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銀河鉄道999 3巻 第6話 負けるが勝ちは最も優れた名言

「装甲惑星」
停車駅 装甲惑星

 メーテルの説明では人口がほぼ0に近いおだやかな星だそうです。穏やかと言われてもここまで読んできた人はもう騙されません!

 ここはその名が示す通り、あらゆる生物が装甲を持っている惑星です。しかもその装甲はあの戦士の銃ですら弾き返すというから、これはもう無敵状態です。
 そして重要なのはこの星の全ての生物が無敵の装甲を持っているということです。つまりこの星には弱者はいないのです。
 弱者がいない世界、それは楽園なのか・・この星での答えが明かされる話になっています。

 外の世界からきた鉄郎とメーテル、もちろん装甲を持たない弱者です。やはりというかなんというか、列車から降りて早々メーテルがカブトムシみたいな虫に胸を貫かれてしまいます。
 鉄郎は慌ててこの星に1人いるという医者のもとに行くのでした。
 最近起きる事件が荒っぽいと思うのは私だけでしょうか?

 でもご安心ください。メーテルはいつものごとく不思議な声の主により傷を治してもらうのです。

「おまえは死んではならない・・わかった生かしてやろう おまえは永遠に死んではならない」


 時々出てくるこの声の主、メーテルの謎に関わっているに違いありません。

 一方医者を探しに行った鉄郎、不思議なことに気がつきます。さっきの虫以来、死骸以外の生き物に出会わないのです。

 しかしとうとうこの星の数少ない住人ヌータルと会ってしまいました。ヌータルは自分は医者の息子だが、鉄郎を不法侵入だと言い立ち去らなければ殺すと言います。
 なぜここまで好戦的なのでしょう。この星には無敵生物しかいないので多少手荒な事をしてもいいという感覚なのかもしれません。
 どうしても医者を見つけたい鉄郎は捕まらないよう逃げ回っているうちに崖から落ちてしまいます。しかし落ちたところが良かったのか医者の家がすぐ見つかりました。

 この星のたった1人の医者、しかしその医者も今では死にかけているのでした。

「ワシはもう動けないのだよ 外見は変わらなくとも中はもう干からびかけているんだ」

 そして鉄郎にこの星には二度と来るなといいます。この医者にはこの星の生物がもうすぐ絶滅することわかっているようです。

 そして先ほど命を狙われたヌータルが帰ってきてしまいました。
「殺す 絶対殺す」
 いったいなぜそんなに怒っているのでしょう。

 逃げるしかない鉄郎。

 そこに危機一髪、メーテルがヌータルの足を撃ち抜きます。普通の武器が効かないのでメーテルは次元反動銃を持ってきたのです。これで破壊できないものはないのだそうです。

 崖から落ちるヌータル。しかしメーテルはこの星に残るたった2人の人間を殺してはいないといいました。

 たった2人!

 その他の人々や多くの生物は皆餓死してしまったというのです。皆が装甲を持ち強者になってしまった世界。その成れの果てがこの星だというのです。

 この後鉄郎とメーテルが弱肉強食の悲しい運命について語りあいます。

「生き物が生きていくためにはエサになるいけにえが必要なのね いけにえになる弱い者がいないところでは共だおれになって結局滅びてしまう」
「やっぱりエサになる弱い者がいないとこの世はなり立たないんだろうか? 弱いいけにえの血があるところにだけ文明はさかえるんだろうか!」
「いままで見たかぎりではね・・」
「それが大宇宙の・・この世の原則だったら悲しいね」

 弱い者を助けるという事は考えてる以上に難しい事なのかもしれません。さらにそれを続けていくとなればこの世の原則に反する事になるかもしれないのです。
 メーテルの「私が見たかぎり」という一言が重く響いてきます。

「弱肉強食 いけにえの血をすって強者がさかえているのがこの宇宙に生きる者の姿だと思うと鉄郎は悲しくなった いけにえをほしいとは思わないがいけにえにされるのはもっといやだと思った メーテルはなにもいわず窓の外を見ていた」

 だからこそ助け合う社会は優しく尊いのだと改めて思います。

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