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小桃からの手紙

 小桃ちゃんと言う犬を飼っていました。シーズーの女の子でした。とても可愛らしく、素直な良い子で、いつも僕と一緒でした。

 小桃ちゃんは癌にかかって死にました。ただ、年齢的には犬の平均寿命ぐらいは生きましたし、最後は僕の見ている傍で、静かに息を引き取りました。

 犬に限らず動物を飼ったことがある人、そしてその子を愛し、見送ったことのある人なら分かると思うのですが、『もっと、こうしてあげれば良かった』『ああしてあげれば違っていたかも』っていう後悔は、寂しさと一緒に、心の隅にいつまでもくすぶり続けるものです。

 ある日、僕は夢を観ました。

 夢の中で、僕は手紙を受け取りました。手紙は天国にいる小桃から送られてきたものでした。

 かっちゃん、おやつくれてありがとう。撫でてくれてありがとう。抱っこしてくれてありがとう。散歩連れてってくれてありがとう。ドライブ連れてってくれありがとう。ごはんくれてありがとう。

 その手紙には、僕が小桃にしたことと、それに関する感謝の言葉がこと細かく綴られていました。そして、それは僕が小桃にしたことの、すべてに対してであることが分かりました。

 手紙は、最後に、

 かっちゃんに飼ってもらえて、本当に良かった。ありがとう。

 て、言葉で締め括られていました。

 その手紙を読んだあと、僕の心から後悔は消えて、代わりに感謝か溢れていました。心から『こちらこそ、君と一緒に暮らせて本当に良かった』って思いました。

 君と暮らせて本当に良かった。ありがとう。


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