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なぜアフガニスタンはビンラディン氏をアメリカに渡さなかったか

以前、このような記事をアップしました。

どちらも、2002年に出版された『本当のアフガニスタン』という本からの引用で、中村哲Dr.が講演会場の質疑応答で説明した内容です。

今回は、第3弾です。アフガニスタン第3弾!
今しばらく、お付き合いくださいませm(_ _)m
今回も質疑応答からの引用となります。

Q:タリバンがバーミヤンの仏教遺跡を爆破したことについてどう思いますか。また、アメリカに空爆の理由を与えたタリバンとビンラディンをどうお考えですか。

前半への回答については、ここでは割愛しますが、報道の在り方やタリバンの思想信条について色々と説得力のある説明がなされています。

タイトルでも示した後半への回答は、以下の通りです。

ビンラディンについては、もっと複雑なものがある。というのは、アフガンの人たちの対アラブ感情は必ずしも良くない。

日本人とアラブ人を比べると、もちろん日本人が大好き。同じイスラム教徒であっても、アラブ人とて外国人の一人にすぎない。

しかし、客人接待、復讐法、この二つを失うと、アフガニスタンの同一性がなくなるほど、厳しい掟。

※ 復讐法については、前述の2つ目のnoteで触れています。ちなみに、日本人が大好きというのは、1つ目のnoteの内容です。

ビンラディンはお客様。「お客様」というのは特別な響きがあるので、たとえ敵が来ようと守るのは美徳。これは人々に説得力を持つ。

逆にお客様を追放するようなことをしては、政権の支持を一気に失いかねない。だからまあ、簡単に言うと、「迷惑なお客様」ということ。

お客様である以上は、相手がアメリカだろうとロシアだろうと絶対に渡さない。この義理堅さは、現在の日本人には分からない。

この慣習法をなくすということは、アフガン人がアフガン人でなくなるということに等しい。

だから、「渡さないけれども、自分で出ていって欲しい」というのが、普通の人の感情だった。迷惑なお客様ということ。

そうしたアフガンの事情を斟酌(しんしゃく)しないでアメリカは空爆で女、子供もふくめて何千人もの命を抹殺した。

ニューヨークのテロで亡くなった人たちへの哀悼は世界中で行われているが、アフガンへの空爆で死んでしまった人たちへの弔意はどこでだれがしてくれているのでしょうか。

おそらく、空爆下で逃げまどった無数の飢えた女や子どもたちが、次のテロリストの予備軍でしょう。



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