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家庭科の授業で味噌づくりは可能か?
「私が家庭科の先生だったら、味噌づくりをするわ。
いい経験になると思うし。やってみて。」
二人目の育休中、私は訳あって夫の実家に住んでいた期間があります。
("訳”の部分は、5年後くらいには笑って話せるように?
話せるようになったらnoteで話すので聞いてください)
夫の実家は田んぼだらけの田舎にあり、
その田舎の小さなコミュニティーの中で、
人間関係構築をはかる必要性を感じていたこともあり、
(結局は3年くらいで引っ越すことになるのですが)
村の婦人会の集まりに参加していました。
公民館の掃除をしてから、お茶会があり、
お茶やお菓子と、みかんを1つずつ配り終えて、
「あなたも座ってお茶飲んで」
一番年齢が近くて優しいM美さんが
声をかけてくださったので、
空いた座布団をさがすと、1つだけ。
婦人会ヒエラルキーの頂点に立つY田さんの隣。
嫌な予感。
「家庭科の先生って、学校で何してるの?ヒマそうやん。」
「学校で一番ラクそうでいいね。」
「他の先生のこと手伝わなあかんよー。」
公民館の畳の部屋。
大声でいうY田さん。
「はぁ、えー。あはは。」愛想笑いの私。
私が家庭科の先生をしてるって、
私の許可を得ずに村人に言った人
(100%義母)
おぼえとけよ。
家庭科の授業… 家庭科の教師…
なめられている?
私が「数学」とか「英語」の教師だったら、
Y田さんの態度も違ったのではないかと思う。
私の自治体には中学校が7校あり、
そのうち、家庭科の免許がある教師がいる学校は3校。
4校は、家庭科の免許を持っていない教師が
家庭科の授業を担当してる。
(例えば国語の先生が家庭科を教えるとか)
このことも「家庭科なめられている」と感じさせる。
「家庭科なら、免許なくても大丈夫だろう」
的な、”家庭科軽視思想”を感じる。
「そんなことないよ。考えすぎだよ。」
温和な誰かのこんな言葉が聞こえてきそう。
でも、ごめんなさい。私の、
ネガティブマインド&マイナスマインド&いじけマインド故のひとり言。
「こんな人いるんだ」って聞き流してください。
さらに、他教科でありながら家庭科授業を担当されている方、
どの学校の先生も”女性”であることから、
「女なら家庭科の授業イケる」
なんて思われているようにも感じます。
許すまじ。(卑屈マインド追加)
Y田さん、身なりはとても綺麗にされている方。
お料理も上手な方で、
婦人会の集まりでは、よく口頭での
お料理アドバイスが披露されていました。
・やきそばの麺は1分くらい電子レンジでチンしてから炒めるとよい
・サラダにリンゴの薄切りを入れるとおいしい
・ポン酢は少し高いものを使うと家族が喜ぶ
など。
「へー。」とだいたい聞いて、
たまに「あーそう。」の変化球もはさみながら聞く婦人会の方々。
私の愛想笑いも疲れてきたころに、
Y田さんが言う。
Y田さん「アドバイスしたいねんけどいい?」
私 「はい」
Y田さん「私が家庭科の先生だったら、味噌づくりをするわ。
いい経験になると思うし。調理実習ですればいいねん。
味噌作って、それで味噌汁を作ればいい。やってみて。」
私 「・・・・・・」
『味噌作って、それで味噌汁を作ればいい。』
それがどれだけ大変なことか。
公立中学校、実習助手いません。
(実習助手の方いらっしゃる自治体ってあるのかな?)
一人で授業の準備して、授業、片づけ。
2時間(ほとんどの学校は1時間しか無理だと思います。でも時間割を変更して2時間の実習ができる学校もあると思います。私はできるほうです)で、
大豆蒸してつぶして、塩と混ぜて、
味噌甕(みそがめ)に入れる。
そして発酵させる。
約半年から1年の熟成後、味噌汁にして食べる。
これがY田さんにとってはナイスアイデアだと思うけれど、
実際は難しすぎる。
仮に1班4人で1つの味噌甕を割り振ったとすれば、
1クラスで甕を8~9つ用意する必要がある。
(甕を買ってくださいと事務の方にお願いする。
ダメと言われたらそこで試合終了です。)
実習前に味噌甕のアルコール消毒をする。
(アルコール酔いする子もいるから
実習が始まる前に教師だけでする)
大豆を班ごとの分量に計量し、水につけ、
一晩給水させておく。
(ゴキブリが出ることもあるので、しっかり蓋かラップを)
実習中は、蒸し器で湯を沸騰させるので、
実習室は、蒸気が充満し、かなり蒸し暑くなるので、
体調不良者がでないか気を配る。
味噌玉をこねる時に、
爪が伸びていたら不衛生なので、
実習前に爪のチェックが必要。
(でも「爪が伸びているから全く実習させない」となると、
後で保護者からのクレームが来るので、洗い物をがんばりなさい等、個々に指示しておく)
そもそも大豆のアレルギーを持っている生徒は多いので、
実習前に、保護者に「大豆を使った実習をするが参加するか」という案内(テンプレはある)を出す必要がある。
そして、参加しないと返事を出した生徒は、
当日実習中は教室で自習などで過ごすか、調理室で過ごすかを確認して、
教室で過ごす場合は、自習監督に来てくださる先生を頼まないといけない。
「大豆アレルギーはあるけど、味噌玉を作るくらいなら参加する」
というようなお返事をする生徒も多数いると考えられるので、
保健室の先生には、万が一、出動していただく可能性があるかもしれない。実習日、実習時間、該当生徒を連絡しておく。
蒸してすぐの大豆はとても熱いので、冷めるまで時間がかかるし、手が汚れるから食品用ビニール手袋を催促する生徒もいるかもしれないので、事務の方に購入をお願いしておく。
味噌玉を甕に敷き詰め、塩で覆いかぶせ、蓋をする。
『風通しの良い日陰』に各班で甕を持って行かせる。
この『風通しの良い日陰』は、学校ではどこか?
各クラス8~9つの甕であれば、3クラスであれば24~27つになる。
これを保管できるスペースがあるのか??
悪意のあるイタズラ(異物混入など)があるかもしれない。
そして、無事に冬を越して味噌ができたとする。
『さあ、味噌を使って味噌汁作りの実習だ』
この時、学年が一つ上がっている可能性が高く、
クラス替えをした後では、
自分の班の味噌を、自分たちで食べることが不可能となる。
誰の作った味噌かはわからないけど、
一応は味噌汁をつくる実習はできる。
でも「自分たちが作った味噌」という感覚は得られないなと思う。
さらに、甕に残った味噌を持って帰るために、
各自持ってきたタッパーに詰めさせて、
甕を洗う必要がある。
(大きい、重いから大丈夫かな)
(誰かが作った味噌なんかいらないっていう生徒続出したらどうしよう)
実習後、洗った空の甕を、どこに保管しよう。
ちなみに私の勤務校の調理室には調理準備室がないので、
おそらく調理室に並べて置くしかない。
掃除の時にもジャマになりそう。
・・・大変すぎるやん。
え…
え…
でも待って。
うそ…
私、この文章まとめながら、わくわくしてない?
味噌づくり…
やってみたい。
作った味噌で味噌汁作りたい。
工夫して、相談して、
この困難を乗り越えて、
生徒と味噌を作ってみたい。
1年目は大変そうだけど、
きっと2年目、3年目は生徒も保護者も楽しみなイベントになるかも。
そんな予感がする。
調理室に並べられた約30個の味噌甕。
最高。
Y田さん、ナイスアイデア。
ありがとうございます。
挑戦したい気持ち、
久しぶりに感じています。
味噌づくりする時は
連絡させてください。
地域ボランティアとして参加してくださったらうれしい。
この間も麺をチンしてから焼きそば作りました。
麺がほぐれやすくて、ふっくらおいしい。
Y田さんに感謝。