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「プーチンのロシア」に侵略され戦争中であるウクライナ原発関連の懸念(後編)

【事前の断わり】 本日 2023年10月25日のこの「本稿(後編)」は,もとの2022年6月24日の記述を復活・再掲したものである。そして「本稿(前編)」は,一昨日 2023年10月23日に記述してあったので,興味ある人はそちらをさきに読んでもらえると好都合である。

 ⇒  https://note.com/brainy_turntable/n/n63060771ce35
  
 この「本稿(後編)」は,とくに最初の※-1の部分:段落については,本日に全面的に新しく書き下ろした内容になっている。

 その間,1年と半年の期間が経過してきたが,世界の政治経済情勢に激動が生じていたゆえ,そのあたりの雰囲気を反映させる努力として,※-1を追論することになった。

 なお,過去の既述分である※-2以下でに関しても,補説をくわえた段落が相当にある。

「本稿(前編)」へのリンク案内など


 ※-1「原発と原爆」はそもそも兄弟分の立場

 a) 2022年2月24日に「プーチンのロシア」が始めたウクライナへの侵略戦争は,ウクライナ国内に15基ある原発のうちその6基がザポロジェに立地している事情からして,それこそ危険がいっぱいと形容するほかない「宇・露間の戦争状態」がいまでも継続中である。

 原発に対してそう簡単には手出しできない点は「ロシアのプーチン」も承知である。だが,人間ヤケクソになったなにをするか分からない。旧ソ連のKGB的に人格形成をしてきた,つまり本質面ではまさしく兇人にかぎりなく近い「ウラジミール・プーチン」に向かい,人間性だとか人間愛などは初めからいっさい期待できないし,しないほうがよい。一歩まちがえば,ウクライナの原発を爆発させる戦術を絶対に執らないという保障はない。

 その点はプーチンにかぎらずというか,おそらく意図的になのだが,彼の周辺に位置するロシア高官たちの口を借りたかっこうと採ってときおり,「核兵器(とくに戦術核)を使うぞ」と脅迫することは,すでになんどもわれわれが聴いてきた。

 b) いまのところ「口だけの脅し文句」だけであってにしても,ウクライナとこの国を支援する欧米諸国に対して脅しの材料に,「原発の原爆化」をもちだすことの〈便利〉さを,プーチンらは大いに使おうとしてきた。しかしながら,もしも,本当にそうなったときはすでに第3次世界大戦の勃発となるほかなく,ロシアだけが無事で済むことはありえない。

 そうした有事が新たに発生したときには,NATO諸国が「通常兵器」をもちだしてロシアに総攻撃と実施すると,専門家は説明しているが,そのさいには日本も外野席にいられる立場ではなくなるかもしれない。

 また,ロシアという「▲違い国」の舎弟みたいな「軍事強盛国」を気どった,それも核兵器を保有する経済極小国が,その隣国として存在することは軽視できない。この国に対して「拉致した日本人を帰せ!」などといっているその家族たちの思いなど,そうなったらなにもかもすべてが無になる。

 旧ソ連時代の1986年4月26日,チェルノブイリ原発の大事故が起きてしまい,深刻かつ重大なる原発事故が人類上始め発生してからというもの,この地球環境の表面に原発を置くという人間の知恵(浅薄だったエネルギー獲得方法)は,われわれの生活環境としての宇宙船「地球号」をわざわざ破壊していくもっともお手軽が方法である事実を,教えられたはずであった。

 ところが,われわれは「原発の利用」がイコール「原発の危険性」と同居している事実をしらないわけでないにもかかわらず,世界中ではいまもなお原発を新たに建設し,電力生産に利用とする国々がないのではない。

 c) 2023 年 1 月 1 日現在,世界において運転中の原子力発電所は,431基ある。これらをさらに,運転年数:期間別に分類した基数は,以下のようになっていた。

  0~10 年 14.6%
  10~20 年  7.7%

  20~30 年 12.3%
  30~40 年 40.1%

  40~50 年 21.8%
  50~60 年  3.5%


  補注)https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2023/01/operational_reactors_by_age-1.pdf の関連する一覧表から引用。

 当初,「原発の耐用年数=実際に稼働させていく期限」は30年と規定された。ところがそのうち40年に伸ばされ,現在ではなんと60年に,おまけに日本は「実際に稼働していなかった期間」までそれから除外してその「耐用年数」を計算(合算)すればいいなどと,工学的な「技術論の基礎に照らしていえば,トンデモない発想」がごり押されたたあげく,原発をより長期間稼働させることを決めさせていた。

 ところで,あなたは,半世紀前もの「現役就航中の旅客機」にあなたは,なんの不安もなしに「搭乗する覚悟」はあるか?

 原発の原子炉〔これを囲むようにして格納容器が設置され,これら全体がさらに建屋のなかに建設されている〕の,本当の耐用年数は実は,まだ正確にはよく分かっていない。なかでも,放射線の影響がどのような打撃・損傷を原子炉にじわじわと与えているかは,これがまだ科学理論的にきちんと解明され「理論的に説明できていない」ままである。

 原子力工学の専門家が原発の寿命に関して一番懸念する理由が,その問題にこそ厳在しているわけであるが,その種の不詳をきびしく追究する立場を採らない点は,相当に問題のあり過ぎる立場であった。

 それでもできるだけ長期間,原発は稼働させても危険性はない,ともかく大丈夫なのだといったごとき,この原発=「核発電装置」による電力生産方式に関しては,なぜかきわめて特殊に実にあやしい基本認識が提示されていてきていながら,この事実を科学理論的に解明し,批判する原子力工学の専門家たちは,いっさい原子力村からは排斥され,あまつさえ疎外され抑圧されてきた。

 d) すなわち,その種のエセ認識はけっして科学的に合理性ある根拠を明示したことはなかった。例のすでにいまでは完全に自壊した「原発安全神話」は,その原子力工学でも原子力村の構成員になっている研究者たちの立場であっても,現在となっては「よく理解し承知の事実:前提」になっている。

 原発という核発電装置に関しては,それこそ危険を満載・充満させたエセ技術観であると批判される必要が,そもそも出発点からあった。原発というものはいってみれば,非常に荒っぽいだけでなく,基本から危険の詰まった技術体系によって成立していた「核発電」方式であった。それゆえ,わざわざ電力を生産するために利用した当初の意図からして,どだい反人類的かつ非人間的な本性を有していた。

 それならば,チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)や東電福島第1原発事故(2011年3月11日)につづく第3の原発大事故が,それこそ「三度目の正直」となってこれから,いつかどこかで絶対に発生しない保障など,誰にもできない。

 もともと安全神話なる虚構は通用していなかったし,いままで「異様ともみなせる程度にまで危険そのものに満ちた原発」が,これからも平然と利用されて電力をえるための技術装置のみ使用されつづける「異様な放射性物質を燃料に使用した理工学技術の利用」は,いっさい廃絶することにしたほうがよい。

 e) ところで,原発の熱交換比率は当初から現在まで,基本的に「3分の1:33%」のままできた。これほどまで終始一貫,技術改良の余地が全然みられてこなかった,換言すると,イノベーション(革新)につながるような技術の進歩とは完全に無縁であった電力生産方式は,ほかにはない。

 それでも,いまだに原発を大好きになりたいという国々がなくならない。もちろん,その理由はかなり明確でもあって「原爆=原発」というその出自に深い関連があるゆえ,そうした原発事情に関する動向は,不思議でもなんでもない。

 日本の場合,2022年12月末現在で分離プルトニウム保有総量は 4,626キログラムにもなっていた。これは原子爆弾約6千発分にも相当する。このように46トンものプルトニウムを保有している日本は,大きな声ではいわないもののすでに,日本が原爆など核兵器の製造と装備を願望している事実そのものを示唆しており,長年にわたってもちつづけてきた欲望としても周知の事実でもあった。

 ここではとくに,「〈編集長コラム〉日本が核兵器を持つ日(43)」『Tansa(探査報道に特化したジャーナリズム組織)』2023年1月21日14時50分,https://tansajp.org/columnists/9620/ の指摘から聴いておきたい。

 (前略) 岸〔信介〕首相(当時)は1957年5月7日,参議院予算委員会で社会党の吉田法晴議員から戦術的核兵器の保有の可能性について問われて,つぎのように答弁している。〔なお〕戦術的核兵器とは,都市を破壊する大型の戦略的核兵器とは異なり,戦場や軍事目標に使う小型の核兵器のことを指す。

 (前略)「名前は核兵器とつけばすべて憲法違反だということは,私は憲法の解釈論としては正しくないのじゃないか」

 岸首相は「すべての核兵器が違憲だというのは正しくない」と婉曲的に答えたのだが,このやりとりに続いて改進党の八木幸吉議員が「率直に伺いたい」と質問すると,もっとはっきりといった。

 「憲法の解釈,純粋の憲法解釈論としては,私は抽象的ではありますけれども,自衛権を裏づけるに必要な最小限度の実力であれば,私はたとえ核兵器と名がつくものであってももちうるということを憲法解釈としてはもっております」

 それから45年後の2002年6月10日,岸氏の孫にあたる安倍晋三氏が,衆議院の「武力攻撃事態への対処に関する特別委員会」で官房副長官として答弁に立つ。

 安倍氏は,早稲田大学での講演で「憲法上,原子爆弾は保有できる」などと発言したことを,『サンデー毎日』に報じられていた。その点を民主党の川端達夫議員に問われた。

 安倍氏はまず,大学の講演内容を報道されたことに苦言を呈す。

 「私は,本来静かな場所である,学びやであるべき教室に盗聴器とかいわゆる盗撮ビデオがもちこまれて,その中身が週刊誌に出るというのは,これは学問の自由を侵すことになりはしないかという大変な危惧をもっております。事実,早稲田大学も厳重に抗議をしているわけであります」

 補注)この安倍晋三の苦言はお門違いの批判(詰問:非難)であった。説明の要などないくらい明らかなヘリクツであった。大勢の学生を前に講演して録音:録画していないはずがない。

 この「裸の王様であったぼくチン様:元総理大臣」は,まさに「世襲3代目の政治屋」」としてでもあったが,いつもながらに,ずいぶんひどく身勝手な発言をしていた。

〔記事に戻る→〕 そのうえで核兵器と憲法について答弁した。

 「私は,わが国が自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によって禁止されていない,したがって,そのような限度の範囲内にとどまるものであるかぎり,核兵器であると通常兵器であるとを問わず,これを保有することは憲法の禁ずるところではない」

 「岸内閣の見解,岸答弁も紹介しております」

 核兵器が合憲であるというのは,岸・安倍のファミリー政治家内での見解にとどまらない。日本政府の公式見解だ。2016年3月18日の参議院予算委員会では,横畠裕介内閣法制局長官が「憲法上すべてのあらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているというふうには考えておりません」と答弁した。

 脈々と権力中枢に引き継がれるこの土台の上に,岸田〔文雄〕政権は昨〔2022〕年末,安保3文書の改定を閣議決定した。

 自衛の範囲が曖昧になっているなかでは,日本が核兵器をもつ日が来る可能性は大いにあると私は考える。中国などとの軍事競争のなかで防衛費が増大し,斜陽の日本経済が耐えられなくなった時には,「核武装が合理的」という考えも出てくるだろう。

 岸田首相は非核三原則を堅持するとはいっている。だが安保3文書の改定という歴史的な政策転換を,閣議で決めてしまうような政権だ。非核三原則も同様にあっさりと放棄しても不思議ではない。

 広島出身をアピールする岸田首相は,自身のホームページで「世界で唯一の戦争被爆国である日本はこれまでもこれからも平和国家として歩みます」とかかげている。字面がむなしい。

早稲田大学での安倍晋三講演など

 f) 日本は敗戦という体験をしたが,そのまぎわにヒロシマとナガサキに原爆を投下された。そして,2011年3月11日には「第2の敗戦」と呼称されてもいる東電福島第1原発事故を起こした。それでも,原発だけでなく原爆も保有したい,有事に備わるべき兵器として所有していたいと,以前からひそかであっても確言していた。

 第2次大戦では日本と同じ敗戦国となったイタリアは,一番早く原発の廃絶を決めていた。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後,1987年の国民投票で脱原発を決めており,現在は原発による電力生産はない。

 ところが,太平洋(大東亜)戦争の終結にあたり,アメリカから原爆2発を見舞われた日本は,東電福島第1原発事故という悲惨な大事故を起こしていながら,しかも「第2の敗戦」という国際政治的な意味まで含まれていたとまで「歴史の解釈」をほどこされていながらも,いまだに平気で〔だからか?〕「わが国は小型の原爆であれば保有してもいいのだ」という具合に開きなおっていた。

 トルストイの『戦争と平和』1864-1869年を一度くらい通読し,日本の「イワン(太郎もしくはシンゾウ)のバカ」などといわれないように,核兵器と核発電の問題を勉強しておく必要があったのではないか。もちろん,この点はとくに現在首相の座に居る岸田文雄に向けていいたい忠告である。文雄は開成高校の出身だというが,高校生のときにトルストイは読んだことがないのか。まさか,だから東大を受けてもなんども不合格になったわけではないと思うが……。

 補注)以上の話題,あまりこだわって勧めると早慶の両大学には,東大に不合格で入学した学生がいつでも大勢おり,彼らのなかには,本郷に対する劣等感にさいなまれている者たちが,これまた少なからずいる。この話題は,本ブログ筆者は半世紀以上も前から耳にしてきたものである。

〔本論に戻る→〕 以上の記述に即していえば,「ロシアのプーチン」が始めた ウクライナへの侵略戦争は,チェルノブイリ原発が旧ソ連邦の時代にはこの国内に立地していたという地理的な事情もあって,軍事行動に原因する原発の事故が心配であった。いずれにせよ現在も,すれすれのところで,その危険性は食いとめられているに過ぎない。プーチンが健忘症にでもなったら,その心配が現実のものならないとはかぎらない。

 (以上,2023年10月25日中に追加した記述部分である)

 

 ※-2 原発は《悪魔の火》を焚いて電気を作るという元来「危険に満ちた」装置・機械であった

  さて『《悪魔の火》である核燃料(放射性物質:)』を炊いてヤカンのなかの湯を沸かし(「沸騰水型炉」でも「加圧水型炉」でも原理は単純に同じ),その蒸気で歯車を回し電気を造る方式は,その核燃料じたいが放射性物質であるという元々の物理化学的な特性によって,いつも危険と同居させられている。

 原発は原爆の双生児である。双生児といっていいすぎだとしたら,原発は原爆の弟分である。将棋でいえば「歩の成り金」のようにして,発電のための装置・機械である原発が,それも突如というよりは自然なかたちで反転させられ,原爆になるのである。

原発も原爆も危険である事実に変わりなし
原発も原爆も基本は同じ原理
前者は後者の「平和利用」だといったのは
アメリカのアイゼンハワー大統領であった
だから原発と原爆が「違います」というのは完全に「違います」

 原発のこの「原爆」的な素性は,東電福島第1原発事故の3号機がMOXを燃料にしていたために発生したと推察されている「小規模の核爆発事故」によって確認できている。このあたりに関連する報道などから画像資料を以下に何点かかかげておく。

 なお事前に,東電福島第1原発事故で爆発・溶融事故を起こした3基のうち,1号機の様子を図解で参照しておきたい。これが現状をありのままに描いているかどうか間違いないというわけではない点も承知のうえで,参照しておきたい。

2011年3月11日事故発生直後
東電福島第1原発事故現場1号機(上部の推定図)の様子

その12年後さらに判明した1号機の様子は
つぎの『東京新聞』2023年4月の解説が参考になる
デブリ取り出しは遠い先の話?

 ◆-1 『読売新聞』2011年3月14日「号外」。この号外の見出しのうち,「東電『格納容器』は健全」だという東電側のいいぶん,まったくのデタラメであった。このようにそのまま報道した読売新聞社は,当時に混乱した状況の関係があったとはいえ,また号外の発行だったとはいえひ,どく粗忽な報道をしたものである。

『読売新聞』号外
1号機と3号機の爆発して吹き上げた噴煙の形状は
このように相当ことなっていた
核爆発だという指摘があった
3号機はMOXを燃料に使用
噴煙の高さは
コンクリート製の巨大な破片などを持ち上げながら
約9秒かけて200メートル以上の高さに達した
と観測された
噴煙を具体的に分けて説明した画像
  

 ◆-2 大ロシア帝国・拡大侵略思想が脳ミソのなかにパンクしそうなくらいフン詰まっている「ロシアのプーチン」が,2022年2月24日に開始したウクライナ侵略戦争の影響のせいで,このロシアが多く産出する石油やLNGの調達が逼迫しだした主に欧州諸国は,経済活動・消費生活に使用される燃料,石油やLNG不足(輸入規制)によって,非常に苦しい状況に追いこまれている。しばらくはガマンのしどころとなっている。

 といったごときエネルギー関連の需給事情が「プーチンのロシア」によって意図的に突発させられた。そのためにいままでは,再生可能エネルギーへの潮流が形成されているなかでありながらも,ここしばらくは「世界全体における電源比率」が一時期であってもその反動を生まざるをえなくなった。

 2022年6月23日〔1年と6ヵ月前の日付〕の新聞朝刊は,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争のために発生した「関連エネルギー事情の変化」に関しては,たとえばつぎのように報じていた。 

 

 ※-3「〈2022参院選 政策の分岐点〉エネルギー 上昇する電気代,強まる原発推進」『朝日新聞』2022年6月23日朝刊3面    

 日本の電力が足りない。そんな懸念が強まっている。来〔2021〕年1月に「10年に1度」の寒さになれば,全国で110万世帯分の電力が不足するという。資源価格の高騰で電気代は1年前から約2割上がり,家計を圧迫している。電力不足と電気代の上昇。二つの危機に直面し,政府は原発を推進する姿勢を強めている。

 この※-3の記事そのものの引用は,少し後段となることを断わってから,以下の補注を記述しておきたい。

 補注)日本における全世帯の数は,2020年でいうと一般世帯総数は4885万世帯である。その「110万世帯・対・4885万世帯」の意味はどう観るべきか?
 
 記事を書く記者の問題意識に不足(ないしは欠落?)を感じる。比較するための数字として具体性がない。イメージさせにくいのである。つまり,どの地域でどのように電力が不足しそうなのかに関して,不明瞭な内容の記事である。

 数字・統計のあつかい方に疑問がある。単独の数値をこのように独立(孤立)させてのみとりあげ「抽出した」ところで,その意味は汲みとりにくい。

 補注)現在は2023年10月も下旬になった段階であるが,その後も,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争が継続中である悪影響がたたって,世界経済においてエネルギーや食料の問題が逼迫した情勢になる可能性が生まれている。

 電気料金の高騰はわれわれの生活をこまらせ,またとくにガソリン代の値上げ状態は庶民の日常生活,それも地方で暮らす人びとにとって車がなければふだんの移動にこまる状況のなかで,非常な家計に対する重荷になっている。

 昨日(2023年10月23日)のニュースなどでは,地方でふつうのかつかつで生活している所得層が,いまでは月々のガソリン代だけ5万から6万円となり,負担になっている。また電気代についてはとくに東日本地域では高騰しており,1年前と比較すると軽く5割(以上)は値上げされたという実感がある。

補注2点

 という現在のエネルギー事情に関しては,『HUFFPOST』の2023年8月の記事がこう伝えていた。

2022年夏と2023年夏の電気代比較

 「ウクライナ侵攻 欧州,石炭火力へ『回帰』 露のガス供給停止で 脱炭素逆行,ジレンマ」『毎日新聞』2022年6月23日朝刊7面「国際」という記事に添えられていた関連の,つぎの図解も紹介しておく。

 日本だけではないが,電力生産用に天然ガスの使用量が相当の比率を占めている現状があった。ロシアは現在,資源大国という意味を有した「発展途上国」の性質を強くもっている。

ロシアにとって天然ガスは戦略物資となっている

 ロシアのウクライナ侵攻開始後,ロシアから欧州への天然ガス供給が一部停止している影響で,ドイツ,オーストリア,オランダが相次いで,石炭火力発電の利用を増やす方針を決めた。冬場のエネルギー需要期を前にした苦肉の策だが,石炭火力は温室効果ガス排出量が多く,気候変動対策に逆行するジレンマを抱えている。

 ロシア国営ガス大手ガスプロムは〔6月〕15日,ドイツと結ぶ海底パイプライン「ノルド・ストリーム」経由の欧州向けガス供給量を16日から,従来の計画より約6割減らすと表明した。

 ドイツなどは,欧州各国のウクライナ支援に不満を持つロシアが,ガスを「政治的に」利用していると非難している。露側の供給量削減表明を受け,ドイツ,オーストリア両政府は19日,石炭火力発電の利用を増やす緊急措置を発表。オランダ政府も20日,石炭火力の利用制限を外す方針を決めた。

 補注)「ロシアのプーチン」は,化石燃料やLNG(天然ガス)を戦争推進の道具:駆け引きに使っている。プーチンは戦術核の使用もためらわないといった「脅し文句」も口にしているとなれば,燃料関連を駆け引きに利用することなど当たりまえである。

 話題がここまでくると,「原発と原爆」の親密な関係性を無視した議論はできなくなる。プーチンは,自国の体制が社会主義・共産主義であろうと,独裁・専制・権威主義的な国家主義であろうと,核兵器を他国に対して脅迫のために有効利用しようとしている。

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【断わり】 この「本稿(後編)」も分量がだいぶ増えてしまったので,途中で記述を切り上げ,さらに「本稿(後編の続編)」を準備することにし,本日の記述はこれにてひとまず終わりにしたい。

 その後編の続編はできしだい,ここにその住所(リンク先)を案内するつもりである。

 ⇒ https://note.com/brainy_turntable/n/n8dc6dcdd403f

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