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ジェイファンが不能説的秘密と言えない秘密を比べてみた


わたしの背景

台湾のアーティスト周杰倫(Jay Chou)が大好き(ファン歴20年ほど)。彼の作る音楽の世界観に惚れ込んでいる(見た目はそれほどでもない)。映画『不能説的秘密』の公開時には足繁く劇場に通い詰め、聖地巡礼に行き、DVDを擦り切れるほどみた、熱烈な『不能説的秘密』ファン


周杰倫(Jay Chou)について

リメイクが発表された時、きょもが主演!!台湾の映画のリメイクだって!!と騒がしかったスト担界隈ですが、一方で、この周杰倫って誰?見たことないし聞いたこともないけど?みたいな反応だったのがちょーーっと寂しかったので、感想の前に少しだけジェイについて宣伝させてください。

周杰倫(Jay Chou)はアジア圏(日本除く)で超絶人気を誇る台湾のアーティスト。知り合いの中国人や台湾人に「周杰倫知ってる?」って聞いたらほぼ100%「もちろん」と返事がくるはず。ぜひ聞いてみて欲しいのは名曲中の名曲「七里香」、中国の教科書にも載っている「蝸牛」とかとか。(他にも素晴らしい曲がたくさんあるよ!)
映画『不能説的秘密』では、自身が出演するだけでなく、監督、脚本、音楽など、映画制作の全般に関わり台湾金馬奨を受賞。マルチな才能で高い評価を得ている(台湾のアカデミー賞 3部門受賞(最優秀台湾映画賞・主題歌賞・視覚効果賞))

(上海国際映画祭での上映に関しては、主演が今をときめく京本大我であること以上に、「”あの”ジェイ・チョウの大ヒット作『不能説の秘密』のリメイク」という点が大きかったんじゃないかと個人的に思ってる)


大雑把な感想

一言で言うと『言えない秘密』(以降、日本版、と記載します)とてもおもしろかった。初見の方でも「秘密」を理解できて楽しめる作りになっていたと思う。
『不能説的秘密』(以降、台湾版、と記載)とは結末も含めていくつか違いがあったけれど、「秘密」の基本はそのままに、登場人物や背景など上手く変更してあり、「2人の結末はこうでした」というのがすごくわかりやすくなっていたし、細かい部分の辻褄合わせについても日本版の方が上手でわかりやすかった。

日本版のリメイクがされると発表されたとき、きょもが主演という嬉しさもありつつ、音楽はどうなる??と若干不安があったのは否定できない(おそらくほとんどのジェイファンが思っていたはず)。『不能説的秘密』の素晴らしい世界観はジェイの音楽があってこそ完成するものなので。でも実際のところ、台湾版と日本版で音楽が違ってよかったとおもう。なぜなら日本版は台湾版のリメイクではなくあくまでも台湾版を原案にした映画、だったから。これで音楽が同じだと逆に世界観こわれたーーと感じて嘆いていたかもしれない。
主題歌はSixTONESの「ここに帰ってきて」。私がSixTONESのファンであることを抜きにして、日本版の結末に歌詞もメロディもとても合っていたと思う。

いろいろ言いたいことがあるけれど、この映画はやっぱり一度は自分の目で観てほしい&ネタバレ避けということで、以下、全体の比較と日本版でよかったところ、そして重要シーンかつ大好きなピアノバトルについてのみざっくりと私の思ったことを書きます


ざっくりと全体を比較

  • 『不能説的秘密』はジェイの楽曲の力とジェイのジェイによるジェイのための映画。ロマンチスト&ナルシストの極みであるジェイの夢と理想の世界をこれでもかと詰め込み、台湾のノスタルジックな雰囲気でファンタジーとして成り立つ映画。ところどころ???となる箇所があっても、「まぁジェイの考えることだし」とジェイパワーで押し通した感も否めない

  • 先にも述べたけれど、『言えない秘密』は台湾版のリメイクではなくあくまでも台湾版を原案にした映画。秘密の基本はそのままに、ラストの変更、トイピアノのエピソードなどを加えてよりわかりやすくなっていた。また、演者にそこまで観客をねじ伏せる”おかしな”パワーはないので(持つ必要もない)、いろいろな辻褄合わせがとても丁寧で、伏線をわかりやすく回収していたと思う(ラストシーン除く)


日本版の良かった点

  1. 主演の美しさ
    なんと言っても男主演が美しい。スクリーンに映る巨大きょもは前からも横からも後ろからも、たとえ顔が映ってなくてもまったく隙がなく美しくひたすら眼福。
    わたしは20年来のジェイファンで彼のことが大好きだけど、一度も彼を美男と思ったことはないので(ひどい)、美しい世界感が美しい主演でリメイクされてよかったなぁとおもっています

  2. 大学生という設定
    日本版の大学生への設定変更もとても良かった。主演の2人が若く見えることもあり違和感もまったくなし。2周目に気づいたけれど、雪乃ちゃんの私服がちょっと古めかしい感じなのね。お洋服にも秘密が隠されていたことに驚いたし細かな演出にすごく感心させられた
    台湾版は高校生。おいおいジェイさん(当時28歳)その年で制服着るん???といろんな界隈からつっこまれていたほど。何度見返しても、いや〜ジェイの制服姿きついな〜まぁかわいいけど。。みたいな気持ちになる

  3. 湊人のお父さんの職業とトイピアノのエピソード
    秘密を打ち明ける相手の変更とともに追加された日本版オリジナルエピソード。これについては詳細はあえて伏せます


ピアノバトルについて語りたい

日本版
日本版の2人よくがんばりました👏
🎹王子についてはのちほど書くとして、さすがきょも、魅せ方がうまい。

  • 主演の演奏: きょもさん、演奏シーンでの魅せ方が上手く、ほぼ?本人が弾いている映像(鍵盤の位置と音が合っていないところがあった)が使われていた。本人がたくさん練習したと言っていたし、カメラワークのうまさもあり動きが自然で良かった(手元のみアップのカットは身体や顔が映り込まないカメラワークになっていたのがすこし気になる程度)。🎹王子についてはおまけ参照

  • 演出の意図: 湊人の苦悩とトラウマに深く焦点を当て、ピアノを弾くことへの葛藤をメインに据えたシーンだと感じた。日本版の監督&脚本家はこのシーンのバトル性にあまり重きを置いていない印象、というか、熱いバトルという側面より湊人の心の内面の葛藤がより深く描かれていたように思う

  • 演奏シーンの迫力: 通過儀礼というワードがあったが、周りの人間の賭けの対象であり、本人たちが何も賭けていない。演奏自体は一生懸命さが伝わってくるが、演奏に対する目的が不明瞭で惜しいと感じた。トラウマの描写がイマイチ弱く、演奏は素晴らしいのに説得力に欠けていた(他にも色々あったのかもしれないけれど、怒られたくらいで留学やめて帰ってくる??え?その程度で?とわたしは思った)

台湾版

  • 主演の演奏: このシーンを含めラストシーンや他の演奏シーン全て、主役であるジェイ・チョウがピアノを弾くシーンへの力の入れようが半端ない(それはそう)。相手役は南拳媽媽の宇豪(ユーハオ)。本職2人の真剣勝負&手元の動きの凄さ、ピアノの音だけではなく全身で演奏を楽しみそして魅せてくれる

  • 演出の意図: このシーンは、シャンルンが一度聴いた曲を楽譜なしで完璧に弾きこなすという、彼の卓越した音楽才能を観客に見せるためのもの、そして、ラストシーンへと繋がる重要な伏線になっている。日本版でもおそらくそういう風な意図はあったかもしれないが、このシーンが持つ、音楽を通じた二人の真剣な対決という側面がやや薄れてしまったのが本当に残念。台湾版は、シャオユーが欲しがっていた楽譜を賭けた真剣勝負であり、それぞれが持つ音楽への情熱がそのまま演奏で表現されていた

  • 演奏シーンの迫力: 演奏自体がライブさながらの迫力があり、手元の映像もはっきりと映っている。演奏技術や情熱がぶつかり合う様子が生々しく、その場にいるかのような臨場感にひたれてサイコー。この映画を語る上で欠かせないシーンの一つなので台湾版を見る機会があればぜひ注目して欲しい


おまけ:ちょっとだけ言わせて

  1. 日本版の🎹王子はピアノの腕はあったかもしれないけれど、どうにも安っぽさが拭えなかった。きょもみたいな超美形の相手、しかも王子なんだから相手役はもうちょっと吟味してほしかった(きょもの美しさを際立たせるという意味では正解だったのかも??)後輩Gにもピアノ得意な子いるんだし、バーターでもなんでもいいから見目麗しい方との対決を見たかったなぁ

  2. 琴音ちゃんは可愛い。可愛いし、病弱でかつ少し古めかしくみえる顔立ちはストーリにピッタリ。彼女が泣くシーン、いま思い出しても泣けちゃうくらい素晴らしい演技だった。でもやっぱりルンメイちゃんの放つ透明感は唯一無二なの。。。

  3. お母さんは写真の存在を知っていたはず。湊人の顔を見て思い出さないのはどうしてなのかな?

  4. ラスト、どうやって帰ってきた??(これが日本版でいちばん引っかかっていること)

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