いつまでも美しく輝き続けるもの(実は弟ネタ)
この世で生き残るのは・・・
ある時、弟が
「強いものが生き残るのではない。変化できるものが生き残るんや」
と言っていました。その通りでしょう。
大型ネコ科動物のトラなどは、人間が引き起こしてしまっている環境破壊が原因ではありますが、絶滅の危機に瀕しています。
その点、同じネコ科動物でも、ヨーロッパヤマネコの亜種であるリビアヤマネコは、イエネコ(世界中で飼われている、ありとあらゆる種類のネコ)に変化し、人間の寵愛も手伝ってか、絶滅とは程遠い状況にあります。
しかし、いつまでも変化しないものも、なかなか魅力的です。
現に、リビアヤマネコは原種が今でも野生で生息していて、それはそれで気高くて素晴らしいことです。
弟のノスタルジア
弟が高校2年生の頃、クラスにAさんという、「清楚」という言葉を絵に描いたような、髪の長い可憐な乙女がいました。
バレンタインの日。恋するAさんは、1人の男子生徒をどこかに呼んでいました。
Aさんは友達と話しながら心配そうに「来てくれるかなぁ」と言っていたそう。弟は心の中で
「誰が行かないんですか? いや、みんな行く。呼ばれてないヤツも行く。呼ばれたヤツをしばきに行く」
と思ったそうです。
「誰が行かないんですか?」
…国語の授業で習った、文末につく反語の「か」は、このように生かされるのです。後ろに余計な文もくっついていますが。
Aさんこそ、従来から世界中の殿方が憧れてやまない、日本人女性の姿なのかもしれません。
照れを隠す弟
Aさんは性格が良くて、3年生でクラスが離れても、陸上部で頑張っている弟に何の屈託もなく
「クラブ頑張ってなぁ!」
とエールを送ってくれました。弟のAさんの口真似を聞くと、Aさんの声が高くて可愛らしいことがわかります。
弟は照れを隠しながらクールに「あ、あぁ、Aさんも」と。Aさんはテニス部なのです。Aさんは残念そうな笑顔で「私もう終わったねん」と。
弟は「試合に負けたから終わったに違いない」と言います。実際そうなのでしょうし、それがしっくりくるのでしょう。
もっとも弟は、試合に勝ち続けるような強い女子も大好きなのですが。
おおかた、試合に勝ってなお有り余っている力で、愚かな自分をしばいてほしいのでしょう。
弟ときたら、他の男子部員と肩を並べ、美しい先輩女子がなぜかサンドバッグでキックの練習をしているのを見て
「…オレ、あれ(サンドバッグ)になりたい」
「…オレも」
と密かに言い合っているのです。南極あたりまで蹴飛ばしてもらうのが妥当でしょう。
エピローグ
弟のあらゆる言動・所業に呆れた私がついに「おまいは…なんでそんなアホなんや?」と言うと
「オマエの弟やから!」
と楽しげに即答。
それはさておき。Aさんは、可憐なだけではありません。大学卒業後は、スチュワーデス、いえ、キャビン・アテンダントになったのです。
なんて素敵な女性でしょう。はからずして、Aさんは最強なのだと思います。
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