７秒タイムマシン　第25話　家に戻ったつもりが異なる次元に！？

第25話　家に戻ったつもりが異なる次元に！？

しかし、戻ってきたと思ったその瞬間、レンとエミリは奇妙な違和感に気づいた。確かに家の部屋に戻ってはいたが、周囲の様子が微妙に異なっていたのだ。壁に掛けられている写真や家具の配置が変わっており、何よりも窓の外に広がる風景が、彼らが知っているものとは違っていた。

「これ…私たちの家じゃないの？」エミリが戸惑いの声を上げた。

レンも驚いて窓の外を見た。見知らぬ街並みが広がっており、空には二つの月が浮かんでいた。「これは一体どういうことだ…？」

アヤカが不安そうに二人のそばに寄り添った。「パパ、ママ、ここはどこ？」

レンはアヤカを安心させるように抱きしめ、冷静さを保とうとしたが、心の中では焦りが募っていた。「わからない。でも、私たちはまだ元の世界に完全に戻れていないみたいだ。」

エミリはタイムマシンに目を向けた。「もしかして、このタイムマシンが誤作動を起こして、別の世界に飛ばされたのかもしれない。戻る方法を探さなきゃ。」

レンはエミリの言葉に頷き、タイムマシンの操作パネルを再確認した。しかし、画面には見慣れない文字が流れており、操作方法が全く理解できなかった。「このままではどうしようもない…他の方法を考えないと。」

その時、部屋のドアが開き、見知らぬ女性が現れた。彼女はレンたちを見ると驚いた表情を浮かべたが、すぐに冷静さを取り戻し、落ち着いた声で話しかけた。「あなたたちは、どうやらこの世界の住人ではないようですね。ここはルーメアと異なる次元に存在する『アルケン』という世界です。」

レンとエミリは顔を見合わせた。「アルケン…？」

女性は静かに頷いた。「そうです。アルケンは、いくつもの次元が交差する場所であり、時間や空間が不安定になることがあります。あなた方はおそらく、その影響を受けてここに来てしまったのでしょう。」

エミリが不安そうに質問した。「どういう事？…どうすれば、元の世界に戻れるんですか？」

女性はしばらく考え込んでから答えた。「アルケンの中でも特に強力な力を持つ者に相談する必要があります。彼らは次元の歪みを修正し、あなた方を元の世界へ戻す方法を知っているかもしれません。ただし、それは容易なことではありません。」

レンは決意を固めた表情で頷いた。「どんな困難があっても、必ず元の世界に戻るために全力を尽くします。」

女性は微笑み、レンとエミリ、そしてアヤカに手を差し出した。「では、私が案内します。まずはアルケンの中心にある『光の塔』に向かいましょう。そこに強力な力を持つ者がいます。」

三人は不安と希望が入り混じった気持ちで女性に従い、アルケンの不思議な世界を進んでいった。見たこともない風景や生き物が広がるこの世界で、彼らは再び家族としての絆を深めながら、元の世界に戻るための新たな冒険を始めるのだった。

つづく