![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160925100/rectangle_large_type_2_c084cc6ca1380dc8587fef6422bb7c31.jpg?width=1200)
銀河鉄道999 3巻 第5話 時間は悲しみを癒す場合と深める場合がある話
「重力の底の墓場」
停車駅 重力の底の星
重力と時間には大きな関係があります。今回はそんな事も少し学べるお話です。
999号は宇宙一のセキュリティシステムを持ちながらよく事故に遭います。まるで誰かがトラブルを呼び込んでいるかのようです。まあメーテルなんですけど(笑)
999が通過するレール上で2日前に事故があり、列車ごと行方不明になったと連絡が入りました。そこで機関車はスピードを光速近くまで上げてやり過ごす事にしたようです。普通危険がある場合には減速するものですが、まあいいでしょう。
しかしそんな努力も虚しく列車は脱線してしまいました。そして脱線の仕方が問題で宇宙空間にもかかわらず穴に落ちていくようにコントロール不能になってしまうのです。
地球上ではないのでわかりにくいですが、重力に引っ張られるという事はすなわち穴に落ちていく事と同じですね。
「重力の底です 宇宙のところどころにあるサルガッソーのようなところです」
車掌さんが説明してくれます。サルガッソーと聞いてピンと来る人は少し年配の方ではないでしょうか。
999が落ちていった先には2日前に行方不明になった列車がありました。
「向こうの列車に入っても大丈夫かしら」
こんな事を言い出すメーテルのリスク管理はどうなっているのでしょう?
「はい あそこでくいこんでいます 穴が開いてつながっています」
車掌さん!あんたもです!
向こう見ず3人が見たもの、それはなんと乗客達の死体でした。しかも推定300年はたっていると思われるほど白骨化している死体です。
事故は2日前、まったく計算が合いません。
こんな異常事態の中、1人の女性があらわれます。もう黒幕確定ですね。
名前はリューズ、有名なのでしょうかメーテルとリューズはお互いを知っていました。
そのリューズの能力、それが時間をあやつるというものでした。
「これで列車を転覆させたのは何台目かしらリューズさん」
メーテルも知ってるほどの常習犯のようです。
リューズは映画版の999にも登場するキャラクターで、そこでも時間を操っていました。映画版ではわからなかったのですが、今回の重力の話と合わせると、リューズは時間をあやつるというよりも重力をあやつっているのだと思いました。ブラックホールのような超重力の世界では時間の進み方が変わります。そしてリューズの気分ひとつでこの空間の時間をあっという間に進める事ができるようです。
でもそんなリューズもメーテルには敵わないとあっさり告白するのでした。
「あなたは私の手におえない・・でも鉄郎は連れていく」
この展開は冥王星でもありました。あの時のシャドウもそうなのですが、鉄郎が人気があるというよりもメーテルから何かを奪いたいという気持ちの方が強い気がします。
リューズはもし抵抗すればあっという間に時間を進めると脅してくるのでした。
そこでなんとメーテルはあっさりと引き下がり、鉄郎はリューズの家に連れて行かれてしまいます。あきらかにリューズに敵わないから、ではなさそうです。
重力の底には小さな星がありそこに小さな家が建っていました。このいかにも寂しい家でリューズは300年暮らしているそうです。鉄郎とはこの家で暮らしたいだけで危害を加えるつもりはないようです。
なんかヒモのようにも感じてしまいますね。
しかしここでの鉄郎の抵抗は見応えがありました。
「いやだ このくそ女にひっぱりまわされて勝手にされるほどぼくはダラしない男じゃないや‼︎」
口が悪すぎる!
松本氏としては男たるもの自分の意にそわない事には逆らうべき、という事なのでしょう。
その後も鉄郎は機械の体をくれるというリューズに自分の信念を伝え続けます。
「機械の体をもらうことが自由を失うことになるなら・・僕は機械の体なんていらない いつかきっと自分の力で体を手に入れてみせるよ」
それを聞いてリューズは鉄郎を解放します。メーテルにはそれがはじめからわかっていたそうです。
リューズは自分の意思とは関係なく愛する人の望み通りに体を改造し続けた結果、その途中何かのはずみで時間を(重力?)操る力が備わったのだそうです。リューズは自分の意思を曲げない鉄郎をみて解放することにしたのでした。
しかし最後にリューズは恐ろしい予言を鉄郎に伝えます。
「いつかあなたはメーテルを守るために自由をすてる時が来るわ メーテルか自由かで死ぬほど悩み苦しむ時が来る」
リューズは何を知っているのでしょう。解放された鉄郎を乗せて999は出発します。
人の後悔や悲しみは大きくなると心の中でブラックホールのように重く固まり手に負えなくなるのかもしれません。重力の底の家はまるでリューズの心の中のように感じました。
「重力の底の墓は重力のために大きくなれない星だという ブラックホールとよばれる暗黒の点の中に時としてそういう星があるのだという 思い出や悲しみが後悔といっしょに小さなかたまりになってひっそりと暗黒の中に身をかくしているのがそんな星だという・・そこが人の心の墓場だと旅人はいう・・」
映画版のリューズはすてきな歌を歌っているので機会があれば是非聞いてみてください。