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読売新聞は安倍晋三の召使いだったのか? これからもその路線でいくのか(前編)

 ※-1 本記述の問題意識-「社会の木鐸」「第4の権力」とはよくいったものだが,戦前・戦中の新聞紙は翼賛奉仕体制であって,21世紀のいまもまた「権力擦り寄り具合」もなかなかの見物で,とくに読売新聞社-

 最近はなんといってもネットの時代である。新聞など読んだことがなくとも,ユーチューブ動画サイトで世の中の出来事全般(本当にそのすべてになるかどうかはさておき)に接することはできる。

 そうしたマスコミ・メディアの確実な変化のなかで,ネットに出稿される広告の金額がすでに第1位になっていた。つぎの表は「総広告費」において占める「インタネット広告費」が毎年顕著に増大してきた事実を教えている。この「インタネット広告費」が従来型の中心媒体であった「マスコミ四媒体広告費」を追い越したのは,2021年のことであった。

新聞「紙」そのものも電子化を今後に向けてどのように展開していくのか?
時代の流れは明確

 ここで,つぎの数字を記しておく。もちろん公称の発行部数である。

                  『読売新聞』    『朝日新聞』 
      1999年  1023万部   829万部    
      2015年    913万部   675万部
      2021年    710万部   466万部
  〔1999年からの減少率〕   69.40%     56.21%

 そしてさらに,2024年上半期平均部数は『読売新聞』が686万部,『朝日新聞』が約430万部。

 この約四半世紀のあいだに,読売新聞社の販売部数は7割を切って,つまり3分の1を失った。朝日新聞社のそれは,5割をなんとか維持できているに過ぎなくなった。

 新聞市場にくわしい識者は近い将来,きっと政府御用紙に「なれる」『読売新聞』と,あとは,総合経済中心情報紙的な役目を果たせる『日本経済新聞』以外は生き残れないのではないかと「警告する意見・解釈」がないわけではない。

 ともかく電子版を中心にしての新聞発行,ニュースの提供のみならず,調査報道に力を入れた記事づくりが,まともに十全にできない「現状のごとき日本の新聞」はいずれ,「国営新聞もどきの前段2紙しか生き残れない」という観方が提示されていた。

 

 ※-2 本日の話題は,安倍晋三の第2次政権期がこの日本の政治と経済をガタガタにしてくれた記憶(記録)を思いだしながらとなるが,このような「世襲3代目の政治屋」の甘ちゃんボンボンが一国の為政にかかわると,どれほど悲惨かつ絶望的な未来展望しかもてなくさせたか,その実録をとりあげながら以下の討議をしていく。

 以下の議論は,時を2017年6月初旬ころに時計の針を戻してする「討究」となる。

 読売新聞は戦前の正力松太郎,戦後の渡辺恒雄という最高経営者の人物像からただちに納得がいくように,体制派ベッタリの新聞社経営を一貫しておこなってきた会社である。もちろん,時代を細かく区切ってさらに観察すると,必ずしもそうではなかった時期が皆無だとまでは,断定しない。

1923年関東大震災のときは国家官僚であったが

「朝鮮人虐殺という歴史」に直接
かかわざるをえなかった事実を反省していないわけではない人物

敗戦後は核兵器の裏問題である原子力発電の導入に大きな役割をはたした
新聞記者が裏政治屋になった人物

 前段にかいまみた広告費の動向は,日本における新聞紙発行実績がすっかり斜陽化した事実を同時に物語っていた。ここで関心を抱いてみたいのは,とくに大手紙の新聞記者のなかからは「政治家になりあがった(あるいはなりさがった?)人材」が輩出されなかったのではない事実である。

 21世紀になってからより顕著になったマスコミ・メディア分野における,それも『読売新聞』や『産経新聞』に典型的にうかがえた傾向,すなわち,政権用の御用紙というよりは多分,腰巾着的な性格を強く発揮してきたこれらの新聞社でも,とくに『読売新聞』は,日本で発行部数が一番多いという「国民的次元において逃げられないような皮肉」を派生させていた。

 いまだに夫婦別姓は絶対にいけない,同姓でないと家・家族の絆が溶解するとかの,いわば「被害妄想」におちいっての決めつけであったが,異様にそうした考え方にこだわる人たちが,まだ一部に生存している摩訶不思議なこの国である。

 その「基本的な精神構造」は,いまや自国が「衰退途上国」になってしまった事実に気づけないどころか,ある種,説明不能な自分たちの立ち位置に特有な心理機制を,まともに客体視して凝視できないからこそ,「その種の主張(空疎なイデオロギー)」に執心できる人たちに固有であった,いわば「島国根性」だけが強烈に昂揚されることになった。

 安倍晋三の第2次政権時における出来事であったが,とくに朝日新聞社を憎み,この報道機関を潰してやるという勢いで,彼が権柄尽くの攻撃をかけたことがあった。

 それは,2014年の夏ごろからの「従軍慰安婦問題」や「吉田調書問題」(東電福島第1原発事故関連)を材料に引き出し,朝日新聞社を粉砕するかのような意気ごみをみせた安倍晋三の,それこそ調子づいたマスコミ・メディア破壊のための行動に記録されていた。

 もっとも,今日から2日前の2024年9月17日になったところで,いまはすでに安倍晋三亡きあととはいえ,遅まきながらも朝日新聞社側が,この「世襲3代目の政治屋」の行跡をその抜本にまで立ち入り批判する記事を,その日の朝刊冒頭にかかげて報道した。

 この記事は,安倍晋三の大ウソのうちでも重大なそのひとつに対して,あらためて大きな疑念・批判を投じたものである。安倍自身がもしもいまも生きていたらこの報道には,それこそ腰を抜かさんばかりに驚愕させられたはずである。

写真では右側から萩生田光一,岸 信夫(安倍晋三の実弟)

 安倍晋三は原発問題についてだったが,例の「東電福島第1原発事故現場」は「アンダーコントロール」という,これまたお得意の大ウソ発言を放っていた。これは,2013年9月に記録した言動であった。

 いまだに「原子力緊急事態宣言」が「3・11」移行変わらずに発令中であるにもかからず,恥も外聞もなく(2020東京オリンピック招聘のためであったが)安倍晋三は,お得意の大ウソを開陳していた。

 また安倍晋三は,国会の舞台においてだが,虚偽答弁を118回犯してきたとすでに正式に認定されているが,これ以外にも〈ウソの総目録〉を作成するとしたら,つぎからつぎへと延々と頁を補充しなければならないほど,それはもう盛りだくさん……。

 本日は,以上のごとき前口上を述べたところで,2017年6月上旬に記述され公開されたことがある「以下の文章」を再録するかたちで再公開することになった。全体の分量が例によって長文なので,前編と後編に分けて記述することにした。

 もちろん本日,この以下の記述を再公表するに当たっては,内容の推敲をさらにくわえたり,新しい知見を加味する個所には,それなりに補訂したりすることも試みた。


 ※-3 読売新聞社は安倍晋三の召使いだったのか?

 ▼-1 権力・支配者側の端女(からくり装置)と化した渡邉恒雄が統御する読売新聞社

 ▼-2 安倍晋三政権といえどもいつかは終わるが,そのときからはどうしていくのか?
 (実際,2024年10月4日をもって自民党政権は岸田文雄が首相に交代したが,※-1,※-2で若干触れたごとくに・・・)

 ▼-3 新聞「紙」としての新聞は,今後どうなっていくのか

読売新聞社の基本性格

 本ブログは『note』において執筆するようになってからだと,つぎの記述を充てて,安倍晋三の「世襲3代目の政治屋」としての本質(本性)を説明してきた。

 一番目に挙げた記述は連続モノとして編成されていた。以下の3編,いずれも長文の内容なので,わざわざここで読んでもらうことは願わず,次段以下の記述に飛んでもらってよい。

 

 ※-4『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』が怒りの記事

 1)『読売新聞』は反「社会の木鐸」の新聞紙

 先日〔2017年5月26日〕に,ネット紙『リテラ』がこういう記事を書いていた。「前川〔喜平〕前次官問題で “官邸の謀略丸乗り” の事実が満天下に! 読売新聞の “政権広報紙” ぶりを徹底検証」https://lite-ra.com/2017/05/post-3192.html

 この『リテラ』記事の全文は,約5千字もの分量なので,すべては引用せずに,ごく一部分を紹介するだけとなる。

 その前に一言しておき,当時の時点では,いったいなにが「安倍晋三的な問題」になっていたのか説明しておきたい。

 問題は,加計学園の獣医学部「設置認可」問題(愛媛県今治市で2018年4月に岡山理科大学獣医学部の新設を予定している)に関して,安倍晋三が,同学園理事長加計孝太郎とはオトモダチ(ポンユウ)的な親密な間柄である事実:背景事情から発生していた。

縁故主義(ネポティズム)政治を実践していた安倍晋三
これは2015年12月24日の画像

左側が加計孝太郎であとは三井住友銀行幹部など
国家の私物化(死物化)現象を教えるための一材料になる

引用した原資料のリンク先住所はこれ( ↓ )
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/625.html

 この問題については,安倍自身が「首相である立場」を利用して,私的に加計学園の獣医学部「設置認可」を支援してきた事実を,『読売新聞』は意図してまともには報道していなかった。

 それどころか逆に,その隠蔽・歪曲をもくろむことまでかかわり,いいかえると,新聞社の立場として最低限守るべき「公立・中世」「不偏・不党」の精神などとはまったく無縁の報道姿勢を,恥じらいもなく堂々と披露してきた。

 2)『リテラ』から適宜に箇所を参照しつつ解説する

  a)「前川喜平・前文部科学省事務次官」の報じ方

 安倍首相主導の不当な働きかけが〔濃厚に〕疑われたのが,加計学園の問題であった。例の「総理のご意向」「官邸の最高レベルがいっていること」などと記載された文科省の内部文書をめぐり,昨日〔ここでは2017年5月26日〕夕方,前事務次官(当時)の前川喜平氏が記者会見を開いた。

 「これらの文書については,私が実際に在職中に共有していた文書でございますから,確実に存在していた。みつけるつもりがあれば,すぐみつかると思う。複雑な調査方法を用いる必要はない」

 「きわめて薄弱な根拠のもとで規制緩和がおこなわれた。また,そのことによって公正公平であるべき行政のあり方が歪められたと私は認識しています」

 「証人喚問があれば参ります」

前事務次官の前川喜平氏が記者会見


 各マスコミは一斉に “前川証言” を報じはじめた。昨夜〔同上日付〕はほとんどのテレビ局がこの記者会見を大きくとりあげたし,今日の新聞朝刊も多くの社が1面トップ,もしくはそれに準ずる扱いで,〈文科前次官「総理のご意向文書は確実に存在」「証人喚問応じる」〉と打った。

 こうなってみると,あらためてそのみっともなさが浮き彫りになったのが, “伝説級の謀略記事” をやらかした読売新聞だろう。周知のように,読売新聞はこの前川氏の実名証言を止めようとした官邸のリークに丸乗りし,〔5月〕22日朝刊で〈前川前次官出会い系バー通い〉と打っていた。

 大手全国紙が刑事事件にもなっていない,現役でもない官僚のただの風俗通いを社会面でデカデカと記事にするなんていうのは前代未聞。報道関係者の間でも「いくら政権べったりといっても,こんな記事を出して読売は恥ずかしくないのか」と大きな話題になっていた。

 しかも,この読売の官邸丸乗りは当初,本サイト〔『リテラ』のこと〕だけが追及していたが,そのあと『週刊新潮』(新潮社〔2017年6月1日号,5月25日発売〕)もこの事実を暴露した。こんな感じだ。

 安倍官邸は警察当局などに前川前次官の醜聞情報を集めさせ,友好的なメディアを使って取材させ,彼に報復するとともに口封じに動いたという。事実,前川前次官を貶めようと,取材を進めるメディアがあった。「あなたが来る2日前から,読売新聞の2人組がここ〔前記の “出会い系バー” 〕に来ていた」。

 補注)該当の『週刊新潮』記事の見出しは「加計学園 疑惑の場外乱闘! 安倍官邸が暴露した『文書リーク官僚』の風俗通い」。

 註記)以下からは前段で断わったとおり,参照中の『リテラ』からは,ごく一部分のみを拾い読み的に参照する。

 まず,ほかのテレビ局(ここではテレビ朝日とフジテレビなど)が,『週刊新潮』の記事を引用しつつ,「読売の記事」(2017年5月22日朝刊「前川前次官出会い系バー通い」と見出しを着けた記事)については,「官邸の証言潰しのイメージ操作」であることを指摘していた。

 「地上波のテレビ番組で,全国紙の記事が官邸の謀略だと指摘されるのは,おそらくはじめてではないか」。「赤っ恥,読売」新聞は官邸擁護で,「官邸に “いい子いい子” をしてもらおうとしっぽをふりすぎて,満天下に恥をさらしてしまった」読売新聞であった。
 
 そうした態度は読売だけではない。読売系のテレビ番組も “前川証言” には消極的で,露骨なまでに安倍政権の顔色をうかがう姿勢を示していた。他局は「週刊文春」の前川氏独占インタビューを受け,一斉にこの問題を報道。インタビュー済みだったTBSもこの時点で前川氏のインタビュー映像を放送していた。

 ところが,日本テレビは,午前の情報番組『ZIP!』『スッキリ !! 』では,加計学園の話題をいっさい無視,かろうじて『NNNストレイトニュース』が国会での民進党と松野一博文科相のやりとりをベタで触れたのみで,午後になっても同じ調子だった。

 なお,前川喜平の事情については,「前川前次官の出会い系バー通いの真相」(『高世仁の「諸悪莫作」日記』2017年6月1日,http://d.hatena.ne.jp/takase22/20170601 )が,つぎのようにまっとうに解釈をくわえ,説明していた。  

 数日前,前川氏が次官辞任以降,素性を明かさず低所得者を支援するボランティア活動に参加していたとの証言が出た。ああ,この人は本物だなと思った(http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16974.html)。  

 その出会い系バーで前川氏の相手をした女性を突きとめて,彼とのあいだになにがあったかを取材すれば真相は一発で分かるのに。と思っていたら,今日発売の『週刊文春』がまさにそのスクープを載せた。

 「3年間で3,40回会った」という26歳の女性Aさん。彼女の証言は実に興味深く,前川氏が「すごい」人であることを示している。 前川氏のアドバイスで彼女が百貨店に入ると,「授業参観」といって様子見に売り場に来たという。

 その後,以前から希望していた高級ブランド店で働けるようになると,前川氏は就職を祝う会まで開いていた。驚くことに,前川氏との交流をAの両親もしっていたという。

 私のいまがあるのは前川さんのおかげ,と彼女にいわしめる前川喜平氏は,「調査」ばかりか人生を教え,人を救っていたのである。すばらしい教育者であり,まれにみる人格者ではないか。

 本来,前川氏の加計学園問題に関する証言と出会い系バー通いはべつべつの話なのだが,こうして,出会い系バー問題の真相がはっきりしてくると,……証言の信憑性がいっそう高まってくる。 (引用終わり) 

  b)「政府広報・御用紙となった読売新聞」 
 
 もはや,読売はグループをあげて “安倍政権の広報機関” と化していると断言していい。いったい,いつのまにこんなことになってしまったのか。

 「会食を繰り返す渡邉恒雄主筆と安倍首相,蜜月はピークに達」していた事実は,安倍晋三自身が「自民党総裁としての(改憲の)考え方は,相当詳しく読売新聞に書いてありますから,是非それを熟読してもらってもいい」と,国会の場でトンデモ発言をしてもいたように,

 読売新聞はトップで安倍首相のその単独インタビューを公開し,まさに安倍首相の “代弁者” として振るまっている

 第2次安倍政権発足以降,安倍首相と渡邉氏の相思相愛ぶりはすさまじい。実際,安倍首相と渡邉氏の会食回数は傑出している。数年前から渡邉氏が読売本社にマスコミ幹部を招いて “安倍首相を囲む会” を開催しだしたことは有名だが,さらに昨〔2016〕年11月16日には,渡邉氏が見守るなか,安倍首相が読売本社で講演までいっていた。

 こうした安倍首相の “ナベツネ詣で” は,重要な節目の前後にあり,重要法案などについてわざわざお伺いを立てているといわれる。そのつづきとして,今〔2017〕年の “2020年新憲法施行宣言” の読売単独インタビューと,国会での安倍首相の「読売新聞を読め」発言も出ていた。

 前川〔喜平・前文部科学省事務次官〕証言ツブシのための「出会い系バー通い」報道の謀略……。もはや,そのベッタリぶりは報道機関の体さえなしていない。

 これは単に,安倍首相と渡邉氏の蜜月ぶりだけが問題ではない。現在,読売新聞では四半世紀にわたりトップに君臨する渡邉氏を “忖度” するあまり,政治部は当然として社会部や世論調査までもが,安倍政権の後方支援一色となっている。政権にとってマイナスにならないようにと配慮ばかりするのが,読売新聞社の基本姿勢である。

 安保報道における読売の明白な「偏向」ぶりは,この池上 彰氏をして,「安保法制賛成の新聞は反対意見をほとんどとりあげない。そこが反対派の新聞と大きく違う点です。読売は反対の議論を載せません」。そうなると「これがはたしてきちんとした報道なのかってことになる」(『週刊東洋経済』2015年9月5日号/東洋経済新報社)といわしめたほどである。

 事実,2015年5~9月の間の朝日,毎日,読売,産経においてデモ関連の記事に出てくるコメント数を比較すると,朝日214,毎日178に対して,なんと読売はたったの10。産経の11より少なかったという(一般社団法人日本報道検証機構調べ)。

 ちなみに,安保関連の細かいところでは,安倍首相が蓮舫議員に対し「まあいいじゃん,そんなこと」というヤジを飛ばしたことがあったが,読売新聞はこのヤジ問題を全国紙で唯一報じなかった。

 補注)国会の場でヤジを飛ばしている安倍晋三の悪表情。麻生太郎も同列。それにしても品のない表情。添えられたチンパンジー像にも申しわけなという気分……。

「にっきょうそ!」と揶揄する言動は
天下に実在する公党である「日本共産党」のことを

「共産党!」と悪口のつもりで発言するのと同じこと
この理解は好き嫌いの問題ではない

日教組ヤジは氷山の一角
安倍首相こそ「息吐くように嘘つく」政治屋であった

=『日刊ゲンダイ』2015年2月24日 =
安倍晋三もアベだがとなりの麻生太郎もタロウ

「下々の人びと」よりもこの老害政治屋のほうが
ずっと品性に問題あった

  c)「世論を誘導するための世論調査」 

 さらには世論調査までもが, “安倍首相に捧げる” 世論操作の様相を呈している。たとえば2015年7月24から26日実施の読売全国調査では,

 〈安全保障関連法案は,日本の平和と安全を確保し,国際社会への貢献を強化するために,自衛隊の活動を拡大するものです。こうした法律の整備に,賛成ですか,反対ですか〉

などと,安倍政権の主張をそのまま質問文に盛りこんだ誘導質問を展開。

 集団的自衛権閣議決定の2014年には,〈集団的自衛権71%容認 本社世論調〉なる記事を出したが,これも調査で人びとが心理的に選びがちな「中間的選択肢」をあえて置き,回答を誘導したとしか思えないものだった。

  d)「森友学園問題でも官邸擁護“忖度新聞” は民主主義の敵だ」 

 森友学園報道を露骨に避けていたことも忘れてはならない。実際,朝日新聞(東京版)が森友学園をめぐる国有地問題を初めて紙面でとりあげたのは今〔2017〕年の2月9日だったが,一方の読売(東京版)は同月18日で,実に1週間以上もの開きがある。

 しかも,この読売の記事のタイトルは「国有地売却に首相関与否定」というもので,これまた安倍政権側に立ち,文字数わずか200字弱のベタ記事だった。

 また,初めて社説で森友問題を扱ったのは,朝日が2月22日,毎日が同月23日に対して,読売は同月28日とかなり遅い。傑作なのが3月の籠池泰典理事長(当時)証人喚問翌日の社説のタイトル。全国各紙を比較してみるとこんな感じだ。

  朝日「籠池氏の喚問 昭恵氏の招致が必要だ」
  毎日「籠池氏喚問 関係者の説明が必要だ」
  日経「真相解明にはさらなる国会招致がいる」
  産経「籠池氏喚問 国有地売却の疑問とけぬ」
  読売「籠池氏証人喚問 信憑性を慎重に見極めたい」

 なにをかいわんや,である。現在の読売が,いかにかつての “中道右派のエスタブリッシュメント” 的な紙面づくりを「放棄している」か,よく判る。なぜ,こんなことになってしまったのか。

 数々のスクープを手がけた元読売新聞記者・加藤隆則氏は,スタジジブリが無料で配布している小冊子『熱風』2016年4月号でのジャーナリスト・青木 理氏との対談で,最近の読売をこのように分析している。

 「だんだん官僚的になって,ことなかれ主義になっている。いまの政権にくっついていればいいんだと。それ以外のことは冒険する必要はなく,余計なことはやめてくれと。これは事実だからいいますけど,読売のある中堅幹部は,部下に向かって『特ダネは書かなくていい』と平気でいったんです。これはもう新聞社じゃない。みんながしらない事実をみつけようという気持がなくなった新聞社はもう新聞社じゃないと僕は思います」。
 
 「この新聞社にいても書きたいことは書けなくなってしまった。そういう新聞社になってしまったということです。社内の人間は多くが息苦しさを感じている。(略) でも辞められない。生活もありますから。だからみんな泣く泣く,やむなく指示に従っている」。

元読売新聞記者・加藤隆則の発言

 森友学園,加計学園問題でバズワードとなっている “忖度” が,読売新聞社内でも疫病のように流行っている。暗澹たる気持になるのは,安倍首相と独裁的トップのほうばかりを向き,政権擁護を垂れ流して,さらには謀略にまで加担してしまうこの新聞が,いまだ発行部数第1位であるという事実。民主主義にとって,きわめて有害としかいいようがない。(『リテラ』引照終わり)

 なお,読売新聞社の記者は,SNSで自社の枠内で個人的に発信する行為を,職務上として禁止されているとのこと。

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