毒親 第24話 禁断の夜
第24話 禁断の夜
リナの入院生活が始まり、家の中のバランスが大きく変わった。サキはリナの代わりに家事を手伝い泊まり込みで、ユイの世話も献身的に行った。カイにとっては頼もしい存在でありながら、次第にその存在は特別なものへと変わりつつあった。
ある晩のこと。
ユイが眠りにつき、家の中が静けさに包まれる中、カイは一人リビングでビールを片手にぼんやりとしていた。すると、キッチンからサキがやってきて隣に座った。薄手のパジャマ姿で、肩口がほんの少し見えていた。
「カイさん、疲れてるみたいだね」と、サキが気遣うように声をかけた。
「まあね。リナのことが心配でさ。退院の目処もまだ立たないし…」カイは深くため息をつきながら答えた。
サキは黙ってうなずき、しばらくの間、沈黙が流れた。しかし、その沈黙の中で、カイは彼女の近さに心がざわつくのを感じていた。いつの間にか、彼女をただの義妹として見ることができなくなっていた。
「サキさん…君がここにいてくれて、本当に助かってる。ありがとう。」カイがそう言うと、サキは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに優しい笑顔を返した。
「私ができることなんて、ほんの少しだよ。でも、お兄さんが頑張ってるのを見ると、私も力になりたいって思う。」
その言葉に、カイの胸が締め付けられるような感情が湧き上がった。彼女の目に映る真っ直ぐな気持ちが、どうしようもなく心に響いた。
「サキさん、俺…最近、自分がどうかしてる気がするんだ。君がいなかったら、俺はもっと…」言葉を探しながら、カイはサキの手をそっと取った。
「カイさん…」サキは動揺したように顔を伏せたが、手を引くことはなかった。「そんなこと言わないで。私たち、こんなことしちゃ…いけないよ…」
「分かってる。でも、もう抑えきれないんだ。」カイは真剣な表情でサキを見つめた。
サキもまた、彼の目に何かを感じ取ったのか、ゆっくりと顔を上げた。その瞬間、二人の距離が一気に縮まった。カイが彼女の頬にそっと触れ、サキは目を閉じた。次の瞬間…!?
その夜、二人は禁断の一線を超えてしまった。甘く、激しい感情が渦巻く中で、カイとサキは誰にも知られてはならない秘密を共有することになった。
翌日、サキは普段通りに朝食を用意し、ユイを学校に送り出した。しかし、その目にはどこか迷いと不安が宿っていた。一方のカイもまた、昨夜の出来事を振り返りながら、自分が犯した罪の重さを感じていた。
「サキさん、昨日のことは…」朝食の席でカイが切り出そうとしたが、サキは慌てて言葉を遮った。
「言わないで、お兄さん。昨日は何もなかった…。」サキの声は震えていた。
しかし、二人の間に芽生えた感情が、そう簡単に消えるはずがなかった。その日から、家の中には見えない緊張感が漂い始めた。ユイが無邪気に遊ぶ姿を見るたびに、カイとサキは胸の痛みを感じた。
つづく