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毒親 第45話 美和の罠とサキの決断

第45話 美和の罠とサキの決断

翌朝、家の中はいつも通り静まり返っていたが、その裏では不穏な空気が漂っていた。美和は自分の部屋で新たな策を練り、サキを追い出すための次の一手を考えていた。

「サキをあの家から追い出すには、彼女の弱点を突くしかない。」
そうつぶやくと、美和は机の上に並べられた資料を見つめた。その中には、サキの過去のトラブルや、不良時代の痕跡が克明に記されているものも含まれていた。

「これをカイに見せれば、あの子を信じる気持ちなんて簡単に崩れるわ。」
美和は冷たい笑みを浮かべながら、封筒に資料を詰め込み始めた。

一方、サキは朝食の支度をしていたが、その表情には疲れと決意が入り混じっていた。昨夜の怒りがまだ心に残りながらも、自分がリナやカイ、ユイを守るためにここにいるのだと自分に言い聞かせていた。

その日、カイが仕事から戻ると、玄関で美和が待ち構えていた。手には、昨夜サキが部屋に置いていた封筒を持っている。

「カイ、これを見て。」
美和はカイに封筒を手渡す。中身を見たカイの表情が硬くなった。

「とりあえず家の中に入ってください。これ……サキさんの過去のことですか?」
美和はゆっくりと頷きながら言った。
「そうよ。サキがどんな人間だったのか、あなたにも知っておいてほしいの。何度か警察にもお世話にもなってる。こんな危険な人を家族として受け入れるなんて、リナやユイにとっても良くないわ。」

カイはしばらく黙り込んだ後、深くため息をついた。
「美和さん、これをどこで手に入れたんですか?」
「それは関係ないでしょ。ただ、事実を知る必要があると思ったの。」

その時、サキが買い物から帰って来た。美和とカイが話しているのを見て、何かが起きたことを察する。

「何の話をしてるの?」
カイは迷うような表情で、手に持った封筒を見せた。
「サキさん……これは本当なのか?」

サキは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻した。
「ええ、本当よ。」
美和は勝ち誇ったような表情を浮かべる。

「見なさい、カイ。やっぱりサキはこの家にふさわしくないのよ。」
だが、サキはその言葉を遮るように声を張り上げた。
「それがどうしたの?過去の私は確かに間違いを犯した。でも、それを乗り越えてここにいるの。お姉ちゃんのために、ユイちゃんのために、そしてカイさんのために!」

その言葉にカイは驚き、美和は一瞬黙り込んだ。

「私はもう逃げない。この家族を守るためにここにいるって決めたの。お母さん、あんたの嫌がらせには屈しないわ。」
サキの目には強い決意が宿っていた。美和はその気迫に押され、一歩後ずさりする。

その夜、カイはサキに謝罪した。
「サキさん、俺はお母さんの言葉に惑わされるところだった。過去がどうであれ、今のサキさんを信じるよ。」
その言葉に、サキは涙をこらえながら微笑んだ。

だが、サキの心には不安が残っていた。美和はこの程度で引き下がるような人間ではない。次にどんな手を使ってくるのか、彼女はそれを警戒し始めていた。

美和の策略は続くのか、あるいはサキが次にどんな行動を起こすのか!?家族の絆が試される中、物語はさらに深まっていく。


つづく


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