石原なんでも通信 No.8 (カカオ豆価格の乱高下) です。
円安による海外からの輸入物価の上昇が再三報道される今日この頃ですが、世界を見渡すと気候変動、異常気象による主産地の 不作が最大の要因となっている品目も多いようです。第4号では オリーブオイルを取り上げましたが、今回は「カカオ豆価格の 乱高下」です。
カカオ豆は ここ1年で3倍にもなりました。欧米市場の先物価格はこの4月に初めて 1 トン1万円台に到達しました。ところがここに来て6,000ドル台に 急落。その最大のきっかけは西アフリカの「降雨」とのこと。
これでは日本のチェコレートメーカーもどういう価格を付けてよいか迷い ますね。
一時期の高騰は主産地の不作が主要因ですが、業者の買い戻しでその動きに 拍車がかけられていたようです。このところの世界全体の食料インフレが 業者の心理状況に大きな影響を与えていること間違いなさそうです。
マーケット商品は本当に怖いですね。世界中に関連情報が一瞬にして
出回る時代、生産量そのものに即座にそのまま結びつかない降雨情報
が世界のマーケットを支配しました。
1. 高騰のきっかけは西アフリカ2大産国の不作による供給不安
高騰のきっかけは、2カ国で世界生産の過半数を占めるコートジボワールとガーナの不作に伴う供給不安です。異常気象や病害発生などの影響で収穫が大きく落ち込みました。国際ココア機関(ICCO)によると2月時点でこの 2カ国の主要港湾に集まったカカオ豆の集荷量はそれぞれ前年比3割も減っているとのこと。
今回一旦価格は下がりましたが、ここ1年十分購入できていなかった需要家が買いだす可能性あり、価格は再高騰する可能性もあるようです。
当分、カカオ豆価格を踏まえた「チョコレート価格」の同行には目を離せません。
2.カカオ豆の主産地は?
「カカオ」といえば、ロッテのブランド「ガーナチョコ」を刷り込まれた我々世代は、「ガーナ」を思い出しますが、実態はその隣の国 「コートジボワール」が最大のシェアを持ちます。(以下グラフ参照)
「コートジボワール」はフランス語で「象牙海岸」。長らくフランスの植民地でしたが1960年に独立。
ちなみに「ガーナ」は「黄金海岸」と呼ばれていました。西アフリカは15 世紀以降、ポルトガル、イギリス、オランダなどの西欧列強の貿易船が 訪れ、各地との取引商品に基づき「黄金海岸」「象牙海岸」「胡椒海岸」といった地域名が付けられ、「コートジボワール」はそのまま国名に残って います。
3. カカオ豆はどんな条件で育つの?
カカオの樹の生育条件はかなり限定されています。年間平均気温27℃、年間を通じて気温の上下幅が狭く、降雨量が年平均2000㎜以上の高温多湿と いった条件が必要とのことで、実際栽培されている場所も下図通り、南北 緯度20度以内に限定されているようです。日本では現状小笠原諸島でのみの
栽培のようですが、気候変動により日本の熱帯化が進むと、栽培地域が
広まるかもしれません。
4.日本のカカオ豆はどこから?、そして最大のチョコレートメーカーは?
日本のカカオの輸入先は 圧倒的に「ガーナ」となっています。合計輸入量は2020年では48,533トン。 内、38,564トンがガーナとなっています。 コートジボワールはわずか1,584トン。 日本人はやはり「ガーナ」チョコが大好きなんですね。
さて、日本のチェコレート菓子メーカーの売上は以下参照。
やはり明治、ロッテが強い!
5. 世界のチェコレート生産国, 消費国は?
2019年の数字ですが、生産量の1位は以外とドイツです。それも116万tと ダントツ。これに第2位 イタリア(34万t)、第3位イギリス(29万t) と続き、日本は第4位(23.8万t)です。日本でも有名なベルギーは 第5位(23.4万t)です。
ドイツは一人当たりの消費量も世界第2位(世界1位はルーマニア)、日本人の消費量の約5倍。ドイツの消費者の4分の3が週に一度、10%が一日1回食べている計算になるとのこと。
チョコにはカカオポリフェノール、カカオプロテイン、植物繊維、鉄などの成分が含まれており、肌トラブル、老化の緩和、便秘改善、アレルギー 予防・緩和といった効能があると言われています。健康にも効果があり、 その甘さはひと時の安らぎを感じさせてくれるチョコの供給はしっかり確保していきたいですね。