ChatGPTで考える、ブランド戦略としてコンプライアンス
こんにちは。ブランド×弁護士の三浦です。「コンセプトドリヴン・コンプライアンス: 担当者の9割が見落としている企業コンプライアンスの極意」 を職場や勉強会で回し読みしたい、書籍付きセミナーをお願いしたいというお声をたくさんいただいております(中には「サイン本が欲しい」という方も…笑)。ありがとうございます。
そこで、4月をめどに紙の書籍(ペーパーバック)も読めるようにしたいと思い、現在レイアウト調整などを行っていますので楽しみにお待ちください。
さて、本日は「ブランディングの一環としてコンプライアンスに取り組む」ということは結局どういうことなのか?をChatGPTを使って考えていきたいと思います。
ChatGPTに聞いてみた。
ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な自然言語処理モデル。画面に質問を入力すると、様々な答えを返してくれるツールです。最近話題になっているので触ったことがある人も多いかもしれません。
さて、そんなChatGPTに「ブランド戦略としてのコンプライアンス」とは具体的にどういうことなのかを聞いてみました。その答えがこちら。
結構いい線ついてます。いろいろと答えてくれていますが、ポイントはどこにあるのでしょうか。
外部に開かれたコンプライアンス活動
ChatGPTの回答を私なりにまとめると、「コンプライアンス活動を外部に積極的にアピールすると、ステークホルダーからの信頼が獲得でき、ブランド価値が向上する」というわけです。
一般に、「コンプライアンスは社内の取り組みであり、外部に積極的に発信するような事柄ではない」と考えられることが多いですよね。これに対して、ブランド戦略としてのコンプライアンスは「コンプライアンスは社外からの信頼獲得に向けた取り組みであり、外部に積極的に発信すべき事柄だ」と考えます。ここが決定的に違う点です。
この点については、ブランズウィックグループと経団連が2022年に行った「日米グローバル企業の経営トップに対する意識調査」の中に面白いデータがあります。
それによると、日本の経営者は「社会課題」への対応を過度にアピールすると、かえってマイナスに働くことがあると考える傾向があるのに対し、アメリカの経営者は社会課題への対応と具体的なアクションは消費者の信頼を得るために必要であり、消費者もまた具体的なアクションを期待しているというのです。レポートは、重要な洞察として「日本企業の良いところが伝わってい ないこと及びその事実に気づいていないこと」ことがあると指摘しています。
確かに、「善行を積極的にアピールすることは品が無い」という、日本人的な奥ゆかしさというか、そういった感覚は私も理解できるところです。誰からも褒められることが無くとも、粛々と善行を積み重ねる姿を美しいと思う人もいることでしょう。
しかし、それはそのような奥ゆかしさが美徳として共有されている社会での話。グローバル化や価値観の多様化が進む現代においては、別のやり方も準備しておく必要がありそうです。そもそも、「私たちは、ハラスメントを無くすためにこんなに真剣に取り組んでいる」「談合や賄賂を防ぐためにここまでやっている」そんな発信を見て、「品のない会社だ」と感じる消費者って、実際にどれくらいいるんでしょうか?
コンプライアンスは、外部とのコミュニケーションを前提としてデザインされていない
ブランディングでは、ブランドの活動の一つ一つを「タッチポイント」と捉え、細部にまでブランド理念を吹き込んでいきます。例えば、ディズニーランドに行くと目につきやすい建物やキャストの衣装だけでなく、植栽、食器やゴミ箱に至るまでディズニーの世界観が表れています。
しかし、日本において、コンプライアンス活動がステークホルダーとのコミュニケーションを前提としてデザインされていることは稀です。美しいヴィジュアルイメージを持ち、クールな動画を発表しているブランドであっても、コンプライアンス研修は無味乾燥で、野暮ったいものであることが多いのです。
これは何とかしなければなりません。コンプライアンス研修を受けたら、ブランドの世界観を体験できるとか、契約書を読むだけでそのブランドが好きになる、それがブランディング×コンプライアンスの目指す世界です。
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