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苦手でごめん

 職場で苦手な後輩がいた。彼女は、少し前に違う部署に異動になった。私は内心ほっとしていた。やはり、苦手な人と関わるのはちょっとしたストレスになる。彼女と話すと、なんだか落ち着かないのだ。まあ苦手だからしかたがない。けれど、彼女は一部の人を除き、ほとんどの人から評判がいい。多くの人からは、

「いつもがんばってる。」
「やさしいよね。」
「丁寧だよね。」
などと言われている。

一部の人からは、

「自分本位だ。」
「丁寧な言葉の裏に棘がある。」
「頑固だ。」
などと言われている。

このふたつの評価は全く違う人の評価のようだ。

私が感じる彼女への印象は後者に近い。彼女はやたらと会話の中に、よくある褒め言葉の「さしすせそ」を挟んでくる。
「さすがです。」
「知らなかったです。」
「すごいです。」
・・・苦手だ。本音がわからない。

 彼女がトーンの高い声で、優しげに患者様に話しかける、その内容が優しくなかったところを何度か目撃した。それ以前から、なんとなく違和感を感じていたが、それ以来信じられないのだ。口調は荒くても、行動や内容が優しい人を私は信じる。


 その彼女と最近また関わらないといけない仕事が出てきた。私にとって、ちょっとしたストレスになる。気が重い。彼女と話すと、とても疲れるし、そんな自分のことも嫌だなと思ってしまうのでなお疲れる。彼女はいつも笑顔で話してくれるのだが、その裏を考えてしまう自分が嫌になる。彼女に対して負の評価をしてしまう私は少数派だ。まだしばらくの間は、彼女と関わる仕事は続きそうだ。なーんとなく気が重い。
 でも、私のこういう気持ちは相手にも伝わる気がする。私が気が重い分、彼女も気が重いかもしれない。彼女から好かれている気はしないから。ごめんね。

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