小説「風の華」序章(1)
いろいろあった夏休みだった。一階の教室で水泳部の男子生徒たちがミーティングをしていると聞いたので、華はいつものように潤を待つことはせずに下校したのだった。それからまっすぐに家に帰ればよかったのだが、ふと足を止めて、マックに入ったのがまずかった。
思いのほか店内はすいていて、華は一番好きな2階の窓側のカウンターへ腰かけた。窓から見える街は、すでに夕暮れだったので、華はどこか落ち着いたうっとりした気分に浸っていた。ふと、通りに目をやると、見慣れた制服の男女が歩いているのが目に入った。
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