌いな理由は、他の素材の香りを打ち消すような独特の臭気と、口に含んだ食感だ。粘度の高いスープに溶けているような玉ねぎは食べることができるが、野菜サラダに含まれる生タマネギなんかは最悪だ。もはやタマネギの香りしかしない。鍋に入っているトロトロの長ネギも嫌いだ。噛もうとすると歯と歯の間からスルりと逃げるような感覚や、噛んだ瞬間の繊維がじわじわと口の中に染み出してくるような感覚が苦手なのだ。

玉ねぎが嫌いな理由は香り、長ネギが嫌いな理由は食感なのだろう。そしてこれらの嫌いな理由はピーマンが嫌いな理由と根本的に異なる。ピーマンが嫌いな理由の第一位は圧倒的にその「苦味」にある。香りや食感が嫌いな人もいるだろうが、「苦味」に対する拒否感の方が強いだろう。「苦味」を苦手とするのは動物の根源的な性質だ。

つまりピーマンが苦手だということは、動物の本能に対して忠実な結果であり、玉ねぎやネギが嫌いな理由とはレイヤーが異なる。

苦手な理由が、一方が動物としての本能に近い部分にあるのに対して、もう一方はパーソナルな部分にある。この違いが大人になった時に嫌いな野菜が克服されるか否かの違いになるのではないだろうか。動物的な本能が鈍化されるか、もしくは経験則としてピーマンは食べても大丈夫なんだと学習することによってピーマンを克服していく。玉ねぎとネギに関しては、自分の趣味・趣向によるところが大きく、それはなかなか変化しない。

このように考えると、僕は一生玉ねぎとネギを克服できない気がする。嫌いなものは嫌いだ。ピーマンを食べられるようになった結果、昔ほどナポリタンに対する苦手意識はなくなったが、やはり玉ねぎが気になってしまう。

だから自分で作るときは玉ねぎ抜きナポリタンをよく作る。ピーマンの適度な苦味は味のアクセントとなるし、見た目もケチャップとのコントラストが良好で華やかになる。ピーマン嫌いを克服したことでナポリタンに対する解像度が上がった。玉ねぎの良さを理解できればより美味しいナポリタンと出会えるのだろうか。

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