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図書館で24万円分の本を借りる

先日子供達と図書館に行った時『図書館の人たちって誰にお金もらってるの?もしかしてお金もらわないで働いてるの?』と言われた。

なるほど。そういえば税金の仕組みなんて子供達に説明したことがなかった。
図書館では入場料も、レンタル料も取られないのに、どうやって働く人たちのお給料が賄われるのか、至極当然の疑問である。

子供達にこれを聞かれた時に、私は改めて図書館を利用することの金銭的なメリットについて考えてみた。

図書館法第17条で『公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価も徴収してはならない。』と定められている。これは1945年、戦後アメリカの指導のもとで再出発することになった日本が1950年に制定したものである。
誰にでも無料で開かれた図書館の歴史は意外とまだ短い。

単純に『タダで本が読めてお得♪』というのは、もちろんなのだが、これについては現在の日本では当たり前になりすぎて今更、日頃図書館を利用しない人が積極的に図書館を利用するキッカケにはならない気がしている。

でも本来、タダで本が読めるってすごいことだと思う。

東京都の令和5年度の図書館の予算(人件費を除く)は42,243,796,000円、約420億円。
※令和5年度 東京都公立図書館調査より

現在、東京都の人口は約1400万人。

420億円➗1400万人🟰3000円

実際には、こんな単純な計算は成り立たないと思うが、軽い気持ちで見て欲しい。
東京都の図書館予算を東京都の人口で割ってみると、1人あたり年間約3000円となる。

図書館を一度も利用しなければ、3000円はただ税金として納めただけでなんの恩恵も受けられない。

私は図書館で月に平均20冊程度の本を借りる。

書籍代はまちまちだけど、仮に1冊1000円とすると、1000円✖️20冊✖️12ヶ月🟰24万円となる。

3000円で24万円分の本を読ませてもらえると考えると相当ありがたい。

更に言えば何度も読む本というのは限られているのに、全てを購入していたら場所もとる。(電子書籍もいいが、ずっと読んでいると目が痛くなるので)
極端な話だが自宅に本が多過ぎて、そのために広い部屋に住んだり、レンタル倉庫を借りたりすることを考えると、その費用まで図書館は賄ってくれていることになる。

例えばKindle Unlimitedでは電子書籍が読み放題で月額980円、年間1万1760円だが、先ほどの3000円と比較すると、単純に値段の差だけでなく、Kindle Unlimitedの1万1760円は課金するかどうか自分で決められるが、3000円は有無を言わさず既に払ってしまっているものだ。既に払っているのなら、利用した方が良いに決まっている。
※もちろんKindleならではの利便性や、ここでしか読めないものが読めるメリッがKindle Unlimitedにはある。ちなみに私はKindle本で読みたいものがある月だけ課金している。

本を読むことで、学校の勉強だけでは得られない人生にとって大切な何かを学ぶことができると私は思う。『何か』は人によって違うから、『何か』がなんなのかは説明できない。

もしかしたら、この『何か』が明確でないことが、本を読まない理由になっている人も多いのかもしれない。インターネットですぐに答えが出せる時代に不確かな『何か』を学ぶために、何冊も本を読むというのは、一見効率が悪く見える。

でも、すぐに答えが出ずに何冊も読んで考えるからこそ得られる『何か』が絶対にあると私は確信している。

日本の教育格差は学校外で生まれているというデータがある。

文部科学省が発表した、令和3年度子供の学習費調査によると、学校外活動費(自宅学習や学習塾.家庭教師、体験活動や習い事などの経費)は、世帯の年間収入が増加するにつれておおむね支出が増加する傾向がみられると言う。

義務教育は誰もに平等に与えられているが、実際には学校外活動、つまり塾や習い事、その他の体験等で、義務教育時代から教育格差は生まれている。

私は図書館を正しく利用することが出来れば、教育格差の是正にも一役買えるのではないかと思っている。

幼少期の図書館利用に際しては、親の同伴が必要であり、親が図書館に連れて行くかどうかによって子供の利用の有無は決まってしまう。
幼少期から学童期に図書館を利用していない子供は1人で利用できる年齢になっても、積極的に図書館に行こうという発想が出てこないかもしれない。

情報も娯楽も少なかった時代ならば、それらを求めて図書館に行くという流れがあったかもしれないが、情報も娯楽も溢れる現代において、読書習慣のない若者が、その為に図書館を訪れるととは考えにくい。

つまり、毎週のように図書館を利用する人と人生の中でほとんど利用したことがない人という二極化が起きているのではないかと思う。

年間24万円分の本(あるいはそれ以上)を読めるサブスクだと思えば、図書館を利用しない手はないと思うのだが。

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