やせる、やせない
まだ子どもたちが小さかった頃、フェリーに乗った時のはなし。
その時、娘は小学生、息子はまだ保育園児だった。フェリーの売店でソフトクリームを買って食べた。私は食べ終わったカップを捨ててくるように、息子に言った。息子は、ごみ箱を探してウロウロしていたが、カップを持ったまま、私のもとへ戻ってきて、不思議そうな顔でたずねてきた。
「このカップは、やせるごみ?やせないごみ?」
(・・・?)
ソフトクリームのカップだから、どちらかと言われたら、やせないごみ?そもそも、ごみでやせる、やせないってあるのか?
考えてもわからない。息子と一緒にごみ箱の前まで行った。
「燃やせるごみ」
「燃やせないごみ」
なるほど。漢字の読めない息子には、「やせるごみ」と「やせないごみ」に見えたのだ。息子には、
「やせるごみに捨てておいで。」
と、伝えた。
それからしばらく、ごみを捨てる度に、やせるかやせないか、想像していた。いちばんやせそうなごみと、やせなさそうなごみってなんだろう…?