「安倍晋三は〈裸の幼児の王様〉」「岸田文雄は〈少年の裸の王様〉」で「松本人志はなにわの〈真っ裸の王様〉」というからこの国がよくなる理由などありえなかった2010年代以降の「かつては Japan as No.1」の転落ぶり,政治はガクガク経済はガタガタであるこの惨状
※-1「実質賃金,昨〔2023〕年2.5%減 2年連続減少 90年以降で最低」『日本経済新聞』2024年2月6日夕刊1面(冒頭記事)
厚生労働省が〔2月〕6日発表した2023年の毎月勤労統計調査(速報,従業員5人以上の事業所)によると,1人あたり賃金は物価を考慮した実質で前年比2.5%減った。2年連続で減少した。マイナス幅は1.0%減だった2022年からさらに大きくなった。
補注) この2024年2月6日夕刊1面を画像資料で紹介する。左右に並んで報道されているこの2つの記事は,この※-1とつぎの※-2で直接紹介していくが,2023年の実質賃金「減が2.5%」であって,消費支出が「2.6%の減少」ということは,家計部門の減退ぶりはあいかわらずだと「うめきたくなる」ような家政経済の,いつもながら冴えない実情を伝えている。
〔記事に戻る→〕 2020年を100とした指数でみると97.1で,唯一100を下回った2022年からさらに低下した。比較可能な1990年以降でもっとも低かった。
実際に支払われた額を示す名目賃金はすべての月で増えたが,実質賃金は減った。マイナス幅が広がったのは,物価の変動を示す消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が3.8%と42年ぶりの高水準だったことが影響した。
みた目の賃金は伸びている。基本給に残業代やボーナスなどを合わせた,名目賃金を表す現金給与総額は1人あたり平均で 1.2%増の32万9859円だった。就業形態別では正社員など一般労働者が43万6849円,パートタイム労働者が10万4570円でいずれも過去最高となった。
基本給を中心とする所定内給与は 1.2%増の25万1309円で,リーマン・ショック前の2005年水準まで回復した。伸び率も1996年以来の高さだった。それでも実感にはつながっていない。
【参考画像】-『時事通信』から引用-
2023年の名目賃金の伸び率は2022年の2.0%増から0.8ポイント低下した。新型コロナウイルス流行下での落ちこみの反動で2022年は大きく伸びたが,残業代やボーナスなどの伸びが前年に比べて鈍化したことが要因とみられる。
2023年の春季労使交渉では物価高を背景に30年ぶりの高い賃上げ率となった。一方で,基本給を底上げするベースアップ(ベア)の水準は物価上昇に追いついていない。実質賃金のマイナス幅はその差を示す。政府は2024年の春季交渉で物価上昇を上回る賃上げをめざす。
補注)たとえば「日産労組,1.8万円要求 自動車賃上げ 最高水準相次ぐ」といった関連する記事の見出しも,今日の『毎日新聞』2024年2月8日朝刊7面「経済」欄にでていた。
所定内給与を指数でみると,一般労働者は103.3,パート労働者は105.2だった。基準となる2020年に比べて,パートの方が正社員よりも基本給などが伸びていることを表す。
補注)「パートの方が正社員よりも基本給などが伸びていること」とは,つぎに参照してみる画像資料(本文も一部分併せて切りとってあるが)のごとき現実,つまり,大企業体制のなかで堅固に保守・維持されている「非正規雇用者に対する差別的な賃金水準」(「3分の2」という絶対的な差)が是正されないかぎり,労働経済の今後に向かう方途として明るい展望はもてない。
総実労働時間は 0.1%増の月 136.3時間だった。残業時間など所定外労働時間は 0.9%減と3年ぶりに減少した。月ごとにみると,2023年7月以降はすべての月で所定外の時間が減り,総実労働時間でも減少した月が目立つ。
厚労省が同日発表した2023年12月の実質賃金は前年同月比で1.9%減だった。21カ月連続のマイナスだ。減少幅は6カ月ぶりに2%を下回ったが,プラスへの転換はまだ遠い。
現金給与総額は1.0%増の57万3313円で,年末のボーナスなど特別に支払われた給与は0.5%増の30万701円だった。(記事引用終わり)
以上は「従業員5人以上の事業所」まで含めた事業所を対象にした話題であった。このように総平均で説明(分析・解説)をしてくれたところで,もう一歩踏みこんでの実情を,現実的に感覚的にも報道してくれたことにはならない。
端的にいえば正規雇用と非正規雇用の格差,男女格差,年齢格差(退職後の再雇用者の問題も含める)まで具体的に分類(分別)したうえで報道してくれないことには,それこそ5人の事業者にそれも非正規で労働に従事している労働者「階層・階級」の人びとが,以上ごとき『日本経済新聞』の記事を読んだところで,なんら実感すら湧かない内容である。まるで別世界の出来事だと感じる労働者たちもいる。
それに対してだが,ごく一部の一流大企業で業績のよろしい会社に正規雇用で勤務する労働者「階層・階級」の人びとのなかには,最近になって,実質賃金の上昇率ががなんとか名目賃金のそれを上まわり,多少は家計の方途に安堵感を期待できる気分をもてるかもしれない。しかし,こちらの労働者群は全労働者のなかでも,ごく一部分である。
※-2「消費支出,2.6%減少,昨年,3年ぶり減少」『日本経済新聞』2024年2月6日夕刊1面
この記事は冒頭に紹介してあったが,この夕刊紙面では1面の上部・左側に配置され報道されていたものである。
--総務省が〔2月〕6日発表した2023年の家計調査によると,2人以上世帯の消費支出は月平均で29万3997円と物価変動の影響を除いた実質で前年(2020年)比 2.6%減った。物価高で食料品を中心に支出が減り,5.3%%減だった2020年以来3年ぶりのマイナスとなった。物価高を映し,消費支出は名目では 1.1%増えた。
消費支出を構成する10項目のうち7項目で実質の支出が前年を下回った。「食料」は 2.2%減った。実質マイナスは4年連続となる。サケやイカといった魚介類が 8.3%減,調理食品が 3.8%減だった。このほか肉類,野菜・海藻など幅広い品目で落ちこんだ。
「教育」は 9.8%減った。塾などの補習教育が 18.5%減と目立つ。「その他の消費支出」で婚礼と葬儀の関係費がそれぞれ減少した。新型コロナウイルス流行後の式の簡素化などが影響しているとみられる。
暖冬も消費を押し下げた。暖房需要の減少などで「家具・家事用品」が7.4%減った。秋・冬物の衣類が振るわず「被服および履物」も 1.9%減だった。
2023年春に新型コロナが5類に移行したことで,外出を伴う消費は好調だった。「教養娯楽」は 3.4%増えた。宿泊料やパック旅行費といった旅行関連が押し上げた。外食も 11.6%増加した。
2023年の勤労者世帯の実収入は月平均60万8182円で,名目で前年比 1.5%減,実質で 5.1%減だった。実質は3年連続でマイナスとなった。
実収入から社会保険料などを差し引いた可処分所得のうち,消費に回した割合を示す平均消費性向は64.4%で前年から 0.4ポイント高まった。
同日発表した2023年12月単月の消費支出は32万9518円と実質で前年同月比 2.5%減少。同年3月から10カ月連続のマイナスとなる。QUICK がまとめた予測の中心値は実質 2.2%減で,下落幅は予想を上回った。(記事引用終わり)
ところで,本の出版事情に関した現状をのぞいてみると,安倍晋三のことを「相当に大物であるかのように,それも虚像であっても描く」「ヨイショ・ライター」たちが,この世の中には少なからずおり,いまだに跋扈跳梁している。
だが,森嶋道夫が1999年に公刊した『なぜ日本は没落するか』(岩波書店発行)が,診断=予測したどおりであったこの国の事情なかで,安倍晋三が総理大臣として記録してきた客観的な軌跡を観たうえで,それを「褒める」ことができる神経は,並みのものではありえない。
同時にまた,それが現実から目をそむけた,しかも扇動的な言論活動にしかなりえない執筆をしてきたその種のライターたちは,ネトウヨ的に錯誤に乱れきった自国「観」を意図的に撒きちらすための駄論・妄説を,せっせと制作してきたに過ぎない。
※-3「最重要経済統計報じぬメディア」「植草一秀の『知られざる真実』マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る」
住所は,2024年2月7日,http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2024/02/post-d3d1dc.html
この植草の議論を紹介する前に,本日 2024年2月8日『日本経済新聞』朝刊1面に掲載された経済活動,産業経営に関する記事を観てもらうことにしたい。
これは利益率の増減そのものだけを指摘していた記事である。損失について語る記事ではないので注意したい。この大企業を中心とする製造業体制が好業績だといっても,日本の産業経済・企業経営全体を介して「労働者層の生活経済」全体にまで,間違いなく浸透していけそうな今後へのよい推移が期待できるのではない。
この記事を読んだところで,※-2にまで論述してきた内容と,この記事の内容とが,どうみてもつじつまが合わないというか,相互間においてすっきり理解がいかない点を残すと感じられるはずである。それというもの,アベノミクスの失策・錯誤の結果が生んだ,現状における日本経済の「ゆがみそのものの一面」を反映する報道になていからである。
アベノミクスの経済政策の悪効果,円安の問題がからんだ経済現象の発現形態をめぐる話題であって,この肝心をところを外した議論では,現状における日本の経済を真正面から理解できない。
--ともかく,植草一秀の議論に聞こう。以下の分析・主張は,※-1,※-2の記述を受けてというか,相互にゆきかい交わった中身になる。
〔2024年〕2月6日,現在の日本経済における最重要統計が発表された。毎月勤労統計=賃金統計だ。ところが,メディアがほとんど報道しない。NHKがニュースウォッチ9で触れたが,その他ニュースの最後にかたちだけ触れただけ。スタジオで取り上げることもなかった。
岸田首相は昨(2023)年10月23日の所信表明演説で「経済,経済,経済。わたしはなにより経済に重点を置いてまいります」と声を張り上げた。
〔2024年〕1月30日の衆院本会議での施政方針演説では,「賃金が上がることが当たりまえだとの意識を社会全体に定着させる」と述べた。「賃金」こそ岸田内閣がかかげる最重要経済指標である。
2023年も春闘での賃上げを岸田首相が連呼した。そして,春闘で賃上げが実現したかのような自画自賛も演じられた。しかし,労働者はまったく喜んでいない。
労働者にとって重要な賃金指標は名目賃金ではない。実質賃金である。名目賃金が増えても物価上昇率がこれを上回れば実質賃金は減る。実質賃金が増加しなければなんの意味もない。
〔2024年〕2月6日に,昨年12月の賃金統計が発表された。2023年12月の実質賃金は前年同月比で1.9%減少した。21ヵ月連続の減少。日本の労働者の実質賃金は減少しつづけている。
春闘で賃上げがおこなわれても,物価上昇がこれを上まわり,実質賃金は減っているのだ。本〔2024〕年1月10日に開催されたJR総連の旗開きレセプションで,私は労働組合に対して強く要望した。
連合は賃上げを要求しており,私は賃上げを否定するものではないが,労働者にとって重要なのは実質賃金である。賃上げが実現してもインフレがこれを上まわれば実質賃金は減少する。
実質賃金の増加を獲得するには,なによりもインフレ鎮圧,物価抑止が重要である。労働組合は政府に対してインフレ抑止を強く訴えるべきである。
こう訴えた。この声に聴く耳を持っていただいたのかは定かでない。しかし,現実の問題として,日本ではインフレが亢進してインフレが賃上げを上回る状況が続いている。
その結果として実質賃金が減りつづけている。このことを労働組合が問題にしないことは不当である。
〔2023年〕12月統計発表で20233年の実績(速報値)が明らかになった。2023年の実質賃金は前年比で2.5%減少。マイナス 1.0%だった2022年の賃金減少を大幅に上回る賃金減少が生じたのである。
この重大ニュースをテレビメディアが大きく報道しない。さすがに日経新聞は夕刊トップで報じたがテレビメディアの取り扱いがあまりにも小さい。
補注)その日経の報道とは,本記述の※-1,※-2で言及してきた該当の記事のことであった。
岸田内閣に決定的な打撃を与えることは明らかだ。
2020年を200とする指数では2023年は97.1となり,初めて100を下まわった2022年からさらに低下した。比較可能な1990年以降で最低の水準である。
連合は賃上げを求めるが,賃上げを実行できるのは大企業に限られる。中小零細企業は賃上げどころでない。大企業だけが賃上げを実施すれば,大企業と中小零細企業の間の所得格差はさらに広がる。
すべての労働者の利益を重視するなら,労働組合は「賃上げ」よりも「物価抑制」を優先するべきなのだ。「賃上げ」は大企業でしか実現されないが,「物価抑制」の恩恵はすべての労働者にいきわたる。
政府と日銀がインフレ誘導に邁進してきた理由を踏まえずに,インフレ推進に労働組合が加担することは,あまりにも思慮が浅すぎる。
岸田内閣は2024年も「賃上げ,賃上げ,賃上げ」を叫ぶが,実質賃金の大幅増はみこみようがない。(植草引用・終わり)
連合のあのオバサン,芳野友子は自民党とは仲良しで単細胞的に反共精神を叩きこまれた女史らしいが,勤労者:労働者の立場からその生活経済的な利益を最優先させるべき立場にある労働組合の,その代表的な上部団体である「連合の最高幹部」である立場に居て,一部のそれこそ「上級市民としての大企業支配体制」のなかに組みこまれている,労働者ならぬ従業員たちだけのために働く人物に映ってしかたがない。
まるで翼賛体制的な労働組合の上部団体である機能しか発揮できていない「連合」なのであれば,そのような労働組合関連の組織・団体は要らない。そもそも現状における連合への労組加盟率は,つぎのごとき現状にある。
-- 厚生労働省が2022年12月16日に公表した2022年『労働組合基礎調査』結果によれば,労働組合の推定組織率は16.5%と過去最低になった。労働組合数は2万3046人で,前年比▲ 1.5%,労働組合員数は 999万2000人,同 ▲0.8%となり,ともに2021年度より減少した。
前段の数値は,日本における産業経営全体が衰退の傾向へ向かっている事態を踏まえて観察すべき対象ともなるが,労組の組織率がじり貧的に減少している事実は,世界的な傾向でもあるとはいえ,それじたいは労働者側の立場にとってみれば,けっして好ましい趨勢・傾向ではない。
岸田文雄は,安倍晋三の為政もひどかったが,これよりもまた別範疇に属するような,一種独特のひどさを披露しつづけている。「世襲3代目の政治屋」の一大特性であるのか,いっていること・やっていることのひとつひとつが「無知・無識・無策・無能」であるほかない諸事実を,いちいち後追い的に自証していく負の業績しか残せていない。
いわば,その国家最高指導者としての資質などを云々する以前,つまりこの国の首相などやらせるわけにはいかない程度の,換言するならば「異次元的に中身が空っぽ」でしかない為政の担当者(?)が登場してから,早2年と4ヵ月もの時間が,それも無為にかつ空虚に経ってきたのだから,国民・市民・庶民たちの生活状態が改善・向上するなどといた期待をすることじたい,それこそ望外だといわざるをえない地点に追いこまれている。
ところで,岸田文雄自身が「理屈になっているといえそうな論理」が駆使できないまま,ただヘリクツ程度のいいぶんしか口からは吐き出せない「世襲3代目の政治屋」であった事実は,つぎのように説明されてもいる。
◆「自民に裏金議員はいるの?」と岸田首相が問われて 仰天回答「いないとは申し上げないが」◆
=『女性自身』編集部,2024/02/07 12:30, https://jisin.jp/domestic/2291194/ =
「( “裏金” の)定義によって “裏金議員” かどうか決まるということだと思います。だからこそ,裏金議員がいないとは申し上げませんが,これは裏金という言葉の定義が文脈によって変わりうるということから,より的確な言葉を使うことが重要だと申し上げています」
そんな禅問答のような答弁をしたのは,内閣総理大臣である岸田文雄首相(66歳)だ。2月6日の衆議院予算委員会で,立憲民主党の山岸一生衆議院議員(42歳)の質問を受けてのことだった。
山岸議員は「総理は裏金という言葉を本当にお使いにならない」と指摘したうえで,こう続けた。
「自民党の政策集団の政治資金の不記載の問題と非常に長い言葉をおっしゃる。派閥の裏金。僕らが議論しているのは,この派閥の裏金問題ですよね?」
それに対し,岸田首相はこう反論する。
「裏金という言葉については,文脈・人によって意味・内容が異なりうる,こういった実情であるからして,私として平素から客観的にわかりやすい言葉を使っているということであります」
それに対し,山岸議員は広辞苑を引用したうえで,“裏金” に〈公式の帳簿に記載しない,自由に使えるように不正に蓄えた金銭〉という意味があることを指摘。
しかし,岸田首相は,それでも “裏金” という言葉が多義的だと主張し,かたくなに現在の問題が自民党の裏金問題であると認めようとしない。
ついに,山岸議員が「自民党には裏金議員はいないのか?」と問うと,冒頭のように答えたのだ。つまり, “裏金議員” がいるかどうかは,その言葉を使う人それぞれということ。
かつて,野党時代の自民党は “裏金” という言葉を使って,当時の民主党政権にあった金銭スキャンダルを追及していたのだが,野党議員としてその応酬を岸田首相はどんな思いで見守っていたのだろうか。
“派閥” を “政策集団” に,“裏金” を “政治資金の不記載の問題” にいいかえる岸田首相。こんどはどんな新しい言葉の「いいかえ」をみせてくれるのか,目が離せない。(引用終わり)
岸田文雄は,さすが東大の入試に3回落ちただけのいいぶん(?)にはなっている。辞書の定義にないというか,あってもその定義から逃げようとするためのド・ヘリクツならば,国会の場では,なんとか駆使できるらしい。
だが,ここまでも,開成高校の卒業生が論理面では完全に欠落していたとなれば,なんとも形容のしようがない「国会での質疑応答」が,恥ずかしげもなく平然とゆきかっており,この様子には呆れかえるほかない。
東大には合格できなかったけれども,「東大話法」らしきあやしいヘリクツの使い方だけは,すでに技能検定的に合格していたかのように,こなれた口調でシャーシャーと答えていたのが,岸田文雄君。だから,この手の不出来の日本国総理大臣に向かっては,『日刊ゲンダイ』紙はきびしい報道をしていた。
つづく以下の記述は,その『日刊ゲンダイ』から2月上旬に報道された記事を2点を,※-4と※-5として紹介していきたい。
※-4「日本は脱税天国か? 二階俊博元幹事長にくすぶる巨額『課税逃れ』 疑惑…使途不明金50億円超」『日刊ゲンダイ』2024年2月6月,https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/335783
自民党派閥による裏金事件の実態解明が遅々として進まぬなか,国会審議は「裏金」転じて「脱税天国」追及の様相を呈しはじめている。政党から党幹部などの政治家個人へ寄付される「政策活動費」をめぐり,〔2月〕5日の衆院予算委員会は紛糾。野党側が焦点をあてたのは,かつて50億円超の「掴み金」を受けとっていた二階元幹事長の巨額脱税疑惑である。
5日の予算委では,収支報告書の訂正だけで「おとがめなし」となった裏金議員について,野党から脱税を指摘する声が続出した。立憲民主の井坂信彦議員が「裏金がばれたら『政治団体のお金でした』といって非課税になるなら,政治家は脱税し放題だ」と追及すると,岸田首相はノラリクラリ。「課税か,非課税かは国税等が判断すること」と同じ答弁をなんども繰り返した。
「国民の信頼回復に全力を尽くす」といいながら,実態解明の手段は身内によるアンケートと聞き取り調査のみ。さらに,井坂氏は過去に50億円もの政策活動費を受けとった二階氏の脱税疑惑を追及。
政党から政治家個人に支出される「政策活動費」には,使途の公表義務がない。いわば領収書のいらない「合法的な裏金」だ。二階氏は過去20年で計約50億6000万円を受けとり,うち約47億7000万円は歴代最長である約5年(2016年8月~21年9月)の幹事長時代である。
計160回に及ぶ支出額は1回あたり30万~7210万円。2020年6月9日はたった1日で「7210万円」「5000万円」「5000万円」と,3回にわたって計1億7210万円が支払われ,同様に1日1億円超を受けとったケースが在任中に3日あった。
問題は二階氏がこれだけのカネを使い切ったのか,どうかだ。先〔1月〕月29日の衆院予算委で,政府参考人の国税庁幹部は「政策活動費は(使い切らずに)年末に余っていれば納税の義務がある」と答弁。井坂氏はこの指摘を引きあいに「二階さんは政策活動費を毎年,使い切っていたか」と岸田首相に迫った。
◇ 岸田首相は「確認するまでもない」
「党の方針が諸外国にバレる」強気&屁理屈答弁 ◇
庶民感覚に照らせば,年10億円もの大金を使い切れるとは思えないが,岸田首相は「政治活動に必要な経費として適切に使用されているものと認識している」と強弁。「二階さんに聞いたのか?」と重ねて問われても,「確認するまでもなく適切に使用されているものと認識している」と何食わぬ顔で2回も繰り返した。
電話一本で済む確認作業を怠るかぎり,二階氏の脱税疑惑は晴れない。それでも岸田首相は「政策活動費については当然,法律にもとづいて使われるべきものであり,そうでなければならない」とかたくなに確認を拒否。使途公開を求められると,こう大げさな屁理屈をこねくりまわす。
「党の活動とかかわりのある個人のプライバシーや企業団体の営業秘密を侵害する。党の方針が他の政治勢力や諸外国に明らかになる」
井坂氏は「そんな『脱税天国』みたいな答弁で,国民が納税してくれるのか」とツッコんでいたが,そのとおりだ。
「本来なら国税がきちんと税務調査に入るべきですが,昔から国税は『強きを助け,弱きをくじく』といわれてきました。ただ,これから確定申告を迎える時期ですから,脱税を許さない世論が高まっていけば,国税といえど動かざるを得なくなるかもしれません」(立正大法制研究所特別研究員・浦野広明氏=税法)
〔2月〕5日の予算委で国税庁幹部は「一般論」と断わったうえで,「政治家個人に帰属する政治資金について適切な申告がおこなわれておらず,課税上問題がある場合,的確に税務調査を行う」と答弁した。だったら,サッサと動くべきだ。 (引用終わり)
この記事に言及されている裏金問題では,東京地検特捜部からのきびしい操作・追及がなされたあと,その金額が3千万円未満の場合,追及されないという結果になったものだから,世論は沸騰。それならば庶民〔にそれくらい収入はないが〕のほうでは,われわれの年収への課税などありえないな,といった批判・非難がに飛びかう始末……。
国税庁はいったいなにをやっているのか,という悪印象も抱く。安倍晋三が第2次政権を組んでからというもの,この国の政治・経済は堕落・凋落・衰退・衰滅の一途になっていた。
自民党,公明党,日本維新の会などがとくにひどいが,悪い要素ばかりの政治家(政治屋)たちの倫理感とみたら,地に落ちたというよりは,その地中に入りこんで,はいまわってただ逃げまわることにしか能がない連中ばかりになった。
国会議員が『選良』? そうあらためて聞かされても,最近は「正真正銘のウソ」にしか聞こえない。
自民党内には,安倍晋三チルド連という最近では当選回数4回にもなる,それも人間として主体性や思考能力を欠如させた「自民党風の国会議員」がまだたくさん居残っている。この連中は国会議員としてどのような活躍(いちおう仕事としてのそれを指しているつもりだが)をしてきたのか,さっぱりわからず,つまり存在感はゼロに近かった。
もっとも,どちらかという以前に,悪評判そのものならば確実に記録してきたのが,このチルド連の者どもであった。事件簿に記録される程度の狼藉行為ならば,世間に対して目立つかたちで披露してきた。要するにそのところだけならば,いちおう彼らなりに存在感を訴求できていたわけである。
さて,つぎの※-5に紹介する記事は,岸田文雄流の裏金「定義」に対する『日刊ゲンダイ』の攻撃になっていた。なお,新聞としての発行の日付は前後しているので,念のため断わっておきたい。
※-5「『裏金って言うな!』 自民党が幼稚な “言葉狩り” …岸田首相『定義は困難』でゴマカす無責任」『日刊ゲンダイ』2024年2月5日, https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/335737
〔2024年2月〕5日から全閣僚が出席する衆院予算委員会の質疑日程が入り,国会論戦は本格化。珍しく野党の足並みもそろい,裏金追及で攻勢を強めている。逆風が吹き荒れるなか,火に油を注いでいるのが,岸田首相の反省ゼロの無責任発言。自民党も幼稚な言葉狩りに興じる始末で,この政権は今国会を乗り切れるのか。
立憲民主,日本維新の会,共産,国民民主の野党4党の国対委員長は,今国会で定期的に意見を交わす連絡協議会の設置を決定。裏金追及で事実上の「共闘」関係にある。
野党4党は予算審議を始める前提条件として,自民側に全所属議員を対象とした派閥からの還流の不記載の有無を調べた「裏金議員リスト」の提出を要求。自民側も受け入れ,5日朝,暫定的リストを野党に提示した。野党側はリストの内容しだいで審議拒否も辞さない構えをみせ,のっけから自民を大きく揺さぶっている。
自民の国対サイドの苦労をしってかしらずか,追及材料を与えまくっているのが,岸田首相だ。裏金問題をめぐり,フザけた答弁を連発。今月2日の参院本会議の代表質問では裏金の定義を問われ,こういってのけた。
「文脈に応じて,意味,内容が異なってくる。いちがいに定義をお答えすることは困難」
政治資金収支報告書という正式な帳簿に載っていなければ「裏金」だ。安倍政権時代の2019年,首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力が出席していたかが話題となった。
質問主意書で「反社の定義」を問われると〈形態が多様で,時々の社会情勢に応じて変化しうるもので,あらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難である〉とする答弁書を閣議決定。まさか,ここまで岸田首相も「アベ政治」のゴマカシ手法を踏襲するとは……。
◇ 野党「共闘」で火だるま必至 ◇
実は施政方針演説でも,岸田首相は「裏金」との言葉をいっさい,使わなかった。「国民から疑念の目が注がれる事態を招いた」と謝罪したが,あくまで裏金を「政治資金の問題」という表現にスリ替えた。
「岸田首相は昨〔2023〕年11月,岸田派が政治資金パーティーの収入を修正したさい,国会で『修正しても総額は変わっていない。裏金うんぬんという指摘はあたらない』と豪語。あくまで記載漏れとの認識を示したが,一転して派閥の会計責任者が立件される事態に。とはいえ,あれだけ大見えを切った手前,いまさら裏金を認めるわけにもいかず,定義をウヤムヤにしてけむに巻こうとしているのでしょう」(政界関係者)
そんな岸田首相の心中を察したのか,野党議員が国会で「裏金」と口にするたび,自民側は猛抗議。1月31日の衆院本会議の代表質問で立憲の泉代表が,辞任した政務官2人について「裏金をもらっていた」と批判すると,自民の議院運営委員会の理事が登壇して異議を唱えた。
その2日前の参院予算委では共産党議員が用意したパネルに裏金の記述があるのを自民の理事がケチをつけ,〈「裏金」〉と手書きのカギかっこでくくることで決着。おかげで開会が30分ほど遅れた。
党を挙げて「裏金禁句」の幼稚な追及逃れ。当事者意識に欠けた無反省な「言葉狩り」にかまけているかぎり,今国会で岸田政権は火だるま必至である。(引用終わり)
岸田文雄はすでに「火の玉になって」という発言をしていたが,すでに昨年12月14日には,小沢一郎からつぎのように突っこまれていた。
以上の記述にくわえてつぎの『リテラ』の記事も紹介したいが,すでに長い文になっているので,リンク先のその紹介だけで今日の記述は終わりにしたい。この『リテラ』の内容は,本日記述の最初に再度,還帰している話題である。このことはひとまず断わっておきたい。
⇒「裏金に反省なし,岸田首相と自民党が死守する『企業団体献金』は事実上の賄賂だ! トヨタ,電通,経団連の大口献金と優遇政策」『リテラ』2024.02.03 08:19,https://lite-ra.com/2024/02/post-6317.html
以上,ここまでの記述に関連しては,『日本経済新聞』と『毎日新聞』からつぎの記事を紹介しておく。両紙の岸田文雄に対する論調はいずれも辛口であって,岸田自身はノラリクラリとうまく,野党の攻勢を散らし削いでいるつもりかしらないが,最近ではすっかり腰抜け状態になっているメディア・マスコミでも,この程度のことは最低限なりにいいはじめている。
以下に任意に関連する記事を現物画像にして並べておく。『日本経済新聞』から2点,『毎日新聞』から1点を挙げるが,後者は岸田文雄にやる気あるのか(?)とまで問うている。
岸田文雄は首相になるのが,自分の政治家としての「人生における目標」であると告白していた。ところが,その目標を実際に実現できたら,そのつぎに「なにをするのか・したいのか」,多分 “自分なり” さっぱり判っていないようである。
岸田文雄はあるとき,子どもたちに「自分が首相になったとき一番やりたい仕事はなにか」と聞かれたとき,「人事をイジることだ」と答えた。いまの彼を観ていると,自分自身が日本の政治を「人事不省」に等しい状態に追いこんできた事実(顛末)に関してすら,まったく自覚症状がない。すなわち,政治意識のもち方じたいがまったく欠損だらけであり,病状としては重篤の部類である。
こういう「世襲3代目の政治屋」に政治の仕事をやらせている現状そのものが,国家の安全保障の総合的な見地からいっても,非常に危険である。内政も外交もそうだと断言してよい。
【参考記事】-『日刊ゲンダイ』2024年2月7日の「岸田文雄」ダメ押し的な記事など-
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