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#8『特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST』


 今回も本を読んで学んだことをまとめていこうと思います。今回の本は渡辺道治先生の『特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST』です。この本は、Voicyで放送された特別支援オーディオセミナーが書籍化されたものです。

 昨年の9月に放送されてから進化をし続けているこの放送。この放送を聴いて子どもたちとの関わり方が大きく変わりました。というより、子どもたちがする行動の見方が変わったと言った方が適切かもしれません。書籍は読んだけれど、こちらの放送はまだ‥という方には、とてもおすすめの放送です。
 Voicyで聴いた上で読んだこの書籍、一言で言うと「とってもよい」ということに尽きると思います。実際に何度もVoicyで聴いていた内容でも、本で読むとまた新たな気持ちで考えられたり、耳で聴いていたときとひっかかる部分が違ったりと、楽しみがたくさんありました。自分は視覚情報優位の人間であることもあり、Voicy✖️書籍でこの内容に関する理解がさらに大きく進んだ様に思います。それでは、これからこの書籍で学んだことをつらつらと書いていきます。お付き合いいただけると嬉しいです。

第1章 特別支援教育 必携の知識と技術

背景要因に想いを馳せる

 まず大切なのは、子どもたちの行動を見たときに、こちらがどう感じるかです。「こんなことをして困った子だ!」と思うのか、「どうしてこの子はこの行動をしているのだろう?」と思うのか、ここの感じ方の違いでその後の子どもたちとの関わり方が大きく変わります。行動の裏には見えない背景要因がある。そのことをしっかりと頭に入れ、目には見えない背景要因に想いを馳せることが大切になるのです。

行動の発生原理

 では、人の行動はどのように起こるのでしょうか。本書では、「感覚」→「認知」→「行動」の流れで行動が起こるとされています。私たち大人は、子どもたちの「行動」にどうしても注目しがちです。ただ、その行動が起こる前の段階、すなわち「感覚」や「認知」の部分にずれがないか、それを見極めることが、大切になります。

行動の機能とは

 人の行動には大きく分けて4つの機能があると言われているそうです。
①逃避行動
②要求行動
③注意喚起行動
④自己刺激行動
人の行動を見たときに、この4つの中のどの機能を果たそうとしているのかをみることが大切になってきます。また、本書の中では、それぞれの行動において不適応があったときの対応についても書かれています。
 なによりも大切なのは、これらを知った上で子どもたちの行動がどのような機能をもっているのかについてあたりをつけて対応できるかどうかということです。「これは要求行動かな」「こんどは注意喚起行動っぽいな」と対応を重ねることで、より良い対応ができるようになっていきます。

ABC分析

 子どもたちの不適応行動を分析する際に使えるのがABC分析です。ABC分析とは、A(行動の先行事象)、B(行動)、C(行動の結果)について記録し、どのように対応していくべきかを考えていくというものです。
 この分析を行うことのポイントは、行動の前後に目を向けることだと考えました。先ほども書きましたが、私たちはどうしても目に見える行動に意識をしがちです。ただ、その行動を正そうとしたときに、行動に着目して対応してもうまくいかないことが多いです。行動の前後に何があったのかを考えることで、その行動の意味の理解につながり、よりよい対応策を見つけられると考えられます。

「やり方」よりも「在り方」

 渡辺先生のご発信では、何度も「人としての在り方」を磨くことが大切だという旨の内容があります。今回の特別支援教育においても、何よりも大切なのは、自分自身の「在り方」であるということが、【最高の先行条件たれ】という言葉からわかります。
 どんな知識も、どんな技術も、それを使うときには、その子にとって自分がどんな存在であるかが大きく関わってきます。【最高の先行条件】となれるよう、自分自身を磨き続けたいと思います。

第2章 不適応行動への対応ケーススタディ

24もの具体例から学ぶ

 第2章は24個の事例をもとにどのように対応していくとよいかが書かれています。こちらはVoicyでのQAがもとに書かれています。第1章で学んだ知識をどう実際の場面に落とし込んでいくのかを学ぶことができます。どんな事例があるかは実際にお読みいただきたいと思いますが、私の心に残った部分をいくつか抜粋します。

・「縦の変化」を明確に伝える。
・「工夫して褒める」「薄めて褒める」「文字で褒める」。
・憧れを生んで、その行動を選択したいと思わせてあげられるかどうか。
・何よりも大切なのは授業の改善。

 これらの内容がそれぞれ個別のケースに合わせて解説されています。「自分だったらどう対応するか?」と考えながら読み進めるのもおすすめです。

感想

「あの子はなぜこんなことをするんだろう?」「この子に対してどう接してあげるのがいいのかな‥?」など、教師という仕事をしている中で、こういったことを日々感じながら、過ごしています。そのどうしたら?の答えの1つが本書には詰まっていました。新たな知識を得られた喜びとともに、これまで感覚的に指導していた自分への反省の念を抱きました。読めば読むほど、これまで担任してきた子の顔が浮かびます。もっと若い頃から知っていたら‥心からそう思います。
 まさに、必読・必携。大学の教職課程や初任者研修等で取り上げてほしい内容です。本書に書かれている内容を技能化し、子どもたちと前向きに・意図的に関わることができたら、この教師という仕事がもっと楽しくなるでしょう。私自身もまだまだ足りないところだらけなので、日々感覚を磨いていきたいです。今回も素敵な書籍に出会えたことに感謝です。