初めての第九

　「今度、第九歌うんだけど、聴きに来る？」

　娘から誘いがあった。地元の大学の定期演奏会に、合唱団として参加し、第九を歌うのだそうだ。

「もちろん！」

　合唱を聴くのは、私の楽しみの一つだ。夕方からあるとのこと、夕ご飯の準備だけして、出かけた。
　最初は、オーケストラのみの演奏だった。オーケストラの演奏も良くて、久しぶりに音楽を堪能した。心地よくて、こんなん無料で聴いていいのかなあ、と思ったくらいだ。第一部、第二部と終わり、最後にいよいよ第九の演奏だ。オーケストラの後ろに、合唱団が並ぶ。ほとんどが高校生の若い合唱団だ。娘の姿を見つけ、心の中で声援を送る。
　年末になると、お馴染みの第九だが、私は今まできちんと聴いたことがなかった。今回、生演奏で聴く機会を与えてくれた娘に感謝だ。オーケストラに、合唱が合わさった時の気持ちよさ…全身を音に包まれるというか、なんともいえない心地よさがあった。高校生、大学生すごいなあ、と本当に感動した。演奏を終えた娘も、

「オーケストラと一緒に歌えるなんて、いい経験したよ。気持ちよかった！」

と、喜んでいた。私も幸せな時間をありがとう。