スーパーで私の恋は半額じゃない第六話
二人の決意
儀式が終わりゆみは半額シールを手に持ちながら、周囲を警戒していた。そんな時、信子が近づいてきてゆみの動きを見つめた。
「ゆみさん、何をしているの?」信子の声は鋭かった。
ゆみは少し困った顔をしながら答えた。「ただ、このスーパーやまのぶの商品の品揃えには驚いていて。もっと詳しく見てみたいと思って。」
信子は微笑んで言った。「確かに、このスーパーは特別ですよね。でも、ゆみさんがこんなところでこんなに興奮するなんて、ちょっと驚きましたよ。」
ゆみは軽く笑いながら「そうですか。私、新しいことに興味津々なもので。でも、どうやら私の知らないことがまだたくさんあるようですね」と遠回しに伝えた。
信子はうなずきながら去っていったが、ゆみの心の中では信子に悟られそうになった瞬間の恐怖感が消えることはなかった。
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ゆみは信子からの危険を感じ、他の住民にこの世界の儀式や常識についての情報を得ることを決意した。
幸子は周囲から見ると少し孤立しているような印象を受けた。バックヤードで運んでいた荷物を誤って落としてしまい、周囲の人々からやっかい者として扱われていた。ゆみはこの機を逃さず、幸子に近づくことを決めた。
「大丈夫ですか?」とゆみが声をかけると、幸子は驚いたような表情を浮かべた。「あ、うん、大丈夫です。ありがとうございます。」
ゆみはこの世界のことを聞き出すため幸子との関係を深めることを決意し、彼女との会話を楽しむ中で、その距離を少しずつ縮めていった。幸子の話す日常や趣味の話題で二人は盛り上がった。
仕事が終わり、ゆみはゆうたと再会する。
ゆうたがゆみに見た出来事を伝えると、ゆみの顔色が一変した。彼女の瞳には明らかな恐怖が浮かんでいた。「それは…信じられない。こんな世界、どうすればいいの?」
公園のベンチに腰掛け、ゆうたとゆみは周囲の静けさの中で深い話し合いを始めた。
「この世界に来た経緯…」ゆみが言葉を詰まらせた。「何か手がかりや記憶に残る出来事は?」
「木にぶら下がるゆうたを助けようとロープを解こうとしたら木の枝が折れて2人とも近くの崖から転落して気がつけばこの世界にいるの」
ゆみとゆうたは辺りを見渡す。周囲は奇妙な空間が広がっている。2人の足元には壮絶な崖が広がっていた。目の前の景色は信じられないものだった。
「ゆうた、これが…」ゆみが小さく声を震わせながら言った。
「あの崖から…この世界に来たんだよね。」
2人は再びその崖の前に立っていた。現実に戻るため、2人は躊躇することなく手を取り合い、再び崖の端に立った。
「一緒に…」ゆうたがゆみに向かって言葉を紡ぎながら、2人は深呼吸をした。
「無理 絶対 にありそう無理 こんな高さから落ちたら」
そして、共に崖から身を投げた。
しかし、飛び込むことで期待していた光景は現れなかった。地面に到達することなく、2人は再び奇妙な空間に浮かんでいる感覚に包まれ2人は再び崖の端に立っていた。
「ひょっとして現実に戻ったかもしれない」
二人に安堵の気持ちがたちこみ
しかし、空を見上げると昼過ぎの二つ太陽は空で輝きを放っていた。
「どうして…」ゆみが涙を流しながらゆうたに問いかけた。
「もう一度試すしかない。」
2人は再び崖の端に立った。絶望的な気持ちを抱えながら、彼らは現実に戻るための唯一の方法を探して、再び身を投げ出した。しかし、結果は何度やっても同じだった。
ゆうたはゆみの手を握りしめ、安心させるように言った。「安心して他に現実に戻る方法があるかもしれない」
「それまでこの世界で二人とも生き延びるため俺がゆみのこと守るから安心して」
ゆみはゆうたの言葉に少し安堵したように頷いた。「ありがとう、ゆうた。私たちで何とかしないと…」
二人は手を取り合い、この奇妙な世界での生き抜く方法を模索する決意を固めた。
「そのためにはこの世界情報を集めよう ゆみ やまのぶで働いて何かわかったことあるかい?」
幸子とのことを少し話す。「ゆうた、今日は幸子って子とちょっと話したんだ。彼女からこの街のことを聞き出そうと思って…」
ゆうたは興味津々の表情を浮かべたが、ゆみは慎重にならなければならないと感じていた。「まだ、彼女に何かを聞き出すのは早いかもしれない。この世界の秘密を知ることは危険だと思う」
ゆうたはゆみの言葉を重く受け止め、二人は共にこの不思議な世界での生活をどう乗り越えていくかを真剣に考え始めた。
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