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認知症の連れ合いとの老後ーあれこれ

かかりつけの眼科で、白内障の手術を勧められている。三日ほどの入院とのこと。まず初日に片方の目を翌日にもう一方を施術して、次の日に退院になるらしい。
いまや白内障の手術は、どこの眼科医でも、自分のところで日帰りでやってくれるそうだ。しかし、夫と私が通っているこの眼科医院では、それがない。紹介状を書いてもらい、大学病院で手術を受ける、という形をとっているのだ。
「白内障は治るものじゃない。人生は九十年ですよ。八十歳を過ぎてするよりは、今のうちにやったほうがいい。その間、ご主人にはショートステイに行ってもらえばいいじゃないですか」
四十年来の眼科医は、いとも簡単に言う。
夫は認知症で要介護3。毎月一回、金曜日と土曜日にかけて一泊二日のショートステイを利用している。それで私も、月一回のエッセイ教室に安心して通えている。
最近は、絶えず足元がふらつき転倒しやすくなっているのに、本人にはその自覚が全くない。そして私がいなくなるとすぐ出かけてしまうのだ。そのため、買い物や色々な用事は、夫がデイサービスに行っている間に済ませるようにしている。
「デイサービスは家にいるより楽しい。仲間がいるから」と夫はいう。
確かに、楽しんで行っているから、家でずっとテレビを見ているより、脳にも身体にもはるかにいい。そうとは言えデイサービスの一回の費用は三割負担で五千円(食事おやつ代込み)。毎週月曜と水曜日、それに隔週の金曜日だから月十回前後になる。ショートステイも一泊で一万五千円。したがって利用料は毎月六万五千円前後になる。
家のローンが終わって、やれやれとホッと束の間のことだった。夫が認知症だと分かったのは…
「線路は続くよ、どこまでも~♪」という歌のその言葉だけをいつも何故か思い出す。
この頃、しみじみ老いを感じるようになってきた。だが、全てがこの程度で済んでいることをうれしく思い感謝する。
しかし、その数分後には、どうして…と、天を仰ぐ私がいるのだ。

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