僕たち大人には説明能力が必要だ
僕たちが建築学科の学生だった平成の初め頃は、バブル景気のピークを迎えた時代だった。とは言っても学生の身分ではお金があるわけでもなく、華やかな時代の恩恵を感じたことはそれほどない。唯一、就職活動に際して企業が非常に積極的で、クラスまとめて食事会に誘われたり、突然に資料請求もしていない大銀行から、「明日来てくれたら内定を出す。」なんて言われたりして、自分さえ道を決めれば社会に出ることはそれ程難しくないのかなと思っていた。
建築学科の学生には、設計製図という授業がある。2カ月程