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小説「風の華」

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窓をあければ華は空を飛べるように思う癖があった。ずいぶん幼い日の思い出だった。小学生になったばかりの小さな記憶が・・・
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#男女

小説「風の華」序章(2)

小説「風の華」序章(2)

 制服の男女は、あきらかに潤と翠だった。
(どうしてふたりで歩いているんだろう)
 華は、その出来事を、まるで別の世界を眺めているような気持ちでいた。けれども、心の中では、もう一人の華が、どこか途方に暮れた姿で立ち尽くしていた。
(いやだな)
 華は、自分のなかに、明らかな嫌悪感が生まれつつあるのを感じた。嫌悪感は、制服の男女に対してなのか、華自身の心の惑いに対してなのかわからなかった。
 はっき

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小説「風の華」序章(1)

小説「風の華」序章(1)

 いろいろあった夏休みだった。一階の教室で水泳部の男子生徒たちがミーティングをしていると聞いたので、華はいつものように潤を待つことはせずに下校したのだった。それからまっすぐに家に帰ればよかったのだが、ふと足を止めて、マックに入ったのがまずかった。
 思いのほか店内はすいていて、華は一番好きな2階の窓側のカウンターへ腰かけた。窓から見える街は、すでに夕暮れだったので、華はどこか落ち着いたうっとりした

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