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老親が精神科に入院しましたその1

きっかけは配偶者の死


老親が精神科に入院しました。うつです。
備忘録がわりに一部始終を書き記しておきたいと思います。この文章がどなたかの役に立つことを祈っています。

うつの原因

きっかけは配偶者の死です。
よく小説で、「どこから話せば良いのか……」という台詞がありますが、そんな気持ちです。色々ありました。
少し長くなりますが、まずタイトル通り入院してしまった老親Aの家族構成から書かせてください。
Aは夫と二人暮らしです。この夫が亡くなりました。ガンでした。
元々告知はされていましたが、容態が急変し、一ヶ月ほどの入院の後亡くなりました。七十代後半です。
Aには息子が一人いて、それが私(エイプリル)の夫になります。近所に住んでいます。私はいわゆる嫁の立場です。
本来ならこの文章は、息子である私の夫が書き残すべきものでしょうが、結論から言うと、夫はあまり役には立ちませんでした。
それはそうだと思います。お父さんが死んですかさず立ち直り、メンタルやられたお母さんのケアをしろって言われても無理です。本人も父親を亡くして傷ついている最中です。ですが、約二ヶ月ほどで事態はどんどん悪くなっていきました。

死が受け入れられない


「きっかけは配偶者の死」と上に書きましたが、今から考えると既にAは配偶者(以下B)の入院中から様子が変でした。
キューブラー・ロスの「死の受容過程」というのがあります。初めは否認と隔離、怒り、取引、抑うつ、受容と過程を経ながら、人は次第に死を受けいれるというものです。

病院に行かなくなる

Bは積極治療はしないと決めていました。容態が安定したら今の病院から「ホスピス」に入院の予定でした。なのでその死はいずれくるものでした。
交通事故で帰らぬ人に・・・というような青天の霹靂という死ではありませんでしたが、それでも一ヶ月の死はとても早かったと思います。
実はこの一月の間にAは最初の異常な行動を取ってます。
「死ぬとは思わなかった」といよいよ容態が悪くなってきた死の後半の十日間、病院に見舞いに行かなくなったのです。
もちろんお医者さんの話は聞いていますし、そもそも抗がん剤治療をやめたのは半年近く前なので、Bの死は時間の問題でした。それはAも分かっていたはずなのに。

結局AがBと会ったのは、危篤になった時です。それが最後の別れになり、Bは亡くなりました。

最初の異変


Bは小さな個人事務所をやっていたので、その精算をする後始末がありました。Aはこの仕事には関わっておらず、またそういった事務作業は苦手だったので、死亡届の提出から葬式、年金、保険金の請求まで、私の夫でABの息子(以下C)がすべてやらねばならない状況でした。

Bの死とともに引っ越ししなくてはいけなくなった

また住んでいるところが賃貸マンションで、家賃が少々高く、一人暮らしには広すぎるので、引っ越ししなければならなくなりました。
配偶者の死と望まぬ環境変化。ストレスが溜まる精神状態にはあったと思います。

最初は不眠と食欲不振

Bの死以降、Aは私たちにずっと体の不調を訴えてきました。
主に不眠と食事が取れないことです。食事が取れない理由は聞く限り、二点あったように思います。
一つは食欲不振です。
もう一つは「一人が怖くて火が使えない」というもの。
これに関しては良く分かりませんでした。二人暮らしで料理は主にAが担当してました。一人暮らしで様々不安とはいえ、急に「火が使えない」というのはちょっと考えにくかったのです。
住んでいる場所も一応火災報知器がついたマンションですから、火災の危険もそこまで高くはありません。実際にAはそれまで小火など出したことはありません。ですが、後でガスの使用量を見ると前年度の同月に比べ四分の一になってました。この時は二人暮らしとはいえ、料理を積極的には出来ない状況にあったことは間違いないようです。
死の直後から一ヶ月ほどの訴えはこれがメインでした。
不眠も食欲不振も辛いですよね。
「病院に行く?」と聞きましたが、「絶対に嫌だ」の一点張りでした。

不調なのに病院に行きたがらない

入院までの二ヶ月半で五キロほど痩せてしまったことは事実ですが、体調面ではそこまで悪くはありませんでした。
Aは七十代後半ですが、介護保険制度も利用していません。年なりに色々疾患はあり、かかりつけの内科はありますが、どれも今すぐ命に関わるものではありませんでした。(後述しますが二ヶ月半の間で一度その内科に行ってます)
「本人が嫌なら……」と無理に病院に連れては行きませんでした。
本当ならこの時病院につれて行けたら良かったのだと思いますが、とにかくてんてこ舞いで、あの時の私達にAのケアが出来る余力はありませんでした。
老親が精神科に入院しましたその2に続きます。


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