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take1018
喧嘩、競争、仲間外れ、男女の差別、モノの独占、泥棒、ウソのない世界
そんな世界が、現実に存在するのです。
私の職業は養護教諭(保健室の先生)。
業界誌を読んでいると、ある連載記事で、「生きる力」をリアルに感じさせる人びととして、狩猟採集民のことが述べられていました。
北タイの山地で生活するムラブリ族や、ミャンマーのアンダマン海で遊動的な生活をしているサロン(モーケン)族。
現代社会からは遠い世界にいて、物的には限界とも言えるほどシンプルな生活。
GDPとか工業技術とかの尺度で測ればすべて0で、日本のどんな貧しい人びとよりも物的には貧しいと言える。
知識、芸術、スポーツなども比較できるようなものはなく、外見も立派には見えない。
しかし、彼らの存在に接してみると、
人はどうすれば安全に、平和に、そして幸福感をもって生活を維持していけるのか
などという根源的な問いに対する貴重なヒントが得られるように思えると、記事の筆者は語ります。そして、こう続くのです。
子どもたちの行動を観察していても、彼らの世界には喧嘩、競争、仲間外れ、男女の差別、モノの独占、泥棒、ウソはありません。これだけでも驚くべきことです。
むろん近年、就学するようになった彼らの世界に、日本の社会の病理とも言えるイジメや自殺、非行などを想像することはできません。
彼らの視点からしてみたら、日本の学校の世界は異次元のように映ります。彼らから私たちが学べることは決して少なくないでしょう。
☆出典☆
月刊『健康教室』2024年4月号 p.60