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2025年#4 読書記録『特別支援がガラッと変わる「見取りのモノサシ」応用行動分析はじめの一歩』
ついに渡辺道治先生の新刊が届きました。その名も『特別支援がガラッと変わる「見取りのモノサシ」応用行動分析はじめの一歩』。昨年出された『発達が気になる子の教え方 THE BEST』と比べるとより「行動」焦点化された1冊。どちらも読んで技能化することで、それぞれの効果がより高くなりそうな予感がしました。『発達が気になる子の教え方 THE BEST』に関しては、昨年以下のnoteにまとめてあるので、もしよければ参考にしてください。
それでは、応用行動分析のはじめの一歩を踏み出してみましょう!
見取りのモノサシを獲得する
「あの子はそういう子だから仕方ないよ」
「何度言っても変わらないんだよね」
「もうどうしていいのかわからないなぁ‥」
学校現場で働いているとこのような言葉に出会うことが多くあります。なんとかしたい。でも変わらない。そんな子どもたちへの思いがこのような言葉を出させるのでしょう。しかし、こう言っているだけでは、物事は進んでいきません。本書で学ぶ「見取りのモノサシ」を使って見取り、アクションを続けていくことで、行動改善に近づくことができるのです。
そもそも行動は‥
子どもたちのその場にそぐわない行動のことを不適応行動と言うこともあります。本書では、漫画やビールを例に筆者の体験談が書かれていますが、まず最初に確認すべきは、
その行動が不適切かどうかは周りの環境が決めている。
ということです。そして、
その行動を引き出す要因
がどこかにあります。つまり、行動だけに注目するのではなく、その前後のできごとにも注目し、何がその口行動を引き出しているのかをみていくことが大切です。
強化と弱化
また、応用行動分析学の観点からみると、行動は増やしたり(強化)、減らしたり(弱化)することができるとのこと。
行動を増やす要因のことを強化子。
行動を減らす要因のことを弱化子。
その行動の要因はなにか。減らしたいときに、弱化子となることは何か。増やしたいときに強化子となることは何か。そう考えていくことで、行動を強化したり弱化したりすることができるのです。
また行動の結果、何の変化も得られない行動は減っていく。と書かれています。確かに、何か行動を起こしたのに、何も変化がなければ、もうしなくていいやとなりますよね。つまり、何か行動を減らしたい際には、弱化子を増やすことに加えて、「結果」をなくすことも効果があると考えられます。
行動を増やす!強化子について
ここからは強化子についてまとめていきます。まず、強化子や人や状況によって異なります。ある場面では強化子になることも別の場面ではならないということが起こります。なので、その場にあった強化子を考えていく必要があります。
そもそも強化子には、「生まれながらにしてもっている強化子」と「経験によって獲得していく強化子」の2つがあるそうです。そして、その強さは、
「生まれながらにしてもっている強化子」〉「経験によって獲得していく強化子」
とのこと。それも踏まえて新たな強化子をあたえていくとよいでしょう。
また、強化子を渡す際には3つのポイントがあります。
①すぐに渡す。
②望ましい行動をした時だけ。
③量や質を調整する。
どれも確かにと思うことですが、これを即時的に行うと思うとなかなか大変そう。技能化できるまで意識し続けなければ体得できません。
行動とは‥?
死人テストというものをもとに考えると、
「死人にはできないことが行動」
であるとのこと。「静かにしなさい」「動かないで」‥いくらいっても行動変容につながらないのは、そもそもそれは行動ではないからなんですね。反省です。
そして行動を見とるときに大切なのは、「誰が見ても同じであるくらい具体的」なレベルでみるということ。言い方を変えると、誰がみても数を数えられるということでしょうか。これは目標をたてるときも同じですね。
行動の4つの機能
私たちがしている行動には4つの機能(働き)があります。
①逃避行動:何かを避けるための行動
②要求行動:何かを得るための行動
③注意喚起行動:注目を得るための行動
④自己刺激行動:刺激を得るための行動
これらを知った上で、行動を増やしたり減らしたりするためには、その行動はどの機能を果たしているかを見極めていく必要があります。
「見取りのモノサシ」を活用して分析する
ここまで、人の行動を見取るためのモノサシを確認してきまし。ここからは、そのモノサシで見取ったことをどのように分析していくかについて書いていきます。その分析方法が、「ABC分析」です。
A:Antecedent(行動の先行事象)
B:Behavior(行動)
C:Consequence(行動の結果)
ある行動とその前後に着目し、このフレームに当てはめて分析、対応方法を考えていく方法です。具体例については、ぜひ本書をお読みください。
見取りのモノサシを使いこなすために‥
最後に本書のこの言葉を書いて終わりたいと思います。
「目的をもって量を経験しよう」
どうしても一度やったことの効果がないと、諦めてしまったり、やめてしまったりすることがあります。効果があったと思ったのに、またもとに戻るというようなことも度々起こります。そんなときに大事にしたいことが前に書いた言葉です。
自分が子どもたちの行動について考えているのはなぜなのか。その目的を大事にしながら、いろいろなアプローチを試していく(量を経験する)ことが大事なのです。
必携な知識を得られる必読な一冊
さて、ここまで本書の内容についてまとめてきましたが、まだまだ紹介しきれなかったこと、内容がふんだんに盛り込まれています。子どもと関わる仕事をしている人、子育てをしている人、周りの人の行動で困っている人‥どんな人にも参考になる一冊です。とても読みやすく、タイトルの通り、行動分析をするはじめの一歩を踏み出すのに最適です。気になった方はぜひ一度手にとってみてください。今回もお読みいただきありがとうございました。