原発を全廃できないというか,そうしようとはしない日本のエネルギー問題意識は後進国的事情
※-0 原爆を投下され敗戦国になり,そして原発大事故を起こし再度敗戦国になっても,まだまだ原子力に頼ろうとするこの国の後進国的なエネルギー事情
2024年8月は79年前,旧大日本帝国が敗北した年月であるが,その年の8月の6日と9日には広島と長崎に原爆が投下されていた。だが,のちにこの日本は,原爆保有を念頭に置いてだが,原発を電力生産のために利用することなった。
ところが,2011年3月11日に発生した東日本大震災と大津波の発生は,東電の原発に「過酷な事故:大爆発事故」を起こさせ,これが「第2の敗戦」と形容されるほど,この国に重大かつ深刻な被害をもたらした。
※-1 どうにも手当のしようがなくなっていた東電福島第1原発事故現場
a) 昨日,2024年8月16日の本ブログ記述は 「福島第1原発 燃料デブリ試験取り出し計画が見直しを余儀なくされる可能性」『NHK NEWS おはよう日本』2024年3月19日(火) 午後 6:13,https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pDodEAXj7Y/bp/pal0RKnpQa/ について,NHK解説委員の水野倫之が 2023年10月24日に説明した,東電福島第1原発事故現場の「惨状」に触れてみた。
アメリカでいまから45年前の1979年3月28日に,原発の事故を起こしたスリーマイル島原発事故の後始末は,現在の2024年においてはどうなっているか?
1年前の『読売新聞』(読売新聞社は原発賛成派)が今〔2024〕年2月13日に報道した記事,見出し「メルトダウン事故45年,デブリから今なお強い放射線…米スリーマイル島原発に本紙記者が入る」2024年2月13日 06:00(朝刊),https://www.yomiuri.co.jp/science/20240211-OYT1T50008/ は,つぎの付表を添えてこう解説していた。
以下は,上の記事から本記述の内容と関係の深い段落のみ引用する。
商用炉で世界初のメルトダウン(炉心溶融)事故となった1979年3月のスリーマイル島(TMI)原子力発電所事故(米ペンシルベニア州ミドルタウン)から45年を前〔2024年から前〕,……事故が起きた2号機では核燃料の大半が回収されたが,強い放射線を出すデブリがいまなお残り,ロボットなどで取り出すための準備が進んでいた。
事故が起きなかった1号機は2019年まで運転が続けられた。2号機は,もともとの運営会社が買収されるなどの経緯をたどり,2020年12月,廃炉ビジネスを手がける米エナジーソリューションズ社へ売却された。TMI原発内部を日本メディアが取材した例はほとんどなかったが,エナジー社は情報公開を重視し,読売新聞の取材依頼に応じた。
(中略)
東京電力福島第1原発と同様に,TMI原発でも放射性物質を含んだ大量の水が生じ,その処理が問題となった。福島第1原発では昨〔2023〕年8月から約130万トンの処理水の海洋放出が始まったが,TMI原発では蒸発させる方法が採用され,1991~93年に約8700トンが水蒸気として大気に放出された。
補注)東電福島第1原発事故現場はコスト面で一番安価な海洋放出をおこない,そのほかいくつもある処理方法からは逃避していた。ここでは,単純にスリーマイル島原発事故現場と比較することには注意が必要である。
〔記事に戻る→〕 構内の西側から,円筒形の巨大な原子炉建屋がみえた。原子炉内の核燃料約130トンのうち溶けて固まったデブリを含めて99%は,掘削機を挿入するなどして1990年までに取り出され,アイダホ州の国立研究所で保管されている。ただ,最終的な処分地は未定という。
補注)東電福島第1原発事故現場に残されているデブリは約880トンであり,しかも圧力容器(原子炉じたい)からさらに格納容器にまで溶融が進んでしまっているゆえ,スリーマイル島原発事故現場の場合,つまり原子炉じたい内部で溶融が収まっていた事例と,同じ話にはできない。
b) スリーマイル島原発事故現場からのデブリ取り出しがそれなりに可能になったという話題と,東電福島第1原発事故現場のしかも3基もの(1号機,2号機,3号機)原発が溶融しており,しかも爆発事故まで起こしたその現場からデブリを取り出すといった試図は,
米日両国における原発事故の後始末の問題として同日にあつかうことは,無理筋の説明であることは,初めから分かりきった話であった。それどころか,その説明の方途によっては,問題の本質や背景・事情を故意に曖昧化するか,あるいは消極的な態度で誤魔化すことにもなりかねないゆえ,慎重に判断すべき論点となる。
だからここではつぎのような関連の図解を指示しておくことにしたい。これらの図解は想像図である性質を基本的に残す説明になるゆえ,それなりに留保を付けて観てほしいものであった。
〔記事に戻る→〕 残る1%のデブリは原子炉底部などに散らばったままだ。廃炉作業の副責任者,フランク・エプラー氏は「強い放射線を出し,人を送りこむことはできない」と話す。
ドローンやロボットを使ってデブリの位置などを調べ,遠隔で切断・破砕する機器の準備や,作業の訓練にも並行して取り組んでいるという。エプラー氏は取材に,「2037年に廃炉を完了させる」との目標を明らかにした。
補注)このように原子炉内,つまり圧力容器のなかで溶融が(メルトダウンの段階で),なんとか止まっていたスリーマイル島原発事故の場合でも,まだ除去しきれていないデブリ1%を,以後,完全に始末するには「『2037年に廃炉を完了させる』との目標」を立てて「努力をする」という説明になっていた。
それでは,東電福島第1原発事故の場合,3基分となるが,いまだにその約880トンのデブリは1㎏どこか10グラムも採りだしていない現状にある事実を踏まえていえば,しかも,こちらは格納容器にまでメルトダウンを起こしただけでなく,メルトスルー,(さらにはメルトアウト)も実質,発生させているかもしれず,こうなるとどだい,21世紀中(2100年まで)に廃炉作業を終了させるという「試図というか希望」は,ほとんど無理,不可能だと予想するほかない。
c) 以上の点は素人勉強の水準でも,このように発言する本ブログ筆者の立場などはさておき,原子力工学の専門家であれば百も承知の話であって,チェルノブイリ原発事故現場とこの周辺の特定地域は地球の表面地域としては放棄されたも同然のあつかいになっている。
チェルノブイリ原発事において,爆発事故を起こした4号炉の原子炉と建屋を丸ごとコンクリートで囲いこむ「石棺」の建設が,1986年6月から始まり11月に完成した。しかしその後,その事故後に急造された4号炉を覆う「石棺」の老朽化が進んできたため,耐用年数100年の新シェルターの建設が進められていた(2016年に完成,2019年から正式に使用開始)。
しかしながら,東電福島第1原発事故の場合は現状,石棺化工事は採れない選択肢とされている。地元福島県や地域住民は大反対である。かといって,現状のごときに約880トンのデブリを「取り出す工事」そのものが,はたして「本格的に着手可能になるのは,いったいいつごろか」という見通しに,まともに,つまり的確にその予想にかぎってでもいえるそうな東電の関係者,原子力問題専門家はいない。
だから本ブログの昨日記述は,NHKの解説記事,「福島第1原発 燃料デブリ試験取り出し計画が見直しを余儀なくされる可能性」『NHK NEWS おはよう日本』2024年3月19日をとりあげてだが,つまり,この「燃料デブリ試験取り出し計画が見直しを余儀なくされる可能性」は,可能性としてこれからも当分,いつ終えるか見当すらつきない〈見直しにはならえない見通し〉しか想定しえない点を強調してみた。
かといって,東電福島第1原発事故の場合の現場を石棺化で覆うという話は,日本ではまったくといっていいほど聞こえてこない。原発事故は一度,深刻かつ重大な大事故を起こしたぶんには,このように,もうにっちもさっちもいかない「事故現場の目も当てられない惨状」をもたらすのであった。
d) 水島朝穂『直言』2021年4月26日の論題「チェルノブイリ原発事故から35年--フクシマからの視点」「逐次投入の愚--旧日本軍の『失敗の本質』」https://www.asaho.com/jpn/bkno/2021/0426.html は,関連する議論としてこういう記述をしていた。
チェルノブイリ原発事故を契機に書かれた『危険社会-新しい近代への道』(法政大学出版局,1998年)は……,著者である故・ウルリッヒ・ベックは〔が〕,「3・11」直後に公表した評論
「フクシマでは安全神話も燃え尽きた(verglüht)」のなかで,
「『フクシマ』後においては,これまで原発の安全性について語られてきた理由づけは,ことごとく疑われることは避けられない」と喝破している(直言「想定外という言葉―東日本大震災から1か月」参照。←これは参照せず,割愛)。
昨〔2020〕年の直言「『幻の東京五輪』再び―フクシマ後9年,チェルノブイリ後34年の視点」でも書いたように,ヨーロッパの人びとの感覚からすれば,1986年のチェルノブイリ原発事故では,300キロ圏内が高度の汚染地域となったが,
東京は「250キロしか離れていない場所に,炉心溶融と建屋爆発事故を起こし,手がつけられない状態にある原子炉3基と,1500本の核燃料棒がある都市」である。
ドイツには「東京2020:放射性オリンピック」反対の運動があり,そのドイツ語圏に向かって,20人の日本人研究者(私もその1人)・作家が「どうか日本には来ないでください!」という呼びかけをおこない,現地の新聞に紹介されている。
33年前に訪れたドイツ・バイエルン州ヴァッカースドルフという小さな村は,使用済み核燃料再処理施設建設反対の象徴となった。計画中止に導いた大きな動機は,チェルノブイリ原発事故だった。チェルノブイリと「3・11」がドイツをして脱原発の方向に舵を切らせたのである。(引用終わり)
e) さて,そのドイツは2022年2月24日,あの半狂人の「ロシアのプーチン」が始めた「ウクライナ侵略戦争」を原因とした資源価格の急騰傾向があっても,同年の3月いっぱいで必らずや原発を廃絶するという国家としての約束(宣言)を実施した。
最近はAIの普及状況や半導体生産のために増大する電力需要に応えるためには原発の新増設が必要だと,世界中の原発推進派が「大声で発言し,かつ執拗に主張しつづけている」状況が生まれている。
だが,電力の節約という基本姿勢を踏まえたうえでいえば,再生可能エネルギーのさらなる積極的な導入・幅広い利用によって,つまり,そのスマート・グリッド体制の確立・拡大・浸透によって,こちらのエネルギー活用の展開の妨げにしかならないような,
つまり,人間・人類,地球環境のために,「反動的でありの破滅的な未来しか予期させない」まさに「お邪魔虫:原発」を,エネルギー生産の舞台から退かせるのではなく,逆に,これからも利用していくというエネルギー問題の方途は,それこそ危険がいっぱいであるだけでなく,
スリーマイル島原発事故(1979年)⇒チェルノブイリ原発事故(1986年)⇒東電福島第1原発事故(2011年)の,それこそ3段跳び的に出来させてしまった「危険の回路」を,
いまさらのようにわざわざ新規に開拓するごとき愚策の骨頂であった。旧ソ連と日本で起きた「最高度の危険度」を現実化したあの恐怖でしかない原発事故が,近い将来また発生しないという絶対の保証はない。
どこの国にある原発にかぎられない話題となるが,ともかく「原発事故」が絶対に起こらない,とりわけ,チェルノブイリ原発や東電福島第1原発並みの事故が起きないなどと,自信をもって断言できる者は,この地球上に誰1人としているはずがない。この指摘に反論できる人はいまい。
f) 本ブログ内では以前,『失敗学』という変わった提唱をおこない,それも理論として構築した畑村洋太郎をとりあげたことがあった。本ブログ筆者がこの元東大工学部教授に対して,それこそ激越にも批判を繰り出したのは,
この先生はなんと「これからの原発の失敗が発生しても」「これを教訓として学ぶ材料にできれば」「事後,原発の事故を起こさない」ようにするために役立つ,といったごとき「自説:失敗学」を創説したのである。これにはびっくり仰天させられた。本ブログ筆者は初めてその御説に接したとき,本当にこれが工学者の提案できる発想なのかと,本当に驚愕した。
とくに,チェルノブイリ原発事故(1986年)⇒東電福島第1原発事故(2011年)並みの原発大事故が再度発生してもしかたない,それも失敗学の素材に活かせればいいのではないかなどと,「ノンキナトウサン」(呑気な父さん)」風に--大正時代に新聞漫画として連載開始し,昭和初期にかけて断続的に発表されたもの--考えるヒマは,いまのわれわれの立場・状況にしてみれば,一刻もないはずである。
冗談にもいってはいけない点がおおまじめに議論され,しかも世間の間ではけっこう受けている様子をみせつけられた本ブログ筆者は,「さすが元東大教授の権威」は,すこぶる強力・偉大であると感じ入った。
※-2「れいわ新選組が声明 『東日本大震災と東電福島第1原発事故から13年を迎えるにあたって」『長周新聞』2024年3月14日,https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/29593
ここからは『長周新聞』のこの記事を紹介しつつ,肝心の問題に関したさらなる議論を進めてみたい。
--れいわ新選組は〔2024年3月〕11日,東日本大震災と福島第1原発事故から13年にあたって声明を発した。以下紹介する。
◇ ◇ ◇ ◇
【声明】 東日本大震災と東電福島第1原発事故から 13年を迎えるにあたって
東日本大震災と東電福島第1原発事故から13年が経ちました。原発事故の収束がまったく見通せないなか,原発事故被害者に対する公的な支援は縮小・打ち切りが進み,多くの被災者・避難者の生活困窮,環境汚染,地域社会の分断など,事故の影響はますます深刻です。
今〔2024〕年元日には能登半島地震が発生し,241人の方が亡くなり,2月29日の時点で,1万1449人の方が避難生活を余儀なくされている状況です。最愛のご家族やご友人など,かけがえのない命を失ったご遺族の皆様にあらためて哀悼の意を表しますとともに,復興,生活再建に尽力されている皆様に深い敬意を表します。
私たちは,この国においては,巨大地震がどの地域においても起こりうるという認識のもと,原発は即時廃止すべきだと訴えてきました。また防災省を設立し,災害の予防から,被災者の生活再建まで国が責任をもって支援をおこなうべきだと訴えてきました。
大地震の被災者の生活再建にとって,ハードルとなるのは,住む家の再建,コミュニティの再生,地域の損壊したインフラの復旧・復興です。そのためにも,被災者の方々が生活を再建するに十分な資金面での支援が必要です。
先日,東日本大震災の被災者が借りた「災害援護資金」の滞納が問題になっているという報道がありました。この資金は市町村が被災者に生活再建のために貸し付けるものです。
債権者である市町村が回収に苦慮しているほか,被災者にとっても生活再建の足かせになっています。被災者を救うためにできた制度が被災者を苦しめるものであってはなりません。
政府は,債権者である市町村への財政支援をするなどして,現在滞納されている約57億円は一律免除するなどおこなうべきです。
補注)岸田文雄は先日(2024年8月14日)ようやく,9月に実施される自民党総裁選に出馬することを断念した決断を明らかにしたが,この首相はまことにけしからぬ,それも原発問題については無知同然でありながらも,首相になってから1年近くが経った2022年8月下旬,「原発の再稼働のみならず,その新増設」までもおこなうという,完全までにみごとな,暗愚でしかありえない意思決定を下していた。
岸田文雄は自分の頭で原発の問題を沈思黙考したうえで,そのような判断を下したのではなかった。ただ,経済産業省の国家官僚たちの「原発推進派」のいいぶんをそのままオウムが鳴くように反復していたに過ぎなかった。
いうところの例の「異次元の聞く力」が発揮されていたらしいが,この種になる「世襲3代目の政治屋」の無知・無能・無策ぶりは,故・安倍晋三のアホノポリティックスやアホノミクスの愚行ぶりと並んで,日本が誇るべき「バカな大将,敵より怖い」の好例になっていたわけだが,
まさしく「亡国・滅国をめざしたがごとき彼らのような」,実は「平々凡々未満のボンボン政治屋」のために,この日本国は「衰退途上国」の経路にはまりこむ始末にまでなっていたなかで,
原発問題の今後,なかでも,東電福島第1原発事故現場をどのように後片づけしていくのか(いけるのか)について,なにもメドを付けないまま,首相の座を去った無責任男たちは,日本の国民・市民・庶民の立場にとってみれば,それこそ「国辱であり国恥であり,いわば国賊そのもの」であった,しかも「世襲3代目の政治屋」である事実を共通項にしていた。
一般庶民の立場から観た彼ら「世襲3代目の政治屋」の存在は,「三バカ大将物語」の記録を増やしたというより,むしろさらに拙劣で破滅的な「日本国」の方途を具現させた。安倍晋三にしても岸田文雄にしても,原発問題に対する理解・知識は素人以前をうんぬんするまでもなく,実質的には空っぽ状態であった。
〔記事に戻る ↓ 〕
■-1 汚染水の海洋放出と事故原発廃炉への長い道のり
東電福島第1原発は,いまも東北地方の復興に大きな影を落としています。
とくに,「処理水」という名の汚染水の海洋投棄は,福島,東北地方に留まらない影響を与えています。この汚染水の海洋投棄を受けて,中国は日本産水産物の輸入を停止しました。現在もその禁輸措置は続いています。
補注)それでいて本日,2024年8月17日『日本経済新聞』朝刊1面冒頭記事には,こういうニュースが掲載されていた。見出しは「中国漁船,三陸沖に大挙 処理水放出後も操業活発 禁輸措置と食い違い 日経調査」となっていた。ここでは画像資料としてその記事を紹介しておく。
この記事の全文のみ活字で引用しておく。
〔『長周新聞』に戻る→〕 「核汚染水と呼んで反対しているのは中国だけ」と主張した大臣もいますが,これは事実と異なります。韓国政府も公式の文書では汚染水と呼び,野党や市民は日本による汚染水投棄反対を訴え,選挙での争点にもなっています。
米国の海洋研究機関はじめASEANや太平洋諸国からも市民や漁業者が懸念の声を上げ続けています。政府が明確な反対を表明していない国でも,実情は「IAEAの報告書に理解を示す」などといっているに過ぎません。
大量のトリチウムだけでなく,1570万年も環境に残り続けるヨウ素129等,多種多様な放射性核種を放出しながら「大した影響はない」といいはりつづけるなら,日本が将来,国際的に孤立するリスクは高まります。
私たちは,原発敷地内で処理水を長期保管して半減期を重ねつつ,汚染除去技術の開発を進めることを提案してきました。海洋投棄の早期停止を求めます。
補注)汚染水の処理方法について,ここではくわしく説明しえないが,たとえば小出裕章は「方法としては現実的で容易な方法が山ほどあります」と,これは文化放送(ラジオ番組)に出演した番組のなかでも言及していた。
日本はただ,一番安い方法でしかも容易なやり方に逃げただけであり,「汚染水」を「処理水というなの汚染水に変えて」だが,太平洋にぶちまけるという選択肢を採った。この選択肢はもっとも無責任な地球環境に対する不躾で不遜な方途を採った,としかいいようがなかった。
ここでは,文化放送のその番組「〈番組レポ〉処理水を海に放出する以外にも方法はたくさんある」『文化放送』2023年10月17日,https://www.joqr.co.jp/qr/article/104487/ を紹介しておくので,このリンク先・住所から入って,その解説の文章をよんでもらい,さらに放送内容そのものも聴いてもらうのもよい。
〔記事に戻る→〕 東電福島第1原発では,昨年(2023年)には10月と12月に相次いで作業員が廃液を浴びて入院するなど,原発敷地内での作業中に重大な事故が起きており,ロボットによる内部調査も進んでいません。
〔要は〕13年経ったいまでも,事故の収束がまったく見通せない状況です。
IAEAが「国際基準に合致」とお墨付きを与えた東電の安全対策は,これほどにずさんなものであり,東電は事故を起こした原発の後始末も責任をもって完遂する法的義務も負っていません。
こんな東電に原発の再稼働を認めるのは,暴挙としかいいようがありません。
■-2 岸田政権によるGX脱炭素電源法とGX推進法の制定
このように,いまだに東電福島第1原発事故による影響を受けつづけている状況にもかかわらず,岸田政権は原子力政策を大きく転換し,原発事故後の「原発依存度をできる限り低減する」から,「必要な規模を持続的に活用していく」へと 180度転換しました。
昨年(2023年)の原発推進2法案はその最たる例です。この原発事故の教訓として導入された「原則40年,最長60年」とする運転期間の制限は削除され,60年を超える運転が可能となったのです。
補注)この「原則40年,最長60年」という長期間を原発の稼働に認めるという立場は,前段で触れた畑村洋太郎の「失敗学」の立場にすれば,その「失敗の事例(好例?)」を,わざわざあるいはむざむざ投じることになりかねない危険性に富んだ,それこそトンデモナイ,しかも工学的な安全概念からも突出して「危険性の問題を無視した」考え方である。
〔記事に戻る→〕 今回,北陸電力や経団連が再稼働を急いでいた志賀原発は,変圧器が壊れるなど数々のトラブルが起きました。また能登半島地震の被害が深刻な地域には,かつて珠洲原発の建設計画がありました。
長年の反対運動を経て計画は凍結されましたが,万一,原発が建設されていれば,地震によって深刻な事故が起こった可能性もあります。
能登半島では地震で道路が寸断されており,地震と津波そして原発事故による「複合災害」となった場合,住民の避難が不可能であることは明らかです。
石川県の防災計画には,複合災害の項目はあるものの,道路の寸断や屋内退避ができないような状況については触れられておらず,立地自治体の志賀町の避難計画には「複合災害」の項目さえなかったことも明らかになりました。
今後,首都圏直下型地震,南海トラフ地震による被害想定では,東日本大震災や阪神大震災での被害を遥かに超えるとされています。これだけの地震に耐えられる原発は存在せず,避難も不可能でしょう。
老朽化した原発再稼働,稼働期間の延長,核燃料の再処理施設の稼働,そして新設の選択肢はありえません。
補注)そのとおりであって,技術経済的な観点に徹して原発という装置・機械の壽命(耐用年数)は,原発史の当初において実はまず「20年から30年のそれに変更した」うえで,さらにその後「40年まで延長させた」のち,またもや「60年でもよい」というところまで,それこそ調子に乗ったかのようにして伸ばしに伸ばしてきた。
比較の材料として挙げられるが,飛行機や新幹線車両の壽命と比較してみればいいのである。これらの交通機関に比較して,危険きわまりない技術特性をもつ原発に対して,そのように甘々に耐用年数の制限をゆるめ,しかもそのさい実際に稼働していない時間(点検期間などのこと)まで,その年数から除外しろといったごとき,度外れに常識から外れた要求まで通したのだから,
こうなるともう,工学的な基礎的視点からしても,論外どころが暴論のたぐいになっていた。冗談にもなりえいほどに,恐ろしい,そして会計原則の基本公準すら完全に否定した原発特別視の観点がのさばりはじめた。
〔記事に戻る ↓ 〕
■-3「防災省」の設置とエネルギー安全保障
東日本大震災と東電福島第一原発事故から13年,あらためて防災や震災復興を行政が災害救援NPOや団体と連携して担う仕組みを強化することが必要です。そのためにも,国が「防災省」をたちあげ,災害救援NPOなどを公務員化し,蓄積された知見や経験を国の力として最大化させるべきです。
それと同時に,エネルギー政策を大転換し,原発からの脱却と省エネルギーと再生可能エネルギーを全力で進めていく必要があります。
再生可能エネルギーへの転換が十分に進んでいないのは,国と財界と電事連〔電気事業連合会〕がいまだに原子力や火力などの大規模電源に固執しているからにほかなりません。
国の主導で,再エネ普及を軸にした新産業創出により,全国津々浦々に新しい雇用を生み出し,地域を活性化させていくべきです。
また現在,日本はエネルギーの9割を輸入に頼っており,毎年数十兆円の富が海外に流出しています。多様な再エネの普及こそ,経済・エネルギーの安全保障の要です。
私たちれいわ新選組は,脱原発グリーン・ニューディールによって,防災インフラを強化するとともに,原発を廃止して再生可能エネルギーを中心とした,共存のための強靭な社会・経済の実現をめざします。
2024年3月11日 れいわ新選組 (以上で,引用終わり)
日本は再び原発の大事故を発生させるという不名誉な体験を,またもやしたいのか?
原発の「安全神話」は本当に神話でなかった事実は,いまでは誰もが面と向かっていえる時代になった。そもそも,原発に事故が起こらないという絶対の保証はありえない。
日本の原発だけの話ではない。徐々にその基数を増やしつつある世界中の原発のどこかで,もしも過酷な事故を起こした分には,そのとき,この地球上はいまさらのように,大騒ぎ・大パニックになることは必定である。
地球を止(や)めますか? それとも原発を使っていきますか? 今後,原発の大事故が起きてからでは,すべて「時すでに遅し」になる。
つくづく思う。安倍晋三も岸田文雄も,原発の問題のことはイロハ以前に,実はなにも理解できていなかった。ドイツの国家最高指導者車たちと比べてみるに,雲泥の差,月とスッポンであった。
ドイツは2022年4月15日をもって,すべての原発を廃炉にした。ドイツの前メルケル首相は迷ったすえ,原発の廃絶に舵を取った。それは懸命な判断であった。
補注)スエーデンの原発比率については,つぎの記述を参照されたい。8年前の解説だが,いまでも新鮮な中身である。
つぎの記事はなにを物語るものか? リンク先・住所だけを指示しておくが,とても勉強になるエネルギー問題の解説である。
要するに,原発はエネルギー問題からしてもともと最大・最悪のお邪魔虫であった。原発が炭酸ガスの発生を抑えるために有効だとかのたまう迷説の誤謬は,ここではいちいち説明しないが,この種の世を惑わす「原発病患者」は,早急に再生可能エネルギー病院に入院し,加療することをお勧めする。
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