ウォシュレットと哲学
トイレに座って、ふと目に入ったウォシュレットのボタン。「弱」と「強」が並んでる。左が弱で、右が強。何気なく押しているけど、なんでだろう?って、今日はそんなことを考えました。
考えてみれば、この並びはウォシュレットだけじゃない。ボリュームを上げるスライダー、数直線、さらにはエクセルのグラフだって。マイナスが左でプラスが右。弱が左で強が右。これ、私たちの頭の中で、いつから、どうしてこんな風に「当たり前」になったんでしょう?
調べてみると、いくつか理由が見えてきました。
数直線の魔法
まずは数学。数直線って学校で習いましたよね。ゼロを真ん中にして、左に行けばマイナス、右に行けばプラスが増えていく。あれが世界中で広まって、「左=マイナス」「右=プラス」のイメージが、私たちの頭の中に刻み込まれたんだとか。(数直線の起源はデカルトらしい)
さらに、なんで数直線が左から右なのか?と言えば、人間の体の構造に関連していそうです。
人間の手は、肩を起点に内側から外側へ向かうようになっている。試しに左手で紙を押さえて、右手にペンをもつ。①右から左へ直線を描くパターン ②左から右へ直線を描くパターン を試してみてほしい。
②の方が圧倒的に楽に直線を描けるはず。
言葉の流れと時間の流れ
次に、言葉。多くの言語、特に日本語みたいに左から右に読む文化圏では、「左から右」が自然な流れになっています。そうすると、左は「過去」とか「小さい」、右は「未来」とか「大きい」みたいに、なんとなくイメージがつくようになる。(ちなみに日本では明治期まで左から右に書いてたけど、西洋文化の影響を受けて逆になった。)左が昔、右が未来。ウォシュレットの「弱・強」も、そういう流れの上に乗っかってるのかもしれません。
見るだけでわかる工夫
でも、これってただの「慣れ」じゃないみたいです。心理学の話によると、人間の視線って左から右に流れることが多いんだとか。特に文字を左から右に読む文化圏だと、右側に「成長」や「肯定」を感じやすいらしいんです。逆に、左側には「控えめ」とか「否定」がしっくりくる。ウォシュレットのボタンも、使う人が直感的にわかるように、そんな風にデザインされてるのかもしれません。
世界は左から右へ流れる?
ただし、これはあくまで「左から右に読む文化圏」の話。アラビア語やヘブライ語みたいに、右から左に読む言語の人たちは、また違う感覚を持っているかもしれません。ウォシュレットのボタン、どう配置されてるんだろう?ちょっと気になります。