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[書評] ARIA The MASTERPIECE

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。

私は、マンガでも 自己啓発書でも
読むことで学びや気付きを得られるなら
「哲学書」になり得ると考えている。

その点、この作品は読む度に
自分の生活の中に潜む気付きを得られる。

おそらくマンガ以外の
全ての本を含めた中でも
一番繰り返し読んでいる本だと思う。

そんな私の座右の書について紹介したい。


技術革新へのアンチテーゼ

今でこそ 繰り返し読む際の利便性から
電子書籍で読む方が多くはなったが、
初めてこの作品と出会ったのは
紙の本だった。

当時はパソコンやインターネットは
十分普及していたが、
スマホは まだ普及途上
(ガラケーが主流だった)の頃。

この作品の舞台は
火星に移住して造られた街
ネオ・ヴェネツィア。

火星に移住ができるほど
文明が発達した地球とは違い、
ネオ・ヴェネツィアでは
現代(2000年代)と
同水準の文明レベルである。
(一部 SF的なものも登場するが)

したがって 未来の火星という
架空の舞台でありながら、
現実世界に近い日常が描かれている。
(ヴェネツィアに訪れたことはないのだが)

…と、初めて読んだ時には感じていた。

だが それから10年以上が経ち、
今 改めて読んでみると
当時とは違った感想を抱く。

今や誰しもがスマートフォンを持つのが
当たり前の時代となった。
ガラケーの頃と比べて
出来ることは大きく増えたし、
ビジネスでもない限り 家の外で
ノートパソコンを使うこともほとんどない。

たった10年少々で、
世界は驚くほどに発展した。

だが、その一方で人間は
何でもかんでも
スマホや AI に依存するようになり、
自らの頭で考えたり、
感性を磨くということを
疎かにしているようにも感じられる。

何より 昭和から平成
そして令和にかけて、
人同士のつながりは
どんどんと希薄になり
(スマホを通しての
 つながりは広がっているが)
情緒的なものが失われているように
感じられなくもない。

テクノロジーが発展するにつれて、
便利になるものがある一方で
失われていく情緒もある。

これは本作品に
度々表れるテーマでもある。
現代よりもさらに
文明が発達した遠い未来、
そこに生きる者たちは
どのような感性を
持つようになるのだろうか。

もちろん文明の発展が悪であるとは思わない。

だが、田舎暮らしや
不便な暮らしを楽しむ人が
未だに一定数いるということは、
人間の根源には
テクノロジーでは満たされない欲求
というものがあるのではないだろうか。

当時 読んでいた頃に
感じなかったわけではないが、
今 改めて読んでみると
より大きく実感する。

作者の感性

この ARIA に感銘を受けて以降、
作者・天野こずえ 先生の作品は
他にも読んでいるが、
一貫して感じるのは
彼女の感性の豊かさである。

「この人には いったい、
 世界がどのように見えているのだろうか」

生まれて初めて作者に思いを馳せたのが、
この 天野こずえ 先生である。

面白いマンガを描くためには、
絵の技量や様々なテクニックがあるのだろう。

だが、どんなにテクニックを
駆使したところで
彼女以外に斯様な作品を
描ける人間はいないだろう。

本作品のエピソードは
ヴェネツィアをモチーフにした
エピソードが多く、
現地を知らない者からすれば
観光案内的な面白さもあるが
(主人公たちの仕事・水先案内人ウンディーネそのもの)、
かといって 単に物珍しさだけではない。

何気ない日常生活の中で起こる
ちょっとした出来事、
日常で見つけた 小さな発見、
現代人がスルーしてしまいがちな それらに
素敵な気付きがあることを教えてくれる。

これは小手先の技術で
書けるようなものではない。

これを書こうとするには、
その素敵さに気付くことができる感性を
作者自身が持ち合わせていなければならないのだ。

ここに 天野こずえ先生だけが持つ魅力がある。

見開きの使い方が魅力的

そして、これは私が提案する
オススメの「ARIA」の楽しみ方である。

どうか この本を初めて読むなら、
喧騒やBGMのない
静かな環境で読んでほしい。

また 隙間時間や
予定に追われて読むのではなく、
時間を気にせずに済むときに
1ページずつ噛み締めるように読んでほしい。

何より この作品だけは、
ぜひとも電子書籍より
「紙媒体」で読んでいただきたい。

作品には随所に
波の音や風の音、鳥の鳴き声などの
環境音が表現されている。

静かな場所と穏やかな心で読んでいると、
その画力も相まって
まるで本当に " 風 " や " 音 " を
感じられるのである。

とりわけ最大の魅力が、
しばしば 見開きを使って表現される
ネオ・ヴェネツィアの景色…

その場面に立っているかのように、
思わず 鳥肌が立つほどの
空気感を味わえることだろう。

まとめ

絵のタッチも ストーリーも
アニメも そのBGMも、
私にとっては全てが愛おしい。

だが それ以上に
この作品を愛しているのは、
日常を描いたものだからこそ
日常を生きる私にとって
気付きがあるからだ。

何度 読み返しても飽きることはないし、
読む度に心に響く場面が変わる。
そこで得る気付きも変わってくる。
だからこそ、また読みたくなる。

まさしく私にとっての「座右の書」であり、
何度も繰り返し読む「哲学書」である。

本当にこの作品の魅力について語るのならば、
一晩中 語り続けても まだ足りないだろう。

こんな人にオススメ!

・「素敵」を感じたい人
・猫を愛して止まない人
・のんびりした雰囲気が好きな人
・ヴェネツィアの雰囲気が好きな人
・心を洗われるような本を読みたい人

こんな人には合わないかも…

・日常系のマンガが苦手な人
・のんびりした雰囲気が苦手な人
・女の子ばかりの作品が苦手な人

お読みいただき、ありがとうございました。

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Naseka@令和の哲学者🎈
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