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銀河鉄道999 4巻 第3話 ついに大物登場

海賊船クイーン・エメラルダス
停車駅「海賊惑星ジュエル」

 「クイーンエメラルダス」
 聞いたことがある人も多いと思います。松本零士ワールドではキャプテンハーロックと並び有名な海賊が作品を越えて登場します。
 前に男おいどんが登場する星がありましたので、今後もいろいろなキャラクターが登場する事を期待してしまいます。

 海賊出現地域を通るということで999に装甲車が連結されました。戦艦の主砲をそのまんま列車に連結するこのセンスがたまりません!

メーテルが言うには
「この列車を襲うのは一流だけ・・だから怒らせると怖い相手よ」

 しばらくすると999と併走する船が現れます。

 ギュンギュンと巨大な重力波を発しながら並走し続ける船。そして999の機関車にコントロールブレッドが打ち込まれます。コントロールブレッドは簡単に言うとリモコン装置ですね。
 ここで初めて装甲車が攻撃します。が、射程距離外で届きません。かっこいいのに役に立たません。
 その時相手の船より警告を言われるのです。

「ムダナ抵抗ヤメナサイ!」

 その一言を聞いてメーテルは相手がエメラルダスだと理解しました。なぜカタコトなのかは後ほどわかります。

 前にも書いた通り999の世界には誰も逆らえないほどすごい人物がいます。エメラルダスはその中でもハーロックと並ぶ恐ろしい海賊です。
 そしてメーテルが相手を認識した時に鉄郎に意外な事を言うのです。

「鉄郎あなたお腹すかない?」

 鉄郎はなんでこんな時にと不思議に思います。メーテルはこれから相対する相手が恐ろしい強敵だとわかり、今できる事として体力をつけるべきだと言うのです。
 そしてもう一つ、食事という行為によって一度落ち着き冷静になる事が、ここ一番では重要なのだと思います。このマインドを少年漫画で伝えてくれるのも999の素晴らしいところですね。
 なお、真理子のホタルで乗ってきた弱虫優男はすみの席で震えております。

 999は宇宙図にも記録する事ができない海賊惑星ジュエルにも曳航されてしまいます。そして軟着陸させられた頭上にいよいよクイーンエメラルダス号が姿を見せてくるのです。

 エメラルダス号より乗客全員降りるように指示が出ました。しかし、真理子のホタルの優男だけが震えて降りてきません。それを見てエメラルダス号は容赦なくその車両を破壊します。
 優男は次の停車駅に着くこともなく旅が終わってしまいました。これが厳しい宇宙の掟なんでしょう。

 松本氏は信念、覚悟がない者にはとても冷酷です。逆にそれがあれば少し不利な環境にあっても何とかなる展開が多いのです。999が持つ暗いながらもわずかな光を感じられる雰囲気はそんなところにありそうです。

 次に巨大なUFOキャッチャーが降りてきて、鉄郎とメーテルを船の中へ釣り上げてしまいました。船の中では早速エメラルダスの登場です。しかし全身をフードで包んでおり顔も分かりません。そしてまたもやといいますか毎度の事といいますかメーテルの体が欲しいと言うのでした。

 もうこの展開は何度目でしょう。
 そして決闘の末、メーテルが負けてしまいます。さすがのメーテルもエメラルダスには敵わないと言う事なんでしょうか。でもなぜエメラルダスがメーテルの身体を欲しがるのか、謎は深まります。
 メーテルとエメラルダスは身体を入れ替えるため別室へ行ってしまいます。それを阻止すべく船内をさまよっていた鉄郎は大きなドクロの装飾がある部屋に迷い込んでしまいます。

 そこには大きなベッドとそこに横たわっている頬にキズのある女性がいました。

 おそらく病床にふせっているこの人物のただならぬ雰囲気、それを見て読者は間違いなくこの人はエメラルダスだと思うはずです。

「女の部屋へ入ったのなら帽子をとってうしろのドアを閉めなさい」

 先ほどまでのエメラルダスとは明らかに違う大物感があります。そして鉄郎は今指揮を取っているのは代理のアンドロイドである事を聞くのです。
 メーテルを助けたいと言うとすんなり手術室への扉を開けてくれるのでした。

 エメラルダスは鉄郎と会うまでメーテルが来ていた事も知りませんでした。それほど容体が悪いのでしょうか。確かにエメラルダス本人が知っていればこんな蛮行を許さないと思います。

 鉄郎は急いでメーテルのところへ行くのですが、時すでに遅し!笑 メーテルがほぼ倒してしまっていました。やはりさっきは本気を出していなかったのでしょう。

 そして偽エメラルダスはフードを剥がされ、中から完全機械のアンドロイドの体が露わとなってしまいます。最後に鉄郎が戦士の銃で頭を撃ち抜き倒されました。

 その後メーテルとエメラルダスは直接会うこともなく別れるのです。せっかくの大物登場なのにもったいない気もします。

 このエピソード執筆時からは少し先の事になりますが松本氏は自身の作品の統合計画を進める事となります。エメラルダスを病床に伏している事にしてあまり物語に絡めてこなかった理由はおそらく統合計画がまだそれほど明確になっていない事もあったのかもしれません。

 しかし、ほんの一瞬しか登場しなかったにもかかわらず忘れられない程の印象を残したエメラルダスと、このエピソードの展開には胸が熱くなりました。

「美しいものも才能にめぐまれたものもいつか老いさらばえて死んでゆく これが宇宙に生まれた命あるもののさだめだ 今海賊エメラルダスがどこの空間を旅しているのか誰もしらない たとえ逃れられないとわかっていても その運命にさからって精いっぱい戦っているエメラルダスのことをメーテルは忘れはしない・・」

 久しぶりに読んで、エメラルダスのドクロの髪飾りの可愛さに気付きました

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