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「原発は脱炭素化だ」と漫然と虚説を唱えてきた原子力村的な偽論,原子力エネルギーこそ地球環境を温暖化させてきた素因(1)
※-1「原発温廃水が海を壊す」のは原発から温かい大河が流れているからだと小出裕章は説明していたが,『日本経済新聞』などの「原発大好き言論機関」は,その逆だなどとトンデモない仮想の誤説を世間にバラマキつづけてきた「反科学・非合理の論説」を,いまも喧伝している
小出裕章(元京都大学原子炉実験所助教で定年退職)は,2011年3月11日に東日本大震災が発生し,直後に誘発された大津波の襲来もあって,重大かつ深刻な過酷事故を起こした東電福島第1原発事故のほぼ1年前の2010年3月26日であったが,以下に紹介する見解:説明を『イミダス(情報・知識&オピニオン)』誌に寄稿していた。
そのリンク先住所は,以下の場所であった。
⇒ https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-059-10-03-g112
後段で,この解説を本記述は全体を紹介することになるが,「原子力発電所」は炭酸ガス(温暖化の原因になるそれ)を「出さない」,しかも稼働時はとくにそうだといっていたものが,そのうちいくらか変質していき,より正確には「その稼働時は少ししか出さない」といいかえてもいた。
その種のある意味,ずいぶん奇妙なオトボケでもあった「言説のフラフラぶり」は,この根柢にもともと控えていたアイマイさ,韜晦,逃げの言辞など,そして実際のところ,つまり本当では,「ほかの火力発電の諸方法」とほとんど変わらないどころか,
「原子力を燃やす,焚く」という性質上,ほかの火力発電方法よりもそれじたい,たいそうな高熱を発生させる原発であったがために,その廃熱じたいもそれに応じてより高温のものとなっているし,しかも熱交換比率で「3分の1」の性能しかないという技術特性でもあったから,その技術経済的な根幹に即していうとしたら,まったくに,いまどき時代遅れもはなはだしい発電方法が原子力発電なのである。
本日の記述は,本ブログが以前から書いてきたあれこれの内容に関係しているが,いまからだとなんと,すでに半世紀以上も昔,原子力村界隈に住んでいた研究者が公表していた論文(というか解説的な寄稿)が,つぎの「第1表 発電所の熱交換比率」という表を添えていたのをみつけたとき,あらためて教えらえた事実としてだったが,
とくに,原発(原子力発電所)からの場合だと,「ごくふつうの火力発電所」に比較しての話となるが,外部環境に放出・発散させる熱量(比率)がいかほどに異なるか,それがどれほどにより多かったかを研究した統計・数値を発表していた。
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これは観てとおり,とても分かりやすい事実を報告していた。
現在の時点となれば火力発電でもより新型の方式で主に多いのは,LNGを燃料に焚いて発電用のタービンをまわし,電力を生産させる方法の場合となるが,「コージェネレーション(熱電併給,cogeneration)」と呼ばれる,天然ガス〔以外にも石油やLPガスなど〕を燃料に使用して,エンジン・タービン・燃料電池などの方式により発電させ,しかもそのさいに生じる廃熱も同時に回収するシステム(装置・機械)である。
換言していうと,略して〈コージェネ〉とも称するこの発電方法は,発電と同時に発生する熱を回収して利用するシステムであり,熱電併給システムとも呼ばれ,とりわけエネルギーの効率的な利用を可能にし,その熱効率は原発の3分の1(前記の「和田 明」の図表では34%と記載,いま現在もまったく同じにこの熱効率の水準に留まっており,半世紀以上も改善・進歩が皆無)に比較して,その高水準は歴然とした差を明示している。
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その結果,現状としてはいまから10年前に公表された関連のこの統計資料であってもすでに,このように「コージェネの熱効率」は「約60~80%」にまで高まっていた。しかも,ディーゼルエンジン,ガスエンジン,ガスタービンすべてで,そのような熱効率の高さを最高度で実現させてきた。
★-1 東電福島第1原発のとくに1号機について
しかし,その間において原発がたとえば,日本で「3・11」発生したさいこの東電福島第1原発では,「酸酷な巨大事故」(敷地内の一方に南北に4基が並列していた位置関係のなかで3基もの原発が溶融し,残る1基も誘発事故を発生)が起きていた。
そこに東電福島第1原発全体で6基あった原発のうち1号機は,一番先に建造されていたから一番旧い原発になるわけだが,これは1973年3月26月に商用運転を開始していた。
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その原子炉形式は「沸騰水型軽水炉 (BWR-3)」といい,格納容器型式は「Mark-1」と呼ばれ,定格電気出力「46.0万kW」の性能を有した。当時で約390億円もの巨額を設備投資し,建造された原発の1基であった。
この1号機は,2011年3月11日の東日本大震災と大津波の襲来によって大事故を惹起させた1基になっていた。当時この1号機は,運転開始以来38年となる時期を目前にしていた。
要するに,機械工学的な見地で判断すれば,この1号機は装置全体としてはすでに,いいかげん十分に老朽化した時期を迎えていた。つまり,「3・11」のときに発生した激震じたいに対してだが,そもそも耐えうるような,万全の設備管理状態を維持しえていたかどうかについては,自信をもって断言できる機械工学者はいないはずであった。ふつうの判断だとそういう結論になるほかない。
くわえて,原子力核工学者の立場にある専門家であればさらに,そうした判断に異議を提示する人はいない。しかも,こちらの専門家は核物質・放射性物質の困難なとりあつかいに随伴する困難な諸問題も熟知しているゆえ,くわえては,原発事故の実際的な恐怖も本当に理解しているゆえ,むしろ東電福島第1原発事故の発生は必然的でもあった,という認識すら提示することになる。
ましてや,大津波によって原発の敷地全体が海水に埋没ししてしまったからには,つまりは,当初の大地震の震動・動揺とその後の大津波による冠水被害のせいで,科学的な分析・判断が不可能になったかのような顛末となっていたのだから,原発事故そのもの究明には原因を完全に判明できない諸要素・諸原因は,永久に不詳のままに「密封」されたも同然であった。
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東京大学経済学部でリベラリスト
河合栄治郎のゼミナールで学んだ
東京電力が初めて原発を導入するとき,当時の社長であった木川田一隆(生死年 1899-1977年,社長就任期間は1961年から1976年まで,同年会長となる)は,「最初は原発に反対」であった。
1961年2月に東電社長に就任した木川田氏は同8月に,福島県大熊町と双葉町にまたがる用地を取得する方針を決定した。八巻さんが木川田氏を訪ねたのは,東電が福島第1原発の建設に向け大きくかじを切っ た時期だった。八巻さんは「木川田さんは最初は原発に反対だったと聞いている」と話す。
『ドキュメント東京電力』を書いたジャーナリストの田原総一朗氏も木川田氏が当初は原発反対の立場だったと指摘する1人だ。田原氏は ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで,「初めの頃,木川田氏は原子力を悪魔だといった。悪魔と手を結ぶんだといった」と語る。
田原氏はその木川田氏が原発を自分の故郷にもってきた背景には,なにか問題が起きたときに最終的に民間に付けを回すような官僚や政治家には任せられないという信念があったとみている。
注記)ブルームバーグ・ニュース取材班「『悪魔と手を結び』原発を故郷に,木川田東電元社長-LNGも先鞭」『Bloomberg』2011年10月21日 15:07 JST,https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2011-10-21/LTCUMT0YHQ0X01
なお,このブルームバーグ・ニュース取材班「『悪魔と手を結び』原発を故郷に,木川田東電元社長-LNGも先鞭」『Bloomberg』2011年10月21日が言及した田原総一朗の発言は,『ドキュメント東京電力』のなかではこう描写されていた。
「原子力はダメだ。絶対にいかん。原爆の悲惨な洗礼を受けている日本人が,あんな悪魔のような代物を受け入れてはならない」(同書,81頁)と。
この木川田一隆の発言どおりに,その後において「原発はなった」。木川田自身が社長であったときに導入した原発が営業運転を開始したのは,前述してあったが,1973年3月26月のこと。
2011年3月11日発生した東日本大震災とこれに伴った大津波の襲来によって東電福島第1原発が世紀に残る大事故を起こしたとき,東電の会長職に就いていた勝俣恒久は,当時の混乱した状況のなかで腰抜け状態になってしまった社長清水正孝(勝俣の女婿に当たる人物)に代わり,それこそ獅子奮迅にも近い指揮ぶりをしたかのような振る舞いをみせていたが,
この勝俣恒久もまた,原発反対とまではいいだせなかったものの,当初は原発に慎重もしくは懐疑的な姿勢を示していたというから,原子力の本質を基本的に認識できている人間であれば,「原発≦原爆」である由来を有する原子力発電そのものに関して,その重大かつ不可避である基本的危険性に鑑み,そのように判断するのが正常な思考回路の結論となっていた。
※-2 この記述でとくに紹介することにした,小出裕章の「原発温排水が海を壊す」という題名の解説(2010年3月26日)はまず,つぎのごとき文章から始まる段落を置いていた
原子力発電所の稼働に不可欠な冷却水は,その膨大な熱とともに放射能や化学物質をともなって海に排出される。この温廃水(温排水,hot waste water)の存在,あるいは環境への影響が論じられることは少ない。地球温暖化への貢献を旗印として原子力回帰が叫ばれるなか,けっして避けられない温廃水の問題を浮き彫りにする。
補注)本ブログ筆者はもちろん原子力核工学の専攻者ではないゆえ,詳細な文献探索などできていないが,冒頭の段落に近いところで,和田 明が報告していたような「原発が冷却水として利用した排水を沿岸に流し戻し,これを拡散させる現象」に関した実証的な研究は,原発問題に関連して生じている環境への悪影響を解明していたはずであった。
ところが,この和田が半世紀も前におこなった研究は,少なくとも原子力村側からはそれ以上,積極的に取り組むような動向をみせていなかった。
〔小出裕章・記事に戻る ↓ 〕
▼-1 蒸気機関としての宿命
地球は46億年前に誕生したといわれる。その地球に人類が誕生したのは約400万年前。地球の歴史を1年に縮めて考えれば,人類の誕生は大みそかの夕方になってからにすぎない。
その人類も当初は自然に寄り添うように生活していたが,18世紀最後の産業革命を機に,地球環境との関係が激変した。それまでは家畜や奴隷を使ってぜいたくをしてきた一部の人間が,蒸気機関の発明によって機械を動かせるようになった。
以降,大量のエネルギーを使うようになり,産業革命以降の200年で人類が使ったエネルギーは,人類が全歴史で使ったエネルギー総量の6割を超える。その結果,地球の生命環境が破壊され,多数の生物が絶滅に追いやられるようになった。
その期間を,地球の歴史を1年に縮めた尺度に合わせれば,大みそかの夜11時59分59秒からわずか1秒でのことである。
今日利用されている火力発電も原子力発電も,発生させた蒸気でタービンを回す蒸気機関で,基本的に200年前の産業革命のときに誕生した技術である。その理想的な熱効率は,次の式で表される。
理想的な熱機関の効率=1-(低温熱源の温度÷高温熱源の温度)(⇒それぞれの温度には「K(ケルビン)」の単位で表す絶対温度を用い,「℃」で表す摂氏温度の数字に「273」をくわえ,たとえば0℃=273K,100℃=373Kとなる)
だが,現実の装置ではロスも生じるため,この式で示されるような理想的な熱効率を達成することはできない。火力発電や原子力発電の場合,「低温熱源」は冷却水で,日本では海水を使っているので,その温度は地域差や季節差を考慮しても300K(27℃)程度であり,一方の「高温熱源」は炉で熱せられ,タービンに送られる蒸気である。
そのため,火力発電と原子力発電の熱効率は,基本的にそれらが発生しうる蒸気の温度で決まり,その温度が高いほど,熱効率も上がることになる。現在稼働している原子力発電では,燃料の健全性を維持するため冷却水の温度を高くすることができず,タービンの入り口での蒸気の温度はせいぜい550K(約280℃)で,実際の熱効率は0.33,すなわち33%しかない。
つまり,利用したエネルギーの2倍となる67%のエネルギーを無駄に捨てる以外にない。
▼-2 想像を絶する膨大さ
この無駄に捨てるエネルギーは,想像を絶するほど膨大である。たとえば,100万kWと呼ばれる原子力発電所の場合,約200万kW分のエネルギーを海に捨てることになり,このエネルギーは1秒間に70トンの海水の温度を7℃上昇させる。
日本には,1秒間に70トンの流量を超える川は30筋もない。原子力発電所を作るということは,その敷地に忽然として「温かい大河」を出現させることになる。
7℃の温度上昇がいかに破滅的かは,入浴時の湯の温度を考えれば分かる。ふだん入っている風呂の温度を7℃上げてしまえば,普通の人なら入れないはずである。
しかし,海には海の生態系があって,その場所に適したたくさんの生物が生きている。その生物たちからみれば,海は生活の場であり,その温度が7℃も上がってしまえば,その場では生きられない。
逃げることのできない植物や底生生物は死滅し,逃げることができる魚類は温廃水の影響範囲の外に逃げることになる。人間からみれば,近海は海産資源の宝庫であるが,漁業の形態も変える以外にない。
▼-3 途方もない環境破壊源
雨は地球の生態系を持続させるうえで決定的に重要なもので,日本はその恵みを受けている貴重な国の一つである。
日本には毎年6500億トンの雨が降り,それによって豊かな森林が育ち,長期にわたる稲作も持続的に可能になってきた。雨のうち一部は蒸発し,一部は地下水となるため,日本の河川の総流量は年間約4000億トンである。
一方,現在日本には54基,電気出力で約4900万kWの原子力発電所があり,それが流す温廃水の総量は年間1000億トンに達する。日本近海の海水温の上昇は世界平均に比べて高く,とくに日本海の温度上昇はいちづるしい。
原発の温廃水は,日本のすべての川の水の温度を約2℃温かくすることに匹敵し,これで温暖化しなければ,その方がおかしい。そのうえ,温められた海水からは,溶けこんでいた二酸化炭素(CO2 )が大量に放出される。もし,二酸化炭素が地球温暖化の原因だとするなら,その効果も無視できない。
もちろん,日本には原子力発電所を上回る火力発電所が稼働していて,それらも冷却水として海水を使っている。しかし,最近の火力発電所では770K(約500℃)を超える高温の蒸気を利用できるようになり,熱効率は50%を超えている。
つまり,100万kWの火力発電所の場合,無駄に捨てるエネルギーは100万kW以下で済む。もし,原子力発電から火力発電に転換することができれば,それだけで海に捨てる熱を半分以下に減らせる。
さらにいえば,火力発電所を都会に建てて,これをコージェネレーション(cogeneration),すなわち,無駄に捨てるはずの熱を熱源として活用すれば,総合的なエネルギー効率を80%にすることもできる。しかし,原子力発電所はけっし都会には建てられない。
▼-4 熱,化学物質,放射能の三位一体の毒物
温廃水は単に熱いだけではなく,化学物質と放射性物質も混入させられた三位一体の毒物である。
まず,海水を敷地内に引きこむ入り口で,生物の幼生を殺すための化学物質が投入される。なぜなら海水を施設内に引きこむ配管表面にフジツボやイガイなどが張りつき,配管が詰まってしまっては困るからである。
さらに,敷地から出る場所では,作業員の汚染した衣服を洗濯したりする場合に発生する洗濯廃水などの放射性廃水もくわえられる。日本にあるほぼすべての原子力施設は,原子炉等規制法,放射線障害防止法の規制にもとづき,放射性物質を敷地外に捨てる場合に濃度規制を受ける。
原子力発電所の場合,温廃水という毎日数百万トンの流量をもつ「大河」がある。そのため,いかなる放射性物質も十分な余裕をもって捨てることができる。洗濯廃水も洗剤が含まれているため廃水処理がむずかしい。原子力発電所から見れば,苦労して処理するよりは薄めて流すほうが得策である。
たとえば,昨今話題となる核燃料サイクルを実現するための核燃料再処理工場は,原子力発電所以上に膨大な放射性物質を環境に捨てる。ところが,再処理工場には原子力発電所のような「大河」はない。
そこで,再処理工場は法律の濃度規制から除外されてしまった。逆にいえば,原子力発電所にとっては,温廃水が実に便利な放射能の希釈水となっているのである。(小出裕章・引用終わり)
ところで,2011年3月11日に発生した東日本大震災に対しては,広瀬 隆『原子炉時限爆弾-大地震におびえる日本列島-』ダイヤモンド社,2010年8月26日発行という本が,事前に厳重に警告していた。
しかし,この種の警告をしていたのは広瀬1人だけではなかった。その代表的な人物が原子力村側からは蛇蝎のように嫌われていたこの広瀬であったに過ぎない。
つぎの画像資料は右側に,広瀬 隆が1995年1月17に発生した「阪神淡路大震災」を踏まえて公刊した本の表紙カバーであるが,2011年3月11日に発生した東日本大震災とこれにともなった大津波が,「原発に大地震が襲いかかるとき」を予告かつ警告していた。
また,左側に映っている『原子炉時限爆弾』は,まさに当時(2010年8月時点)であれば,それこそ秒読みに入っていたごとき,東日本大震災の襲来を半年ほど前に予言(予測)していたことになる。これはまさに「危機は刻々迫っている!」秋であったのである。
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いまの日本は岸田文雄が首相になった瞬間,「原発の再稼働と新増設」を唱えだした。これは本当の狂気そのものの表白である。国民たちも簡単にだまされて,「ロシアのプーチン」によるウクライナ侵略戦争の開始にともなって燃料価格上昇の情勢に,それもただ表層的に欺されていたのだが,最近は,原発の再稼働も必要だという世論を形成するに至っている。
いまの首相,石破 茂は「楽しい日本」などという文句まで吐きだしているが,原発に燃料として使用している核燃料,「使用済み核燃料」の再利用=核燃料リサイクルどころか,中間貯蔵施設ですらままならない現状,くわえて最終処分場となっては全然その適地(?)すらみつからない状況のなかで,2030年⇒2040年には「電源に占める比率を2割にまで増やしたい」といった〈狂気のエネルギー観〉を,なんら憂慮もなしに披露できているこの国の現状などは,
もしも,今後数十年内の発生が80%の確率で「間違いなく予測されている」南海何回トラフ地震の到来があったとき,この日本は壊滅的な状況が中部日本を中心に起きる可能性がある。「3・11」のときでも,あと一歩でもって東日本は壊滅的な状況に追いこまれる瀬戸際になっていた事実を,原子力村の連中は思いだしたくないのである。
![](https://assets.st-note.com/img/1738028009-vAhuMf5XjHcTxWdr1VNIJK8L.jpg)
中部電力の浜岡原発は①の上付近で真っ赤な地域に立地
広瀬 隆は,集英社発行の新書版で『二酸化炭素 温暖化説の崩壊』を2010年に出版していた。このなかで「電力とエネルギー論」に関して広瀬は,こう断言していた(同書,175頁から以下は引用)。
a) 炭酸ガスは,異常気象や地球の気温変化に対して過去も未来もまったく無実である。無関係のことに目をとられている隙に,自然破壊がどんどん進行している。
b) 原発は,海水を加熱する巨大な自然破壊プラントである。
c) ヒートアイランドを起こす廃熱料を極力減らす必要がある・
小出裕章は原子力核工学を専攻した学者であったが,この工学分野を学んでその危険性,つまり《悪魔性》に気づかざるをえず,反・原発の研究をする学究に反転さぜるをえなくなった人物である。
小出裕章と同じ京都大学工学で原子力を学んだ人物たちから「熊取六人衆」が自然に生まれたのは,「原子力エネルギーの恐怖を共通して認識し,この原発の利用そのものが反科学的,非合理的である」と,電力生産へのその利用に反対する立場に,淵源していたわけである。
本日の表題は,単に反科学的かつ非合理的である原発という電力生産方法に反対するだけでなく,原子力というエネルギーを利用する人類・人間の立場・利害が,いかに自然の摂理に逆らってきたか,以下に地球環境を汚染しているか,という重大な問題性に注視する必要を強調するものであった。
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