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原子力エネルギー問題に関して経済産業省の国家官僚たちが原発の電源比率をはじめ,実に勝手に都合よくあれこれを想定する「原子力村の掟」最優先の立場・思想は,原発亡国日本へ向かう片道切符しか用意できない

 ※-1 本日議論のためにまず参照するのは『デモクラシータイムス』2024年12月21日のネット放送番組である

 その題名は「〈ウィークエンドニュース〉石破内閣空飛行で越年へ 韓国政治の衝撃が来る」『デモクラシータイムス』2024年12月21日,https://www.youtube.com/watch?v=OctkMNnBJpo&t=5339s で,出演者は永田浩三,西村カリン,竹信三恵子,五野井郁夫,司会者は高瀬 毅。

石破内閣の問題は本ブログでは取り上げないので
さきにことわっておきたい


 ※-2 上記のネット番組『デモクラシータイムス』2024年12月21日は「石破内閣空飛行で越年へ 韓国政治の衝撃が来る」という題名のもとに出席者が議論をしていた

 今回紹介する『この動画番組』のなかには「いくつもの画像資料」がかかげられていた。それらがたいそう参考になると受けとめた本ブログ筆者は,それらをひとつひとつ紹介しつつとりあげ,これらに自分なりの議論をからめていく構成をともって,以下の記述を展開していく。

 なお,以下(次項の※-3からとなるが)に紹介し,登場させるそれら画像は,あくまで当該ユーチューブ動画サイトのなかからスクショで切りとったものである。だが,それぞれなりに含蓄を汲みとるための努力をしてみれば,いろいろな意味を汲みとることが可能であると判断した。

 以下,「順は不同」の形式で,しかも本ブログ筆者好みの要領で,それぞれの画像をめぐり,あれこれの吟味・検討や討議・批判をおこなっていくつもりである。

 1)「地震大国」であるこの国土の上にわざわざ,原発という「超巨大・ゴジラ・チックの発電装置」を,日本の場合はいままで,およそ50基以上も置きつづけてきた。

 ところがまさに「最大級の恐怖となるべき原発生活的な悲劇」の物語が,2011年3月11日の東日本大震災とこれに伴い発生した大津波の襲来を受けた東電福島第1原発においてであったが,まさに過酷な大事故を発生させるかたちで,本当に開幕してしまった。

 東電福島第1原発事故を想起するさいとくに留意すべき事実は,その現場に4基あった原発のうち,震災発生時はたまたま稼働していなかった4号機が,原子炉から一時取りだしていた核燃料棒を移動・保管する貯蔵槽(冷却用のプール)の水が,抜けてしまった状態になっていた〔と気づいた〕ことである。

 その4号機も事前に水素爆発を誘発していた関係もあって,もしもその状態がさらに継続していたら,そこで,大惨事がくわえて発生する恐れがあった。ところが,不幸中の幸いが生じていて,たまたま,その上方の位置にある別の場所に溜めてあった水がその貯蔵槽に流れこんでいて,救われたのである。

 その当時の状況については,『朝日新聞』がまとめていた「吉田調書」のなかで,つぎのように記述されている。

  在日米国大使館は2011年3月17日,福島第1原発から50マイル圏内の米国民への避難勧告を出した。50マイルはメートルに換算すると80キロメートルになる。日本政府が出していた避難指示の,距離で4倍,面積にすると16倍に及ぶ。

 日本の避難指示が不十分だといわんばかりの勧告だが,根拠がないわけではなかった。米原子力規制委員会のグレゴリー・ヤツコ委員長が前日の16日に,プールの水は空だ,と発言していたことだ。

 4号機の核燃料プールには,新燃料204体と使用済み核燃料1331体が入っていた。うち548体はつい4カ月前まで原子炉内で使われていた。そのため,4号機のプールの核燃料の崩壊熱は,たとえば3号機のプールの核燃料より4倍も高かった。

 プールの核燃料は,原子炉装着中と違って,鋼鉄製の圧力容器および格納容器に守られていない。さらに,外側の原子炉建屋は3月15日に水素爆発で吹き飛んでいるため,冷却が止まって発火し燃え上がると,プルトニウムやウラニウムなど猛毒の放射性物質をそのまま外部環境に放出してしまう。

 そうなると福島第1原発はもとより,わずか10キロメートルしか離れていない福島第2原発も人が近づけなくなり,2つの原発にある核燃料入りの原子炉と核燃料プールがすべて制御不能になると恐れられた

 日本政府は3月25日になって,近藤駿介原子力委員会委員長に,原発が人の手で制御できなくなれば強制移転区域は半径170キロ以上,希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性がある,という最悪シナリオを描かせた。だが,米国は3月16日の時点で,4号機の核燃料プールはすでにその危機的な状態に陥っていると判断していた

 ところが,日本の最悪のシナリオは現実のものとならず,米国の判断も間違っていた。

 註記)「吉田調書」『朝日新聞』http://www.asahi.com/special/yoshida_report/epilogue.html

この引用中に添えられた図解はつぎにかかげるものである
この図解についてはつぎの引用をしておく

 2) 菅 直人『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』幻冬舎,2012年10月は,以上の恐怖そのものであった出来事に関して,こう回顧していた。同書の第1章「回想」の3月15日における記述のうちから,「幸運だったとしか思えない」という項目から引用する。

 4号炉の使用済み核燃料プールの水が残っていたのも幸運の一つだ。提起点検作業の遅れで,事故発生当時,原子炉本体に水が満たされており,この水が何らかの理由でプール内に流れこんだことによるとされている。

 つまり,私たちは幸運にも助かったのだ。幸運だったという以外,総括のしようがない。そして,その幸運が今後もあるとはとても思えないのだ。

菅 直人「前掲書」119頁

 当時,菅 直人が「民主党政権の首相」として行動した記録については,つぎの指摘のように評価する意見も出ていた。東電福島第1原発事故は,それこそ21世紀の歴史に大書されるべき重大事件であっただけに,当時,日本の国家最高指導者の立場にあった菅がどのように決断をしていたかは,その事実に即して客観的に評価すべき事項である。

   ◆「菅が日本を救った」「ありがとう菅」「菅は英雄」… 菅前首相の原発事故対応を再評価する声が鳴り止まないっ ◆
  =投稿者 虎丸花蜂『阿修羅 掲示版』2012年8月23日 22:37:45,
       http://www.asyura2.com/12/senkyo134/msg/749.html

 いまネット上で菅直人前総理大臣の原発事故への対応を再評価する声が日増しに増えている。

 その理由のひとつが先日,部分公開された東電テレビ会議システムの映像解析により露見しつつある東電による福島第1原発からの撤退申し出の事実と,それを押し止めた菅前総理の英断にあるようだ。

 以下に,2chニュース速報(嫌儲)板に立てられたスレッド「【東電】福島第一原発事故後,全面撤退に向けて “具体的に” 準備していたことがテレビ会議映像から判明」より,主に菅前総理に対する称賛の声と非難の書きこみを抜粋し転載する。(以下は後略)

菅直人が指図した采配にのちにケチをつけた人の1人に安倍晋三がいたが
まさにおっちょこちょいの〈オマイウ〉であった

 以上の記述はまだ,「〈ウィークエンドニュース〉石破内閣空飛行で越年へ 韓国政治の衝撃が来る」『デモクラシータイムス』2024年12月21日を紹介していないところでなされていたので,つぎに,本論の筋になる議論に進む。


 ※-3「〈ウィークエンドニュース〉石破内閣空飛行で越年へ 韓国政治の衝撃が来る」『デモクラシータイムス』2024年12月21日が,掲示していた諸図解・諸図表など

 a) 世界有数の地震国日本の実態は,とりあえず,つぎのAI君の解説をそのまま引用しても間違いになるおそれはなさそうなので,まず,これを参照し,紹介する。

 日本は世界全体に占める国土面積の0.25%だ,地震発生回数は世界の18.5%と非常に高く,地震大国と呼ばれるゆえんであった。日本は環太平洋変動帯に位置し,地形や地質,気象などの条件から,地震が発生しやすい国土である。

 また,世界で発生するマグニチュード6以上の地震の18.5%,活火山の7.1%が日本にある。そしてとくに,災害による死亡者の1.5%、被害金額の17.5%も日本から発生している。

 その国のような構造に出来上がっているこの国土の上に,つぎのように原発がほぼ満遍なく立地され配置してあった。

原発がどこに存在しているかは
つぎの段落で説明する

 ここでは,2019年と2024年とだから5年の間隔をとって,経済産業省資源エネルギー庁と『nippon.com』の作成(と再作成)になる原発配置(稼働)図を参照しておく。5年前(2019年)と今年(2024年)の2点を,比較するのもよいと思い,つぎに並べてかかげてみる。

経済産業省資源エネルギー庁作成
これにもとづいてつぎの『nippon.com』も作成されている
『nippon.com』作成

 b)「使用済み核燃料の保管状況」が問題になるのは,その後始末をどこでどのようにおこなっていくかと相談されても,この場所・施設の定位置はまだ確実な見通しがついていない。現段階では,中間貯蔵施設は青森県のむつ市くらいしか定まっていない。

青森県むつ市に関しては
2024年7月29日の『朝日新聞』がつぎの報道をしていた

こういってはなんだが「毒くわば皿まで」の様相
になってきた
まず「むつ市=財政難」という事情があった

つぎに「貯蔵期間は最長で50年間(!)」という約束だという

現状だと多分その「最終処分地」にもなりそうなのが「むつ市の未来」


 c)「核燃料サイクル・高速増殖炉」の試図・方途は,どういう経過をたどってきたか。

 国(政府)および大手・有力電気事業者は,1984年の電気事業連合会からの立地協力に関する要請からこれまで30年以上〔2024年だと40年になる〕にもわたり,青森県の理解と協力のもと,県内に核燃料サイクル施設の建設を,六ヶ所再処理工場やむつ中間貯蔵施設などとして進めてきた。

真ん中少し下に「赤抜き白地」で高速増殖炉は廃炉
と記入されている

上のほうには未完成 下のほうには白紙
などの文字もみえる

 d) 自民党と原子力村的世間における金銭の授受「交遊関係」はダテではあるまい。

国民民主党も原発マンセーだから
野党というよりも日本維新と同じに
癒党

 e) つぎの資料は『デモクラシータイムス』からの引用ではなく,経済産業省資源エネルギー庁が公表していた中身から抜粋したものとなる。

「2024年度上記のできるだけ早期」の「竣工目標」と記載されているが
これは延期するために当てられてきた文句

 日本原子力発電株式会社はこれまで,六ヶ所再処理工場は「2024年度のできるだけ早期」に,またMOX燃料工場は「2024年度上期」を竣工時期として,設備工事計画認可の審査・工事・検査に取り組んできた。

 だが,2024年8月23日であったが,「2024年9月以降も審査への対応が継続する」と判断を下し, 原子力規制委員会の審査会合を踏まえ,新たな竣工目標について検討するとしていた。

 という事情だったというべきか,以上のごとき経過を延々と数十年にわたって繰り返してきたのが,日本原電の社史的な事実の記録である。

 f) 最近,電力需要が今後は大いに増えるという予測がなされ,これにしたがい「原発の活用」が格別に強調されていた。

原発以外に電源はないのか?

 つぎの図表は,電源別の構成比率をおおまかに表現したものであるが,原子力(原発)を再生可能エネルギーの「仲間」に位置づけ,「脱炭酸ガスになりうる」のだという観点・解釈は,そもそも基本から誤謬であった。すなわち,「原子力+再生可能エネルギー」という仲間同士が,温暖化防止策としてともに役立つという主張は,事実から遠く離れた虚説であった。

再生可能エネルギーの登場は原子力の立ち位置をきびしくしたが
同じに脱炭酸ガスに有用だという虚偽のエセ科学的な説明を
まかり通してそのように合弁している

 つぎの図表は,これからの電力需要の将来見通しを「作図(各年予測値を打点)した」ものであるが,この「見通し」が上昇傾向に描かれている「電力需要予測」は,明確に指摘できる〈マヤカシの期待値〉であった。その理由・根拠は後段で説明する。

国家官僚たちが説くこのたぐいの予測値はデタラメが多い

出生数の低下をともかく甘めに予測しつづけてきた
政府関係官庁の統計手法の利用は

もしかしたらその初歩から勉強不足でなければ
最初から特定の偏倚がかけられていた

というよりはそれほどの上昇率になりうるとは考えられないからである

 g) 電力需要は大いに増えないという有力な主張がある。電力需要が増えていくのだから,原発は新増設もしたいという論法は,二重の意味での過誤まで誘引させていた。つまり,ひとつは原発を増やせという過誤,もうひとつは再生可能エネルギーの利用を妨害するという過誤。

 そこで,石田雅也・自然エネルギー財団研究局長「AIの普及は電力需給に影響を及ぼさない,自然エネルギー100%を実現できる期待も」『自然エネルギー財団』2024年7月12日,https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20240712_2.php の説得ある議論・主張から引用しておきたい。

 少し長くなるが,リンク先住所だけを指示して済ますにはもったいないので,以下にその全文を紹介する。

  イ) 政府のエネルギー基本計画の議論のなかで,AI(人工知能)の利用拡大に伴う電力需要の増加の可能性が注目を集めている。AIに必要な情報(データ)処理を実行するデータセンターの拡大,情報処理に必要な半導体の増産などを想定したものである。

 エネルギー基本計画を議論する基本政策分科会(2024年6月6日)において,5つの研究機関による電力需要の見通しが示された(図1)。

再生可能エネルギー領域の供給量上昇がまともに
配慮されているとはいえない

 この図1「国内の電力需要の見通し」においては,図中に関係機関の名称が登場していたが,この見通しを取りまとめた資源エネルギー庁によると,

  電中研 :電力中央研究所,
  RITE:地球環境産業技術研究機構,
  デロイト:デロイトトーマツコンサルティング,
  エネ研 :日本エネルギー経済研究所,
  国環研 :国立環境研究所

 という5つの研究機関のうち,データセンターや半導体工場による需要増の可能性を明示的に考慮したのは3つの機関だった(電中研, RITE ,デロイト)。

  ロ) 各機関の予測をみると,2050年度の需要見通しには大きな幅がある。低い場合には2022年度の実績とほぼ同水準,高い場合には40%ほど増加する。それほど将来の予測がむずかしいことを示している。

 とはいえ過去を振り返れば,AI関連の製品・サービスが飛躍的に拡大しても,それに合わせて電力の需要が大幅に増える可能性は小さい。1990年代の後半から日本でも普及が始まったインターネットが好例である。

 インターネットは過去20年以上にわたって,全世界の産業構造を変革し,人々のライフスタイルを変えてきた。データセンターや半導体を必要とする点で,インターネットとAIは不可分だ。どちらもIT(情報技術)が人間社会に生み出した新たな変革である。

 日本国内では2000年から2005年にかけて,個人のインターネット利用率が大幅に増加した(図2)。

未来予測の仕方つまり「価値観による意図的なズレ」
が問題となる


 1997年に 9.2%だった利用率は2000年に37.1%,2005年には70.8%まで一気に上昇した。その後も着実に利用率が上昇するとともに,インターネットを活用した多様なサービスが日常的に使われるようになった。インターネットに接続するパソコンやスマートフォンなどの情報端末が広く普及していくとともに,データセンターと半導体の需要が大幅に増加した。

  ハ) 一方で国内の電力消費量(年度別)を見てみると,1990年から2007年にかけて徐々に増加している(図3)。

それでも経済産業省資源エネルギー庁はこの棒グラフは
ひたすら上昇一途であってほしい

なぜならともかく原発の電源「比率」を増やしたいから
それだけのこと

もちろんその真意にはほかの理由・事情もあるが・・・

 家庭や産業界における電化の進展に合わせて電力消費量は増えてきた。しかしインターネットが拡大した2000年から2005年の増加率は5%に過ぎない。その後は〔逆に〕2007年(リーマンショックの前年)をピークに,インターネット関連の製品・サービスの拡大にもかかわらず,省エネの効果もあって電力消費量は減少傾向が続いている。

 インターネットが普及しても,むしろ国全体の電力消費量は減っている。いまや国民の大半が仕事でもプライベートでも,長時間にわたってインターネットを利用しているにもかかわらずだ。

 大量の情報端末と膨大な種類のサービスの利用者が増えつづける一方で,電力の需給に問題は生じていない。むしろ大規模な発電所が長期に運転を停止する影響のほうが大きい。

  ニ) インターネットの普及が国内の電力需要に大きな影響を及ぼさなかった理由はいくつか考えられる。

  第1にインターネットを支える技術の進化である。たとえば半導体の性能は1年半から2年で2倍に,10年間で100倍に,飛躍的なペースで向上してきた。大量の情報処理を少ない消費電力で実行できるようになった。

  第2にインターネットによって業務を効率化できる効果がある。企業などで業務時間を短縮できれば,空調や照明,あるいは機器の制御などに必要な電力を節約できる。

  第3にインターネットもAIも同様だが,必ずしも国内で情報を処理する必要はなく,海外のデータセンターで処理することが可能だ。AIが普及する過程においても,日本の電気料金が高くて,しかも気候変動を促進してしまう火力発電の電力が多い状況のままでは,大半の事業者が海外のデータセンターを利用することになるだろう。

 そもそも,膨大な量の電力を消費するような技術やサービスが全世界に普及することは考えにくい。新しい技術やサービスはコストと便益のバランスが成り立ってこそ普及していく。

  ホ) 今後はAIの普及に伴って,半導体などのハードウエアだけではなく,エネルギーマネジメントを高度に処理するソフトウエアも進化して,大量の情報処理に伴う消費電力をさらに低減できる。

 Google をはじめITの市場を牽引する企業がエネルギーに関して先進的な取り組みを続けているのは,新しい技術・サービスの拡大にエネルギーの効率的な利用が不可欠なためだ。当然ながらコストを過剰に増やさないことも,ビジネスを長く続けるうえで重要である。

 ★-1 もしAIによって大量の電力を消費する時代が来るとすれば,追加の発電コストがほぼゼロの電力を供給できることが前提になる。

 ★-2 それは燃料が不要な太陽光,風力,水力,地熱などの自然エネルギーしか実現できない。AIの普及は自然エネルギー100%による電力を全世界にもたらすかもしれない。

 ★-3 日本国内の電力需給の点では,AIの普及が原子力発電の拡大や石炭火力発電の維持を必要とする理由にはならない。

 最近は核融合による原子力発電に期待する声もあるが,実用化できるのは早くても2040年代以降になる見通しである。AIの普及スピードには間に合わないだろう。〔その原発の〕発電コストも自然エネルギーと競争できる水準まで下がるかは不明だ。

 補注)原発会計⇒廃炉会計のゆきつく先には,まちがいなく,悲観的な風景が広がっている。廃炉会計が会計学や経営学,経済学の分野で,まだまともに考究されていない事実は,学問としてその必要性に鑑みて,実に驚愕すべき現状にありつづけてきた,といわざるをえない。

  ヘ) AIの普及による電力需要を過剰に想定した結果,コストの高い発電設備が運転を続けられなくなって,座礁資産になる恐れがある。その結果,大手の電力会社をはじめ発電事業者の経営を圧迫しかねない。

 あるいは座礁資産の拡大を避けるために,政策によって自然エネルギーの拡大を遅らせるようなことになれば,世界中で進む脱炭素の流れに乗り遅れてしまう。いずれも日本にとって望ましい状況ではない。

 補注)気になることがあった。日本では,この「座礁資産の拡大を避けるために,政策によって自然エネルギーの拡大を遅らせ」てきた事実が,すでに発生していた。九州電力や四国電力ですでに実施してきた「太陽光発電に対する出力制御」の措置は,その明確な一端であり,時代逆行のエネルギー政策を意味する措置が,すでに強行されていた。

 その理由・事情は,既存の原発を再稼働に漕ぎつけたからで,日本はAIの時代にすでに突入している時代にありながら,またもやエネルギー領域において『ガラパコスの先例』を誇示(旧愚の再現を)しようとしている。この現状はまったくバカらしい愚態だというほかない。

〔記事に戻る→〕 いま日本がめざすべきは,燃料が不要な自然エネルギーを最大限に活用して,可能なかぎり低コストで大量の電力を供給できる体制を構築することである。

 AIが将来の産業や生活に不可欠なものになった場合に,求められるのは安価な電力である。

 喫緊の課題である気候変動の抑制が大前提であることを考えあわせると,温室効果ガスの排出量が少なく,環境負荷の低い電力を優先して拡大すべきだ。

  ト) AIによる電力需要の拡大を過剰に想定して,原子力発電や石炭火力発電に注力することは,国のエネルギー戦略を誤らせる可能性が大きい。

 --以上で,石田雅也・自然エネルギー財団研究局長「AIの普及は電力需給に影響を及ぼさない,自然エネルギー100%を実現できる期待も」『自然エネルギー財団』2024年7月12日の引照を終える。

 本ブログ筆者は,この財団のような批判が必らずネット上にはみつかるのではないかと,本日の記述を始める前に予想していたが,やはりその予想に応えてくれる材料がみつかった。

 「この材料」つまり「石田雅也の議論」からは,経済産業省資源エネルギー庁や電力中央研究所の立場・利害から観た場合だと,きっと,本当は好ましくないはずの時代予測しか提示されていないことになる。

 要するに,原子力村側の原発推進観に対した批判としてならば,「適切でかつ説得力ある反論」が提示されていた事実は,当然のなりゆきでもあったといえ,それなりに得心がいった。

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