📕本要約｜「好き」を言語化する技術

◼︎読んだきっかけ

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本屋さんを物色していた際に、たまたま目に入って手に取った一冊。

最近、「言語化すること」「記録として残すこと」が私の中でのキーワード。

その理由は三つある。

一つ目は、今までいろんな本や動画を観て勉強してきたけれど、振り返ってみると何となくしか記憶がなくて、仕事で説得力を持たせた説明をしたい時に、読んだ内容を上手く盛り込んで語れないことが続いたこと。読んでも意味ないじゃん！と思うことが多く、内容を他者に伝えられる「言語化力」と、見返すことができる「記録」の2点に興味が湧いていたこと。

二つ目は、あわよくば、この記録が誰かの役に立ち、自分のビジネスとして繋がったらいいな、という気持ちもあったりする。

せっかく貴重な人生のうちの時間を費やして学んだことなのだから、誰かの役に立てられたら嬉しい。そしてそれが、上手く自分ビジネスとして展開できたら、好きなことで豊かになれるチャンスだと思い、私自身の人生を豊かにしてくれると思った。

これは勉強だけではなくて、趣味に対してもそう。とにかく分からなくて困ったこと、自分が調べて得た情報は、世界のどこかで同じように欲している人がいると思うから。

その際に、読み手側がもっと楽しく、魅力的に感じてもらえる文章を書けたらいいな、と思った。

三つ目は、純粋に好きなもの、感動したものを誰かに伝えて共感しあいたい！そのためには、感動を言葉にする技術が必要だと思った。

そういった背景から、この本に目が行った。

◼︎あらすじ

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好きな本・映画・舞台・ドラマ・アイドルを語りたい人の必読書16万部突破『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』でバズり中の著者が教える文章術！

**あなたの「推し」はなんですか？**
お気に入りのアニメ、本、漫画、映画。
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。

大好きな舞台、コンサート、ライブ。あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。

本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめた1冊です。

SNS発信・ブログ・ファンレター・友人とのおしゃべり・音声配信などの発信方法ごとに、自分だけの言葉で感想を伝える技術を教えます。

**推し語りには、語彙力や文章力が必要だと思われがちですが、それは間違いです。**

必要なのは、自分の感想を言葉にする「ちょっとしたコツ」だけ。

そのコツさえ知れば、あなただけの言葉で好きな作品の素晴らしさを語れるようになります。

ここでは特別に、少しだけそのコツをお教えします！

コツ①　自分の感情を一番大切にする
コツ②　妄想をこねくり回して、感想を生みだす
コツ③　よかったところを細分化するだけで、あなただけの言葉になる

これって一体、どういうことなんでしょう…？

本書を読めば、特別な才能や技術がなくても、あなたの感動を自分の言葉で語れるようになります。

**≪こんな方におすすめ≫**
・映画を観たあと、他人の感想をSNSでリサーチしまくってしまうが、本当は自分の言葉で感想を発信したい
・好きな作品について、うまいこと言いたい
・好きな作品や推しについて語ろうとすると「おもしろかった」「すごい」「やばい」「よかった」という凡庸な表現しかでてこない
・ファンレターやブログを書きたいけど、ネタが思いつかない
・なぜ、その作品や人に魅かれるのか言語化したい

「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい！」しかでてこない (ディスカヴァー携書) https://amzn.asia/d/fWEVz2A

◼︎作者情報

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書評家、作家、京都市立芸術大学非常勤講師。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院卒。著書に『人生を狂わす名著50』（ライツ社）『文芸オタクの私が教える　バズる文章教室』（サンクチュアリ出版）『（読んだふりしたけど）ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』（笠間書院）『なぜ働いていると本を読めなくなるのか』（集英社）他多数。編著に『私たちの金曜日』がある。

◼︎この本が伝えたいこと

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▽今の時代は他人と自分の言葉を分けるスキルが必要

SNSで他人の言葉に目に触れる機会が多い現代。

著者は、誰かの言葉によって自分の思考が影響を受けすぎてしまうことが怖いと思っている。

また、この状況を知られていない現状にも危機感を感じており、それを防ぐために自分の「言葉を作る必要性」を訴えたくて本を書いたそう。

「他人と自分の言葉をわける」ためのスキルとして「推し語り」の仕方を読者に伝えている。

▽推し語りはコツさえ掴めば簡単

ポイントは「自分の言葉を作ること」。

自分の言葉を作ることで、推しについての愛情も解像度ももっと上がる。推しを好きになった自分の理解が深まる、たくさんの人に推しを知ってもらえるなど、その他にもメリットがたくさん出てくるという副次効果がある。

▽そのコツとは？

　自分の言葉=自分だけの感情や考え、印象、思考を言葉にすること。

例えば、泣ける、やばい、考えさせられる、などの言葉はフランス語で言う「クリシェ」である。

クリシェとは、よく見る、ありきたりな言葉。それっぽい言葉のこと。このクリシェを使わないように意識し、自分が感じた感情や思考=自分の言葉で表現することがコツなのだ。

▽そのための心構え

　1. 他人の感想を見る前に自分の感想をメモする。

SNS等で自然に他人の意見が耳に入ってしまう環境だからこそ、意識するべき。まだ自分の言語化に自信がない段階では特に、強い言葉、影響力がある言葉に左右されてしまうので注意が必要。

　2. ネガティヴ・ケイパビリティ(言語化できないモヤモヤを無理に言葉にせず、抱えておく力)

白黒はっきりさせることだけが正義ではない。自分の言葉になるまでそのままにしておくことも必要である。

そしていつか自分の言葉が見つかった時には、揺るぎない自分の言葉として、自分自身の「好き」への信頼が積み上がっていくのだ。

▽自分の言葉を作る方法

心が揺さぶられることには、何か元ネタとなる自分の人生での体験がある。これらの具体例が細かければ細かいほど自分だけの言葉となる。

それをいかに細分化して書けるかが、「自分の言葉」を作れるかどうかなのだ。そのための方法は以下の通り。

　1. 心を揺さぶられた箇所の具体例をメモする

(●●の衣装がよかった、1曲目が●●なのがよかった、MCで●●と言っていたところがよかった等)

　2. 感情を言語化する

①で心を揺さぶられた時、「どういう感情を抱いたのか」「どうしてその感情を抱いたのか」をメモしていく。

「どうしてその感情を抱いたのか」は、「共感」か、「驚き」か、どちらかを考えてみるといい。なぜなら、人が「面白い」と思う理由は、上記の2パターンのうちのどちらかに当てはまることが多いから。

共感の場合は、①自分の今までの体験との共通点を探す　②自分が他に好きなものとの共通点を探す　といい。

驚きの場合は、自分にとってどんな新しい発見があったかを深掘りすると考えやすい。

これは、ネガティブな感情に対しても同様だ。ネガティブな感情の場合は、「不快」か、「退屈」かのどちらかに当てはまることが多い。

まずはどちらに当てはまるかを考えてみて、その後に不快な理由を自分の体験や、自分が他に嫌いなものの共通点と照らし合わせる、退屈な場合は、どこがありきたりと感じたのかを深掘りして考えてみるといい。

　3. メモは非公開、自分だけのメモを作るといい。

いきなりメモを人の目に入る場所に作ると、人の目を気にして書いてしまう。そうすると自分の言葉を作ることができなくなってしまうため、非公開のメモを作ることをオススメしている。

▽言語化ができたら誰かに伝える、語り方を身につけよう

素敵なものを見た後は誰かに語りたくなる。一生懸命その良さを伝えても伝わらないことがある。それは「語り方」にもコツがあるからだ。

▽語り方のコツ

　1. 語る対象に対しての、相手の理解度や認知度、相手が語る対象をどう思っているのかを知ること。

面接、プレゼン、YouTube、講演、推し語りにしろ、なんらかの情報を誰かに手渡す「発信」は、相手が、これから発信する内容について持っている事前情報の差違を知り、それに合わせて語ることがコツなのだ。

そのためにも、相手は語る対象のことを知っているのか？名前すら知らない程度なのか？なんらかのイメージを持っているのか？

相手も語る対象が好きならば、どれくらいの熱量で好きなのか？どんなふうに対象を見ているのか？どんなスタンスで好きなのか？を知ることが大切。

　2. 専門用語を使わない

推し活をしているとファンの中だけで通じる専門用語がある。これは、その推しをよく知っている証でもあるので使いたくなるが、情報格差がある相手はその言葉を理解できないので、使わない意識が必要。

　3. 情報格差を埋める

方法は3パターンある。
①相手の知らない情報を補足する
②相手の興味がある話に合わせて語る
例えば、「ダンスのうまいKPOPアイドルが好きな友人に、『日本にもKPOPのように踊りが上手で歌えるアイドルがいるんだよ』」と伝えるなど。

③相手の興味のなさに言及する
「あなたが興味がないのは分かってるけど、まあ聞いてよ」と前置きをすること。人間は意外とこういう前置きをすると聞いてくれたりする。

とはいえ、説明のしすぎは文章をつまらなくしてしまう。ポイントは、「へぇ〜、面白そう。ネットで調べてみよう」と思わせるような書き方をすること。

▽SNSで発信する人に教えるコツ

　1. 聴き手をどこへ連れて行きたいのか、ゴールを決めておくこと

聞き手が自分の文章や配信を聞いた後、どうなっていて欲しいのかを把握しながら、内容を考えることがコツ。そのためにも、読者のペルソナを決めておくことも必要。

　2. 「ここを聞いて欲しい」というポイントを強調すること

学生時代の授業を思い出すと分かりやすい。面白い先生の授業には、その授業で覚えておいてほしいポイントが明確で、話し方に緩急が多い。まさにそれがコツなのだ。

そのためにも、伝えたいポイントを絞ることは大切。「××(要素)が、〇〇(感情)だったこと、なぜなら△△(原因)だから」という形でメモを作るとやりやすい。

　3. 慣れ

なんだかんだ、慣れが一番大切。数をこなして試行錯誤を繰り返すうちに、相手に伝わる発信ができるようになっていく。

　4. 読み手や聴き手の興味を引く書き出し

書き出しが重要なのは、SNSやnoteをやっている方々には周知の事実。この書き出しにはパターンがある。

①良かった要素を描写する
自分だけのメモで作った心揺さぶられた要素を書き出して、描写してみること。

②自分語りをする
映画を見て過去の自分と照らし合わせて心に残った場合、他の人も同じように感じることがある。自分がこれから語ることに対して、聞き手が共感できるようにする手法だ。

そのため、まず自分の体験を書く→同じようなことが描かれていた映画の場面を説明→どのような点が同じだと思ったのか、共通点について説明することも聴き手の興味を惹くのに有効。

③これから語る文脈の説明から始める
例えば、「いま自分が推しているアイドルは、じつは松田聖子さんとの共通点がある」「いま自分が推しているプリンは、これまでのコンビニスイーツにはない新しさがある」など、自分が伝えたいことを先に説明するパターン。

④問いではじめる
「なぜキャラクターに興味がなかった私が、サンリオのぬいぐるみを集めることになったのか？」など。このパターンを使うと、内容のポイントが明確化されやすいので使いやすいのだ。

◼︎読んでみて自分が感じたこと

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　1. 推しを語りながら自分を語る

推しの言語化は自分の価値観や人生の歩みを残せるツールだと著者は言っている。

「好き」は揺らぐもの。
昔好きだったバンドの曲の歌詞が、大人になったらピンとこなくなることがある。それは、自分が変化しているから。

その時、その時に好きだったものを言語化しておき、コツコツため、何年か後に見返すのも良し。コツコツ貯めた自分の言葉が、自分の価値観や人生になっていく。

私には、著者のこの言葉が心に残った。

私は、少し前に「記録すること」にハマった時期がある。デジタル手帳、紙の手帳、日記帳、SNS…。色んなものに手を出した。

今まで勉強も仕事も自分なりに頑張って、体を何度も壊しながらも突っ走ってきた(つもりな)私。

でも、ふと振り返ってみたら、何も手に入れられていないことに気付いてしまった。

みんなが青春してた大学時代には、入りたい会社のために勉強に時間を使い、みんなが家族を作り始めた20代には仕事に明け暮れてた。

30代になって気付いたら、私にあったのはボロボロの心と身体だけだった。

これだけ頑張っても目標は達成できなかったし、たいして給料が高いわけでもなく、休日はひとりでNetflixを見て過ごす。

周りは家族がいて、子供ができてなんだか幸せそう。なんやこれ。頑張った結果がこれか🤷‍♀️

私って結局、成果が出せるほどの能力もないのに無駄な努力をしてたのかと、かなり凹んだ。正直、学生時代の人には誰にも会いたくないw

周りと比べて凹みそうだし、周りにもそういう目で見られそうだから。

でも、でも、結果は出てないけど、いわゆる普通の幸せは手に入れてないかもしれないけど、ここまで頑張ったこと自体は偉いと思うんです。

ガムシャラに頑張ったからこそ人として成長できた部分はたくさんあると感じてて。

だから、自分を励ましたくて、その時その時の自分を記録したいと思ったんです。

成長できてるよ、素敵な人生を歩んでるよと自分で思えるように。

長くなりましたが、そんなこんなで、著者のこの考えには共感の嵐だった。

　2. 仕事上でも必須スキルになっている、言語化。人の心に響く言葉選び。

SNSで他人の言葉をたくさん見る時代。だからこそ、自分の意見と他人の意見が混在されてしまっている時代になっている。だからこそ、自分の言葉を語れることは今の時代にとって必須スキルになる、と著者が言っており、これにはかなり共感した。

私は人事の仕事をしていて、主に採用を担当してきた。たくさんの履歴書、面接をしてきている。そうすると、心に響く言葉、話し方と、テンプレだな〜と感じる話し方がある。内容や方向性は、この会社が好き、事業に共感した、など、同じような内容を話しているのに、心に響く人と響かない人がいるのだ。

学生にアドバイスする機会があったこともあり、それがなぜかをずっと考えてきた。そしてたどり着いたのが、「自分の琴線に触れたことを語ること」だった。何故、会社情報のこの文章が心に残ったのか？子供の頃の経験や、その時に感じた感情。悔しい思いをした経験から得た感情、成功した時にどういう思いで乗り切ったから成功できたのか？など、心に残った理由を自分の人生になぞらえて語ることができる人は、面接官の心に残る。

まさに、その話をしているのだろうと思い、「はじめに」の時点でワクワクしながら読み進めた。

今まで自分が、どんな人が世の中で活躍していくのか、欲されるのか、会社を強くしていけるのか、組織の中で仲間づくりをし発展させていけるのかを考えてきたからこそ、その経験と想いにリンクするものがあり、「やっぱそうだよね！？」と嬉しくなった。

　3. 推しの素晴らしさを書いた例文を読む、が面白かった

著者はこの本で、推しを語るための色々なコツを伝えているが、百聞は一見にしかず。3つの素敵な例文を紹介している。

特に面白かったのは、東京大学大学院で英米文学を教えている先生の、ジェーン・オースティンの書評。

なんかすごく難しそうな本の書評だし、東大の先生が書いている文章だし、どんなものなんだ？と思いながら読んでみたら、超面白かった。

全く知らなかった作家、全く知らなかった作品なのに、たった2〜3ページの書評を読んだだけで知った気になれたこと、

そして普段はビジネス書ばかりに興味があり、小説は全く読まない私が、「なにこれ読んでみたい！」と思ってしまうくらい、作品の興味をそそる文章だった。

自分の記録としての意味合いが多いにしろ、noteやSNS発信をしている私。

いいねやスキ🫶を貰うのが大変なことを身に沁みて感じている私だからこそ、こんな文章が書けるようになったら、楽しいだろうな〜と思わせられた書評だった。


きっと、いまこれを読んでくれているnoteユーザーさんも共感してくれるであろう文章だった。


こういう人を惹きつける文章が書けるって、魅力的ですよね。知的で洞察力がありそうで、人生を深く理解してそうで。そういう人の人生って味わい深くて、人生を謳歌してそうなイメージ。

だからこそ、私もこんな文章が書けるようになったらいいなー、と思った次第でした。