「プーチンのロシア」に侵略され戦争中であるウクライナ原発関連の懸念(後編)
※-1「原発と原爆」はそもそも兄弟分の立場
a) 2022年2月24日に「プーチンのロシア」が始めたウクライナへの侵略戦争は,ウクライナ国内に15基ある原発のうちその6基がザポロジェに立地している事情からして,それこそ危険がいっぱいと形容するほかない「宇・露間の戦争状態」がいまでも継続中である。
原発に対してそう簡単には手出しできない点は「ロシアのプーチン」も承知である。だが,人間ヤケクソになったなにをするか分からない。旧ソ連のKGB的に人格形成をしてきた,つまり本質面ではまさしく兇人にかぎりなく近い「ウラジミール・プーチン」に向かい,人間性だとか人間愛などは初めからいっさい期待できないし,しないほうがよい。一歩まちがえば,ウクライナの原発を爆発させる戦術を絶対に執らないという保障はない。
その点はプーチンにかぎらずというか,おそらく意図的になのだが,彼の周辺に位置するロシア高官たちの口を借りたかっこうと採ってときおり,「核兵器(とくに戦術核)を使うぞ」と脅迫することは,すでになんどもわれわれが聴いてきた。
b) いまのところ「口だけの脅し文句」だけであってにしても,ウクライナとこの国を支援する欧米諸国に対して脅しの材料に,「原発の原爆化」をもちだすことの〈便利〉さを,プーチンらは大いに使おうとしてきた。しかしながら,もしも,本当にそうなったときはすでに第3次世界大戦の勃発となるほかなく,ロシアだけが無事で済むことはありえない。
そうした有事が新たに発生したときには,NATO諸国が「通常兵器」をもちだしてロシアに総攻撃と実施すると,専門家は説明しているが,そのさいには日本も外野席にいられる立場ではなくなるかもしれない。
また,ロシアという「▲違い国」の舎弟みたいな「軍事強盛国」を気どった,それも核兵器を保有する経済極小国が,その隣国として存在することは軽視できない。この国に対して「拉致した日本人を帰せ!」などといっているその家族たちの思いなど,そうなったらなにもかもすべてが無になる。
旧ソ連時代の1986年4月26日,チェルノブイリ原発の大事故が起きてしまい,深刻かつ重大なる原発事故が人類上始め発生してからというもの,この地球環境の表面に原発を置くという人間の知恵(浅薄だったエネルギー獲得方法)は,われわれの生活環境としての宇宙船「地球号」をわざわざ破壊していくもっともお手軽が方法である事実を,教えられたはずであった。
ところが,われわれは「原発の利用」がイコール「原発の危険性」と同居している事実をしらないわけでないにもかかわらず,世界中ではいまもなお原発を新たに建設し,電力生産に利用とする国々がないのではない。
c) 2023 年 1 月 1 日現在,世界において運転中の原子力発電所は,431基ある。これらをさらに,運転年数:期間別に分類した基数は,以下のようになっていた。
0~10 年 14.6%
10~20 年 7.7%
20~30 年 12.3%
30~40 年 40.1%
40~50 年 21.8%
50~60 年 3.5%
補注)https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2023/01/operational_reactors_by_age-1.pdf の関連する一覧表から引用。
当初,「原発の耐用年数=実際に稼働させていく期限」は30年と規定された。ところがそのうち40年に伸ばされ,現在ではなんと60年に,おまけに日本は「実際に稼働していなかった期間」までそれから除外してその「耐用年数」を計算(合算)すればいいなどと,工学的な「技術論の基礎に照らしていえば,トンデモない発想」がごり押されたたあげく,原発をより長期間稼働させることを決めさせていた。
ところで,あなたは,半世紀前もの「現役就航中の旅客機」にあなたは,なんの不安もなしに「搭乗する覚悟」はあるか?
原発の原子炉〔これを囲むようにして格納容器が設置され,これら全体がさらに建屋のなかに建設されている〕の,本当の耐用年数は実は,まだ正確にはよく分かっていない。なかでも,放射線の影響がどのような打撃・損傷を原子炉にじわじわと与えているかは,これがまだ科学理論的にきちんと解明され「理論的に説明できていない」ままである。
原子力工学の専門家が原発の寿命に関して一番懸念する理由が,その問題にこそ厳在しているわけであるが,その種の不詳をきびしく追究する立場を採らない点は,相当に問題のあり過ぎる立場であった。
それでもできるだけ長期間,原発は稼働させても危険性はない,ともかく大丈夫なのだといったごとき,この原発=「核発電装置」による電力生産方式に関しては,なぜかきわめて特殊に実にあやしい基本認識が提示されていてきていながら,この事実を科学理論的に解明し,批判する原子力工学の専門家たちは,いっさい原子力村からは排斥され,あまつさえ疎外され抑圧されてきた。
d) すなわち,その種のエセ認識はけっして科学的に合理性ある根拠を明示したことはなかった。例のすでにいまでは完全に自壊した「原発安全神話」は,その原子力工学でも原子力村の構成員になっている研究者たちの立場であっても,現在となっては「よく理解し承知の事実:前提」になっている。
原発という核発電装置に関しては,それこそ危険を満載・充満させたエセ技術観であると批判される必要が,そもそも出発点からあった。原発というものはいってみれば,非常に荒っぽいだけでなく,基本から危険の詰まった技術体系によって成立していた「核発電」方式であった。それゆえ,わざわざ電力を生産するために利用した当初の意図からして,どだい反人類的かつ非人間的な本性を有していた。
それならば,チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)や東電福島第1原発事故(2011年3月11日)につづく第3の原発大事故が,それこそ「三度目の正直」となってこれから,いつかどこかで絶対に発生しない保障など,誰にもできない。
もともと安全神話なる虚構は通用していなかったし,いままで「異様ともみなせる程度にまで危険そのものに満ちた原発」が,これからも平然と利用されて電力をえるための技術装置のみ使用されつづける「異様な放射性物質を燃料に使用した理工学技術の利用」は,いっさい廃絶することにしたほうがよい。
e) ところで,原発の熱交換比率は当初から現在まで,基本的に「3分の1:33%」のままできた。これほどまで終始一貫,技術改良の余地が全然みられてこなかった,換言すると,イノベーション(革新)につながるような技術の進歩とは完全に無縁であった電力生産方式は,ほかにはない。
それでも,いまだに原発を大好きになりたいという国々がなくならない。もちろん,その理由はかなり明確でもあって「原爆=原発」というその出自に深い関連があるゆえ,そうした原発事情に関する動向は,不思議でもなんでもない。
日本の場合,2022年12月末現在で分離プルトニウム保有総量は 4,626キログラムにもなっていた。これは原子爆弾約6千発分にも相当する。このように46トンものプルトニウムを保有している日本は,大きな声ではいわないもののすでに,日本が原爆など核兵器の製造と装備を願望している事実そのものを示唆しており,長年にわたってもちつづけてきた欲望としても周知の事実でもあった。
ここではとくに,「〈編集長コラム〉日本が核兵器を持つ日(43)」『Tansa(探査報道に特化したジャーナリズム組織)』2023年1月21日14時50分,https://tansajp.org/columnists/9620/ の指摘から聴いておきたい。
f) 日本は敗戦という体験をしたが,そのまぎわにヒロシマとナガサキに原爆を投下された。そして,2011年3月11日には「第2の敗戦」と呼称されてもいる東電福島第1原発事故を起こした。それでも,原発だけでなく原爆も保有したい,有事に備わるべき兵器として所有していたいと,以前からひそかであっても確言していた。
第2次大戦では日本と同じ敗戦国となったイタリアは,一番早く原発の廃絶を決めていた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後,1987年の国民投票で脱原発を決めており,現在は原発による電力生産はない。
ところが,太平洋(大東亜)戦争の終結にあたり,アメリカから原爆2発を見舞われた日本は,東電福島第1原発事故という悲惨な大事故を起こしていながら,しかも「第2の敗戦」という国際政治的な意味まで含まれていたとまで「歴史の解釈」をほどこされていながらも,いまだに平気で〔だからか?〕「わが国は小型の原爆であれば保有してもいいのだ」という具合に開きなおっていた。
トルストイの『戦争と平和』1864-1869年を一度くらい通読し,日本の「イワン(太郎もしくはシンゾウ)のバカ」などといわれないように,核兵器と核発電の問題を勉強しておく必要があったのではないか。もちろん,この点はとくに現在首相の座に居る岸田文雄に向けていいたい忠告である。文雄は開成高校の出身だというが,高校生のときにトルストイは読んだことがないのか。まさか,だから東大を受けてもなんども不合格になったわけではないと思うが……。
補注)以上の話題,あまりこだわって勧めると早慶の両大学には,東大に不合格で入学した学生がいつでも大勢おり,彼らのなかには,本郷に対する劣等感にさいなまれている者たちが,これまた少なからずいる。この話題は,本ブログ筆者は半世紀以上も前から耳にしてきたものである。
〔本論に戻る→〕 以上の記述に即していえば,「ロシアのプーチン」が始めた ウクライナへの侵略戦争は,チェルノブイリ原発が旧ソ連邦の時代にはこの国内に立地していたという地理的な事情もあって,軍事行動に原因する原発の事故が心配であった。いずれにせよ現在も,すれすれのところで,その危険性は食いとめられているに過ぎない。プーチンが健忘症にでもなったら,その心配が現実のものならないとはかぎらない。
(以上,2023年10月25日中に追加した記述部分である)
※-2 原発は《悪魔の火》を焚いて電気を作るという元来「危険に満ちた」装置・機械であった
さて『《悪魔の火》である核燃料(放射性物質:)』を炊いてヤカンのなかの湯を沸かし(「沸騰水型炉」でも「加圧水型炉」でも原理は単純に同じ),その蒸気で歯車を回し電気を造る方式は,その核燃料じたいが放射性物質であるという元々の物理化学的な特性によって,いつも危険と同居させられている。
原発は原爆の双生児である。双生児といっていいすぎだとしたら,原発は原爆の弟分である。将棋でいえば「歩の成り金」のようにして,発電のための装置・機械である原発が,それも突如というよりは自然なかたちで反転させられ,原爆になるのである。
原発のこの「原爆」的な素性は,東電福島第1原発事故の3号機がMOXを燃料にしていたために発生したと推察されている「小規模の核爆発事故」によって確認できている。このあたりに関連する報道などから画像資料を以下に何点かかかげておく。
なお事前に,東電福島第1原発事故で爆発・溶融事故を起こした3基のうち,1号機の様子を図解で参照しておきたい。これが現状をありのままに描いているかどうか間違いないというわけではない点も承知のうえで,参照しておきたい。
◆-1 『読売新聞』2011年3月14日「号外」。この号外の見出しのうち,「東電『格納容器』は健全」だという東電側のいいぶん,まったくのデタラメであった。このようにそのまま報道した読売新聞社は,当時に混乱した状況の関係があったとはいえ,また号外の発行だったとはいえひ,どく粗忽な報道をしたものである。
◆-2 大ロシア帝国・拡大侵略思想が脳ミソのなかにパンクしそうなくらいフン詰まっている「ロシアのプーチン」が,2022年2月24日に開始したウクライナ侵略戦争の影響のせいで,このロシアが多く産出する石油やLNGの調達が逼迫しだした主に欧州諸国は,経済活動・消費生活に使用される燃料,石油やLNG不足(輸入規制)によって,非常に苦しい状況に追いこまれている。しばらくはガマンのしどころとなっている。
といったごときエネルギー関連の需給事情が「プーチンのロシア」によって意図的に突発させられた。そのためにいままでは,再生可能エネルギーへの潮流が形成されているなかでありながらも,ここしばらくは「世界全体における電源比率」が一時期であってもその反動を生まざるをえなくなった。
2022年6月23日〔1年と6ヵ月前の日付〕の新聞朝刊は,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争のために発生した「関連エネルギー事情の変化」に関しては,たとえばつぎのように報じていた。
※-3「〈2022参院選 政策の分岐点〉エネルギー 上昇する電気代,強まる原発推進」『朝日新聞』2022年6月23日朝刊3面
日本の電力が足りない。そんな懸念が強まっている。来〔2021〕年1月に「10年に1度」の寒さになれば,全国で110万世帯分の電力が不足するという。資源価格の高騰で電気代は1年前から約2割上がり,家計を圧迫している。電力不足と電気代の上昇。二つの危機に直面し,政府は原発を推進する姿勢を強めている。
この※-3の記事そのものの引用は,少し後段となることを断わってから,以下の補注を記述しておきたい。
という現在のエネルギー事情に関しては,『HUFFPOST』の2023年8月の記事がこう伝えていた。
「ウクライナ侵攻 欧州,石炭火力へ『回帰』 露のガス供給停止で 脱炭素逆行,ジレンマ」『毎日新聞』2022年6月23日朝刊7面「国際」という記事に添えられていた関連の,つぎの図解も紹介しておく。
日本だけではないが,電力生産用に天然ガスの使用量が相当の比率を占めている現状があった。ロシアは現在,資源大国という意味を有した「発展途上国」の性質を強くもっている。
ロシアのウクライナ侵攻開始後,ロシアから欧州への天然ガス供給が一部停止している影響で,ドイツ,オーストリア,オランダが相次いで,石炭火力発電の利用を増やす方針を決めた。冬場のエネルギー需要期を前にした苦肉の策だが,石炭火力は温室効果ガス排出量が多く,気候変動対策に逆行するジレンマを抱えている。
ロシア国営ガス大手ガスプロムは〔6月〕15日,ドイツと結ぶ海底パイプライン「ノルド・ストリーム」経由の欧州向けガス供給量を16日から,従来の計画より約6割減らすと表明した。
ドイツなどは,欧州各国のウクライナ支援に不満を持つロシアが,ガスを「政治的に」利用していると非難している。露側の供給量削減表明を受け,ドイツ,オーストリア両政府は19日,石炭火力発電の利用を増やす緊急措置を発表。オランダ政府も20日,石炭火力の利用制限を外す方針を決めた。
補注)「ロシアのプーチン」は,化石燃料やLNG(天然ガス)を戦争推進の道具:駆け引きに使っている。プーチンは戦術核の使用もためらわないといった「脅し文句」も口にしているとなれば,燃料関連を駆け引きに利用することなど当たりまえである。
話題がここまでくると,「原発と原爆」の親密な関係性を無視した議論はできなくなる。プーチンは,自国の体制が社会主義・共産主義であろうと,独裁・専制・権威主義的な国家主義であろうと,核兵器を他国に対して脅迫のために有効利用しようとしている。
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【断わり】 この「本稿(後編)」も分量がだいぶ増えてしまったので,途中で記述を切り上げ,さらに「本稿(後編の続編)」を準備することにし,本日の記述はこれにてひとまず終わりにしたい。
その後編の続編はできしだい,ここにその住所(リンク先)を案内するつもりである。
⇒ https://note.com/brainy_turntable/n/n8dc6dcdd403f
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