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飛び立て!(シューマンのパピヨン)


学習まんがからの引用です。

父親とともに演奏旅行に出かけていたクララ(後にシューマンの妻となるピアニスト)。7ヶ月ぶりに帰ってきたシーンにて。

クララが留守のあいだ、ピアニストを志すシューマンははげしい練習をくりかえして、指をいためてしまっていた。

そして、ピアニストになる夢を失ってしまった。

クララ
「…いまの話 ほんとうなんですか?
 ピアニストになれないって……」

クララは泣いています。
シューマンは優しい顔でクララに語りかけます。

シューマン
「……もうここへ来ることもないかもしれない」

クララ
「どうしてですか?」

クララは悲しそうです。

シューマン
「この指ではどんなに練習したって
 ピアニストになるのは難しいからね」

シューマンは、クララの父にピアノを習っていたのです。

クララ
「そんな!?」

シューマン
「ありがとう ぼくのために悲しんでくれて……」

その直後のこと。観念したクララが「じゃあ ちょっと待ってくだ……」と言いながらピアノの部屋のドアを開けたところ…

バサバサと大量の楽譜が床に落ちます。

クララ
「この楽譜 シューマンさんの……?」

シューマン
「きみが留守のあいだに書いたんだ
 ……ほしければあげるよ」

クララは、楽譜を見てピアノを弾きました。
シューマンはハッとします。

クララ
「シューマンさん! この曲すごくすてき!!
 こんな曲はじめてです!」

それは「パピヨン(チョウ)」という曲でした。

シューマン

(ぼくのつくった曲が
 飛び立っていく……)


クララ
(シューマンさん あなたのかわりに
 わたしがこの曲をひくわ……)


シューマン

(すばらしい 音楽となって……)



☆出典☆

学習まんが 世界の伝記NEXT (集英社)

クララ・シューマン


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