7秒タイムマシン 第21話 娘を追って未知の世界に足を踏み入れたレンとエミリ
第21話 娘を追って未知の世界に足を踏み入れたレンとエミリ
レンとエミリは不安と緊張に包まれながら、未知の世界に一歩踏み出した。彼らが目の前に見た景色は、まるで夢の中にいるかのように現実離れしていた。空には奇妙な色合いの雲が漂い、地面には見たこともない植物が生い茂っていた。人々は彼らに見向きもせずに歩き続けているが、その服装や言葉は全く聞き覚えのないものであり、レンとエミリはここがどの時代なのか見当もつかなかった。
「エミリ、大丈夫か?」レンはエミリの手をしっかりと握りながら、周囲を警戒していた。
「うん、大丈夫…でも、どこにいるのか全然わからない…」エミリは困惑した表情で辺りを見回した。「アヤカもここにいるのかな?」
「分からない、でも探すしかないだろ!」
「まずはこの場所を理解しなきゃならない。」レンは、父のノートに書かれた内容を思い出しながら言った。「7秒間で戻れない以上、アヤカもこの時代に留まっているはずだ。どこかにいるはず…。」
二人は未知の街を歩き始めた。周囲の人々は、二人の存在に気づいているのかいないのか、全く関心を示さなかった。しかし、建物や風景がますます異質に感じられる中で、レンは一つの疑問が頭をよぎった。
「エミリ、俺たちは本当に同じ時代に来たのか?」
エミリは驚いたようにレンを見た。「どういうこと?」
「この世界が俺たちの知っているどの時代とも違うということだよ。まるで別の次元や異なる現実に来たみたいに感じる…」
その言葉を聞いたエミリはさらに不安になったが、すぐに自分を奮い立たせた。「それでも、アヤカを見つけ出さなきゃ。どこにいても、何があっても、絶対に見つけるんだから!」
レンはエミリの強い意志に感動し、再び歩き始めた。しばらく歩いた後、二人は一つの大きな広場にたどり着いた。そこには、巨大な石のモニュメントがそびえ立ち、その周りには様々な人々が集まっていた。
「ここは…?」レンはモニュメントに目を奪われた。そこには不思議な文字が彫られており、彼には全く理解できなかった。
その時、一人の年配の男が二人に近づいてきた。彼の服装は古風でありながらも、どこか未来的な要素も感じさせた。男は二人に穏やかな笑顔を向け、話しかけてきた。
「あなたたちは、異なる時空から来たようですね。」男の声は落ち着いていたが、どこか神秘的な響きを持っていた。
「ええ、そうなんです。娘を探しています。アヤカという名の少女を見ませんでしたか?」レンはすぐに尋ねた。
男はしばらく考え込むように目を閉じた後、再び目を開いた。「その少女は、こちらに来ているかもしれません。だが、ここは彼女が行くべき場所ではないかもしれない。」
「どういう意味ですか?」エミリが焦った声で尋ねた。
男は静かに答えた。「この世界は、過去でも未来でもない…ここは、時の狭間に存在する場所。ここに来る者は、迷子になった時空の旅人。だが、全ての者が無事に戻れるわけではない。」
レンとエミリは互いに顔を見合わせた。事態はさらに複雑で、危険なものに思えた。だが、それでも諦めるわけにはいかなかった。
「どうすれば、アヤカを見つけて戻ることができますか?」レンが真剣な表情で尋ねた。
男は深いため息をつき、指をモニュメントの一部に触れた。すると、そこに隠された何かがゆっくりと現れ始めた。それは、光り輝く道のようなものだった。
「この道を進みなさい。この先に答えがあるかもしれません。ただし、注意しなさい。道の終わりには、試練が待っています。それを乗り越えなければ、戻ることは叶わないでしょう。」
エミリは涙をこえてレンの腕を強く握りしめた。「レン…私たち、できるかな?アヤカは、どこにいるのよ…ウッウッ…お願い早く出てきてよ…アヤカー!」
レンはエミリの手を握り返し、決意を込めた目で答えた。「できるさ。必ず、アヤカを見つけて一緒に帰ろう。」
二人は、光り輝く道へと足を踏み入れた。どんな試練が待ち受けているかは分からなかったが、家族を救うために進むしかなかった。
つづく!
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