#42 I LOVE KOBE
このnoteにも度々綴っているのでお気付きの方もいらっしゃると思いますが、神戸が割と好きである。2ヶ月に1回くらいの頻度で神戸に足を運んでいる。
割と頻繁に通っているが、何か用事があるわけではない。京都市に居ると、不意にあの山と海と港町が恋しくなる、ただそれだけのことなのです。
その“なんとなく神戸好き”が高じて、この8月の3日と14日。中10日という短いスパンで神戸に行った。
その時の様子です。ちょっとした自分的な発見もあったので備忘録です。
宜しければお付き合いください。
***
2024年8月3日。
新しくなった家の車の性能を確認するために高速道路を運転する必要があり、どうせ高速に乗るならと行き先に神戸を選んだ。
神戸に到着すると、いつものように『神戸ハーバーランドumie』の駐車場に車を停め、神戸元町商店街、南京町を経由して神戸・三宮センター街まで宛てもなく歩いた。
普段南京町くらいまで歩くことはあるが、三宮周辺まで足を伸ばしたのはいつ以来だろう。
友人と庵野秀明監督の『ラブ&ポップ』を三宮の映画館で観た記憶まで遡る——いや、もしかしたら当時お付き合いしていた彼女と東急ハンズ三宮店に行ったアレが最後だったかも。
いずれにしても1998年とか1999年の話だ。
私が初めて三宮を訪れたのが既に震災後だったのと、ドライブの際、車窓から少しずつ変わりゆく街の様子を眺めていたからか、それなりに長い時間が経過したが、それほど街に変化はないように感じた。
しかし、三宮の再整備は始まっている。これから私の知っている景色が加速度的に塗り変わってしまうと思うと少し寂しい。
さて散歩だが、神戸元町商店街には八百屋が多くあることに驚いた。どこも安かったので、まるで「この辺りに住んでます、お夕飯は何にしようかしら」という顔つきでトウモロコシやアスパラガス、オクラや空芯菜を買い、エコバッグをぶら下げて歩いた。
南京町を過ぎたあたりで『さんちか古書大即売会』のポスターを見かけ、さんちか3番街のさんちかホールで古本市が開催されていることを知った。
そこに古本市の類がやっているなら寄らずにいられない性分。早速さんちかホールに向かった。
そしてその『さんちか古書大即売会』で私にとってちょっとした出会いがあった。川西英さんの版画である。
川西英さんは1894年に兵庫に生まれ、70歳で生涯を閉じるまで神戸を離れることなく創作版画で活躍された版画家です。
愛する神戸の風景を独自の作風で作品に昇華され、『神戸百景』という連作を出版されました。
何かの包装紙や商品パッケージの印刷物や単体で作品自体は見かけたことはあるものの、恥ずかしながらその日まで川西英さんという作家を存じ上げておりませんでした。
(そういえば、さんちかホールに
向かう途中に通った神戸・三宮センター街を飾る巨大ステンドグラスも川西英さんの神戸百景の『港俯瞰』と『背山眺望』という作品の復元でした。)
地元で開催されている古本市だからか、神戸関連の書籍や作品が充実しており、その『神戸百景』も販売されていました。ページを捲った瞬間から、半世紀以上昔のモダンでエキゾチックな神戸の街の様子が生き生きと表現されており、すっかり魅了されてしまいました。
神戸市作成のこちらのサイトは川西英さんの版画と現在の街の様子を比べることができ、作品がより身近に感じられるのでオススメです。
「この街が持っている新鮮さ、明るさ、異国情緒といったものに感謝したい」
生前そのように常々語られたそうですが、本当に瑞々しく神戸が感じられ、大変素敵な画集でした。
一目惚れした画集を手に入れたいところでしたが、「今知ったばかりの作家の本をもう購入するのか?」という冷静なもう1人の自分の問いかけにブレーキがかかり、結局ドビュッシー関連のCD2枚に村上春樹訳レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』のハードカバーを購入(締めて1000円)。古本市を後にしました。
しかし、今になって『神戸百景』を買わずに帰ったことを後悔しています。
この後は同じくさんちか3番街の『SJ KOBE』で輸入食材を買い、『イスズベーカリー元町店』で明日のパンを購入しました。
駐車場に戻る道すがら、『神戸港ウィークエンド花火』が上がっていたので、クライマックスシーンの動画をアップします。
阪神高速3号神戸線の下を歩いていると花火の音が聞こえはじめ、花火が見えた時がちょうどクライマックスでした。5分間の花火の最後の1分間を歩きながら見ることができました。ラッキー。
***
2024年8月14日。
10日前の訪問と違って、今度は目的がありました。兵庫県立美術館で開催の『描く人、安彦良和』展です。
もうね、たまらないんです。
シリーズの生みの親として知られる富野由悠季監督、モビルスーツなどのデザインを手がけた大河原邦男さん、そしてキャラクターデザインを担当した安彦良和さん。
これで2019年に同じく兵庫県立美術館で開催された『富野由悠季の世界』と2016年佐川美術館の『大河原邦男展』に『描く人、安彦良和』を踏破。ガンダム三巨頭展を完全制覇です。
中でも安彦良和さんの画力は本当に凄まじい。近年でも『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』や、つい最近まで講談社アフタヌーンで連載されていた 『乾と巽 ―ザバイカル戦記―』など現役バリバリでエネルギッシュで圧倒されます。
そんな安彦先生の学生時代の勉強ノートや漫画から近年の仕事までが回顧できる展覧会は、その仕事を年代ごとに辿ることができて興奮しっぱなしでした。
図録はもちろん、『描く人、安彦良和グラス』も購入してしまいました。図柄が『アリオン』なんだけど、氷いっぱいに緑茶を並々注ぎ、小学生の頃、母と妹と確か渋谷の映画館に『アリオン』を観に行ったことを思い出しながらしみじみ飲みました。
兵庫県立美術館『描く人、安彦良和』の後はお約束の『神戸ハーバーランドumie』の駐車場に車を停め、散歩。
『イスズベーカリー元町店』を再訪。前回古本市の後に偶然立ち寄ったのだが、トレロン、タルタルフィッシュ、Painスイス-Walnut Raspberry-が気に入ったのだった。
安彦良和展に元町散歩とイスズベーカリーの三本立てに満足し、帰り道に芦屋市の『潮芦屋温泉 SPA水春』に寄りました。
サウナ・水風呂4セットに露天風呂、食堂で台湾ラーメンを食べ家路に着いたとさ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?