原発事故の悪夢は現実,その害悪は「永久に不滅」,原爆の鬼子が日本という国に常駐(1)
※-0「前論」として紹介する「原発事故の恐怖」に触れた意見や主張
1) 北陸電力志賀原発
東電福島第1原発事故が「東日本大震災の連鎖現象」として発生してから早,13年が経過した現在になっている。ところで,今年の2024年になった最初の日の1月1日に発生したのが,能登半島地震であった。
この能登半島地震に関しては,石川県北部地域の能登半島の付け根に近い地点,地理上では七尾市の反対側になるが,日本海を西側にのぞむ志賀町には「北陸電力志賀原発」が立地していた事実が,本当に恐ろしいのだが,未発で済んだ「原発事故の可能性」を自覚する必要性を,われわれに対してあらためて喚起させた。
この志賀原発の地点は,能登半島地震が発生したさい「震度7(激震)を観測した」のである。
その志賀原発が危機的な状況に陥った事態については,つぎの『NHK NEWS WEB』が1月22日に放送した解説番組がまとめて整理していた。これからその一部分の段落を切りとって紹介する。
註記) 「志賀原発 相次ぐトラブル 地震で何が起きていたのか?」『NHK NEWS WEB』2024年1月22日 20時22分,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240122/k10014329711000.html
要は,「このような場所にも原発を立地させてきた」そもそもの「地震国である日本」のエネルギー戦略が,根本から大間違いであった事実を教える説明がなされている。
前段に紹介したNHKの報道は,「避難計画では原発の北側に住む人は能登半島の先端部に近い輪島市や珠洲市などに避難する想定ですが,そうした地域で道路などにより大きな被害が出ています」と説明していた。
原発事故の発生を想定する場合,志賀原発が立地する周辺の地域は,たとえば風向きが南西としたとき,能登半島で北から東に延びた地域に位置する輪島市や珠洲市とこの近隣の市町村,すなわち,志賀原発から北部(北東部)に位置するこれらすべての市町村は,
ただちに住民を,船舶(できれば高速船が好ましい)あるいはヘリなどを利用・動員して,とりあえず海から迂回する経路で安全な他地域へ,それも緊急に待避しなければ,彼らは,濃度の高い放射性物質の襲来から逃れえない窮地に置かれつづけるほかなくなる。
しかし,そういった避難方法について想定話をしてみたところで,この避難方法は「緊急時における救援策」として実際に考えてみた場合,ほとんど実現困難とみなすほかなく,とうてい無理難題である。自衛隊3軍による救援活動が実施されてたしても,そこまでは想定外の事態発生と思われる。
また,いまからその危険性が予想される原発周辺住民の避難計画については,緊急脱出用の高速船やヘリの準備・運用が常態的に即応可能になるような基本体制が,日本全国に点在する「原発所在の周辺各地」に対して提供できるかといわれたら,こちらはこちらでまた別個に,相当の負担を覚悟しなければ実現させうる術すらない。
2) 四国電力伊方原発
それにもかかわらず,日本の裁判所:裁判官は「地震国日本における原発問題」に関して最近,以下のように報道された「完全に分からず屋の体たらくな判決」を下していた。
四国電力の伊方原発がどこに立地しているか。とくにこの「原発の格別の危険性」は,その周辺地域の地図も示し,強調しておく。前段の志賀原発と似た地理的な事情があって,こちらの伊方原発の場合はみてのとおり,さらにもっと〈極端に危険な位置関係〉にある。この事実・事情は一目瞭然である。
前段に引用した大分地裁の判決に関連させて紹介すると,『被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判』https://saiban.hiroshima-net.org/trial/ というホームページがあった。(なお,この画面・紙面そのものが,伊方原発広島応援団事務局「広島1万人委員会第74回チラシ」ということであった)
この〈チラシ〉は「『ふるさと広島を守りたい』ヒロシマの被爆者と広島市民が,伊方原発からの放射能被曝を拒否し,広島地方裁判所に提訴しました」と広告する内容であって,最初の段落がこう切り出すかたちで訴えていた。
補注)なお,このホームページは,原発問題について単に日本の問題としてではなく,世界的な次元でそれも原発に関連するあらゆる問題を,素人であるわれわれにも,それほどむずかしくなく読めるかたちで説明してくれている。長文の中身なので,最初の部分しか紹介できないが,ともかくこう書いてあった。
※-1「今の自民党政権下で原発事故が起きたら」『田中龍作ジャーナル』2024年3月11日 17:43,https://tanakaryusaku.jp/2024/03/00030426
この『田中龍作ジャーナル』を早速,引用する
--東電福島第1原発がメルトダウンを起こして,今日〔2024年3月〕11日で13年が経つ。世界の原子力史上最悪の苛酷事故だった。
反社とカルトが支配する,いまの自民党政権下で原発事故が起きたら,どうなるだろうか。
2018年夏,水害のさなか「赤坂自民亭」で安倍首相以下数十人の議員が酒盛りに興じる不祥事があり,世間の顰蹙を買った。
補注)ここで途中に挿入するのは,2018年7月10日に放送されたテレビの報道画面。この国をますます「ダメにしてきた,きている」連中が,何人も写っている。「亡国の輩たち」の飲み会風景。
自民党のモラルはさらに低下している。いまかりに,原発事故が起きたとしても,政権幹部にはたして当事者意識はあるだろうか。「あっそー」くらいのレベルではないだろうか。
福島の事故は民主党政権下に起きた。自民党政権は電力会社や経団連の利害を最優先する。
原子炉がダメになる海水注入なんてしないだろう。原子炉が爆発して国土の半分くらい人が住めなくなっても,だ。
情報も隠蔽される。
天を恐れていなかったから原発を作り事故を招いた。天罰が下ったのである。
福島の事故があらためて突きつけたのは,避難経路の確保だ。命の確保ともいえる。
能登震災をみれば,福島の教訓がまったく活かされていないことが分かる。
経団連と電力会社のいいなりになる政権が続くかぎり,原発事故はまた起き,こんどはさらに多くの人々が犠牲になる。
--以上までの記述は,本日:2024年3月14日に書いてみたものである。次項※-2からは,4年前の2020年3月18日に書いた内容を復活させるものである。
また,ここまでの※-1における記述の趣旨は,いうまでもないけれども※-2以下に直結している。なお,本日の再述に当たってはもちろん,補正ならびに補述もしてある。
さらに,全体の文章が長くなったので,今回は2分割して「本稿の(1)」と「本稿(2)」の構成とした。
※-2 原子力発電は悪魔から贈りもの,この電力生産方式が要求する返礼(ツケ)は「永久に不滅です」のたぐいを意味し,恐ろしい結果となって,すでに現実化してきた
原発はとうとうお荷物と化したが,もともと「原爆の鬼子」であった,また不死身でもあるこの悪魔の子どもは,これからも地球上で暴れまわるに違いあるまい。原発を廃絶しないかぎり,そうした恐怖は永遠につづく。
要点:1 《悪魔の火》と付きあったからに,未来永劫的に別れ話はありえない
要点:2 原発のコストが一番高い事実は隠せなくなっており,一番の厄介者である問題点も鮮明になった
要点:3 解決の展望がもてない東電福島第1原発事故の今後は,「廃炉工程の至難性」を端的に教示している
1)「川内原発1号機停止 既存施設にも最新の知見『バックフィット』」『朝日新聞』2020年3月17日朝刊3面「総合」
九州電力は〔3月〕16日,川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)の運転を停止した。テロ対策施設が期限内に完成しないためで,完成の遅れで原発が止まるのは全国初。
最新の知見で引き上げた基準を既存の原発にも適用する「バックフィット制度」で停止に追いこまれた初のケースでもある。今後,川内2号機のほか,関西電力や四国電力の原発も停止を余儀なくされる見通しだ。
テロ対策施設は,新規制基準で原発本体の安全対策工事計画の認可から5年以内の設置が義務づけられている。川内1号機は東京電力福島第1原発事故後,全国で最初に再稼働した。
今〔2020年3〕月17日の設置期限に間に合わず18日に新基準に不適合の状態になる。このため16日午前9時に発電を停止。12月の運転再開をめざす。
同様に川内2号機も5月に停止する。関電も高浜原発3,4号機(福井県)を8月以降,順次止める予定。(ここで引用はひとまず終わり,以下は小見出しなど適宜に引用・紹介)
a) 引き延ばし,規制委は一蹴 (記事の引用は割愛)
b) 老朽原発,とくに影響 (同上)
c) 膨らむ安全対策費 バックフィットは電力会社の経営も直撃している。テロ対策施設の工事は原発の中枢機能をもうひとつ造るような大規模なもので,1基あたり約500億~1200億円かかっている。各社の工事費は当初の想定の2~5倍に膨らんでいる。
これに伴って安全対策費は巨額になっている。関電では総額で1兆円を突破。九電では9千数百億円に上る安全対策費の半分をテロ対策施設が占める。さらに,耐震規制の見直しで,追加の耐震工事が必要になる可能性もある。
また,原発を止めれば,代わりに動かす火力発電所の燃料費が負担として重くのしかかる。1基あたり月に九電で40億円,関電で45億円,四電で35億円の負担増になると試算する。電力会社は福島第1原発事故後,全国で原発の停止を余儀なくされ,軒並み経営が悪化した。
九電も一時は最終赤字に転落。このため,他社に先駆けて再稼働を進めた。2018年には目標の原発4基態勢を実現した。
今〔2020〕年の後半には川内の停止にくわえ,玄海の定期検査も重なり,4基中1基しか動かせない期間が生じる。全社的に経費削減の大号令をかけているが,「来期の決算は相当厳しい」(九電幹部)とため息をつく。
規制は今後も上乗せされる。安全対策費はますます膨らみ,基準を満たせず運転停止に追いこまれるリスクも抱えつづける。政府が強調してきた原発の経済性や安定性が揺らいでいる。(引用終わり)
原発は安価だ, “断然コストが安い” などといわれていきたごとき,以前までの〈記憶〉は,いまではどこかへ追いやられている。原発は,なにかと物入りな発電装置・機械になっている。いうまでもなく,その基本的な原因は「原発の安全対策」を理由に,どんどん発生させていくほかない,その経費の増大にもあった。
補注)以上の記事とその関係する議論は,2020年3月段階であったという事実を踏まえておく余地があった。というのは,2022年2月24日に「プーチンのロシア」が始めた「ウクライナ侵略戦争」,
換言すると,原油の産出ならびに精製では,世界市場で10%台を占めるロシアが関与するその戦争が,2年以上が立ったいまでもまだ継続中という理由があるために,原油の価格が高騰した「その後の経過もあった」からである。
だが,長期的な観点で評定するならば,原発(原子力発電)の「生涯原価会計」は,いずれにせよ,この電源がこれからもじわじわとコスト高になっていく見通ししかありえない。
〔本文に戻る→〕 しかし,やはりまた,つい何年が前までは,原発というものはとても安全でたいそう安心なエネルギー獲得のための発電方法だと,なぜか特筆大書的に強調されてきた。
ところが,このところ,その利点がさっぱり発揮できていない様子が丸みえになっていた。なぜかといえば,この『朝日新聞』2020年3月17日朝刊3面「総合」の記事にも報道されたように,原発という発電装置・機械が安全でも安価でもない事実は,否応なしに認めざるをえない時代になってきたからである。
前段に引用した記事のなかで,「規制委」と表記されていた「原子力規制委員会」は,「規制」という漢字をかかげた委員会であっても,実は本来,原発をできるだけ積極的に促進させたい国家機関の一組織であった。
けれども,東電福島第1原発事故「以来」,そうは単純には任務を果たせえなくなっていた。ともかく,この委員会の組織理念は,こう謳うことになっていた。
そして,その「使命」は,「原子力に対する確かな規制を通じて,人と環境を守ることが原子力規制委員会の使命である」と説明され,さらにその活動原則は,「原子力規制委員会は,事務局である原子力規制庁とともに,その使命を果たすため,以下の原則に沿って,職務を遂行する」と,説明されている。(後略)
註記)原子力規制委員会ホームページ,https://www.nsr.go.jp/nra/gaiyou/idea.html 参照。
「3・11」が発生する以前であれば,例の「安全神話」のオーラにつつまれてきた日本の原発政策とその推進体制のなかでは,この安全性に問題などいっさい問題ないものとまで絶対視されていた。
日本の原子力工学の専門家たちは,1986年4月26日に発生した当時ソ連の「チェルノブイリ原発事故」など,日本では起こるはずもない,担当作業員の凡ミスが原因だと豪語してきた。
ところが,2011年3月の東電福島第1原発事故は,3基もの原発が爆発事故(うち1基はMOX燃料を使用していたため小規模な核爆発事故を発生させたといわれる)を惹起させていたとなれば,「安全神話」という虚説に,それも観念論的に防御されていただけの〈原発神聖説〉は,まさしく完膚なきまでに粉砕された。
日本の原発利用史がそのような経過をたどってきたとなれば,原子力規制委員会も安全神話は完全に封印・放棄したうえで,なおかつ「3・11」事故の反省に立った運営を迫られる「日本の原発管理委員会」に変質せざるをえなかった。
だが,政府経産省エネルギー資源庁はいまだに,時代錯誤である「2030年における電源構成」のうち原発依存率「22~20%」に固執している。
しかしながら,世界における電力生産の趨勢は,いまでは再生エネの方途が主流であって,しかもその単位原価も急速に下がりつつある。原発の生産する電力のコストは,いまでは競争力はほとんどないものと化しつつある。いうまでもないがそのさい,原発の廃炉問題がそのもっとも重大な原因となっていた。
補注)その後,原発は小型化や新方式が考案され実現に向けた努力もなさているが,商用化に十分耐えうる以前の「実用化段階での試行じたい」すらが,「今後に期待する程度」に終始したままに停頓している。
いまの原子力規制委員会が現有の原発に対して規制するというさい,なにを規制するかといえば,原発の安全性を最重要にその指導をおこなっている。これが,原発のコストを大幅に上昇させてしまう原因となった。
いまや,原発は電力生産としての技術方式として評価すると,経済性においては問題外の技術特性になりつつあり,しかも廃炉やましてや事故を発生させた原発の後始末の問題にもなると,まだ未知の要因も含めてすでに,膨大なコストを発生させている。
以上の点から観ても,原発を利用してきた人類は,重大な覚悟を要求されている。
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【未完】 「本稿(1)」の続き「本稿(2)」は,つぎの住所である。
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