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[書評] デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・エッセイスト書評家 として、
自らを定義しています。

読書の楽しさに目覚め、
書店を散策するのが楽しくなって
かれこれ15年近く経つだろうか。

いつの頃からかは知らぬが、
「○○は なぜ△△なのか」みたいな
表題の本は 比較的よく目にする。

「さおだけ屋は云々…」みたいな本は
たしかベストセラーになったんじゃなかったか?
(読んだ記憶はあるが、
 読み返すほどの感動はなかったな)

きっと
「売れる本のタイトルのつけ方」
みたいな指南書にでも
紹介されているのであろう。

また、「○○人は△△である」
みたいな表題の書籍も多い。

実際に読んだ本だと
「フランス人は10着しか服を持たない」とか。
(あれは面白い本だった)

私の気のせいかもしれぬが、この手の本は
たいてい 西洋の国が話題になることが多い。
やれ フランスだ ドイツだ イタリアだ…

幕末~明治初期の頃の日本なら、
きっと好んで読んでいる者は
西洋かぶれのレッテルを
貼られていたことだろう。

さて今回の本は、表題的には
それらの合いの子みたいなものである。

ありきたりな手筋でつけたような表題だが、
果たして その実態は如何に?


無粋なツッコミは止めよ

だいたいデンマークでもフランスでも、
「○○人は こうである」なんて
一言で言い切れるようなものではあるまい。

ましてや 令和の現代は「多様性」の時代である。

日本人が全員 白米を食べるわけじゃないし、
アメリカ人が全員 ハンバーガーを
愛しているわけでもない。
肉とポテトしか食べない日本人もいれば、
アメリカ人にもベジタリアンは存在する。

……などというツッコミは
甚だ無粋なものである。

国籍や人種、性別で括って
特性に言及ところで、
それに該当しない人間がいるのは
当然のこと。

大学入試レベルの物理の試験で
「ただし空気抵抗は無視できるものとする」
の注釈に
「そんなわけが なかろう」と
噛み付く受験生はいるまい。

あくまで シンプルなモデルの中で
必要な要素に焦点を当てて理解をするための、
便宜上の話である。

だから、この手の「○○人」論も
例外や些末なことには目を瞑り、
その本が訴えたいエッセンスを
読み取ればよいのである。

「ワークライフバランス」を考える

さて、この本だが
「ワークライフバランス」
についてのデンマーク人の思考法と、
ライフスタイルが紹介されている。

思えば この
「ワークライフバランス」
という言葉が一般的になったのは、
いったい いつ頃からだったであろうか。

少なくとも昭和ではない。
「企業戦士」や「モーレツ社員」
などという言葉が流行し、
元号が平成に変わった頃には
「24時間戦えますか」
なんて CM も生まれた。

失われた20年だか30年だか知らぬが、
その昔
ジャパン・アズ・ナンバーワン
なんて呼ばれて 日本中が浮かれていた時代、
会社員といえば
所属する組織への忠誠を誓い
プライベートを犠牲にしてでも
働いていたらしい。

しかし、身の丈に合わない背伸びは
いずれ無理が祟るもの。

「人生のリソースの大半を
 仕事(経済活動)に注ぐ」
という海外から見れば
狂気の沙汰の振る舞いによって、
一時的に先頭に躍り出ていただけのこと。

フルマラソンのスタート直後に
自分ひとり 100m走の勢いで
先頭に立ったところで
誰が あなたを称賛するだろうか?
すぐにバテて後続に抜かれるあなたを
「昔(バテるまで)は凄かった」と
称えるだろうか?

私なら かける言葉は「アホか」の一言である。

とはいえ 日本に生まれ
日本人として育ってきた私は、
何も 日本を貶めたいわけではない。

ただ 過去の現実を冷静に直視・分析し、
他者と比較することで 初めて
「この先 どうすべきか」という
正しい戦略が立てられる。

孫子の兵法でいうところの
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」である。

本当に「ライフ」が大切なら

私が思うに「これが大切」と口にするものを、
実際に大切にしている人は
案外 少ないのではないだろうか。

「ワークライフバランスが大切」と言いつつ、
「仕事が忙しいから」
「残業代を稼がないと生活が…」
などと理由をつけて、ライフを犠牲にする。
傍目には とてもバランスが
取れていなさそうに見えても、である。

それでいうと、この本で紹介されている
デンマーク人諸氏は
しっかりと「ライフ」を
大切にしているように感じられる。

さらに言えば、「ワーク」の目的が「ライフ」を充実させることにあるから、プライベートの時間を侵さず、短時間で最大限の成果を出せるのだ。

「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」より

「ライフの充実が大切」と
本気で考えるからこそ、
「ライフを犠牲にせずに
 ワークを進めるにはどうするか」
という発想で向かうことができる。

もちろん彼らのワークには
「自分が好きでやっている仕事」
という思いもあるようだが。

人生で何を優先していくかは
個人の自由であるし、中には
「ライフよりワーク」という人もいるだろう。
それはそれで、
仕事にやりがいを感じられているのであれば
幸せな人生だと思う。

ただ、仮にも
「ライフを大切にしたい」と
考えているのであれば、
今一度 自分の生活を振り返ってみよう。

うまくバランスは取れているだろうか?
「ワークライフバランス」とは名ばかりに、
理由をつけて ライフを
犠牲にしてはいないだろうか?

費やす時間や金銭の多寡ではなく
あなた自身が満足のいく
ライフを送れていてこそ、
はじめてワークの質も向上していくのだ。

まとめ

人の価値観は様々であるから
「ワークライフバランス」の考え方に
賛同する者・しない者は
分かれるところであろう。

ましてや その「バランス」の示すところは、
個々人によって差があるハズ。
必ずしも 50 / 50 とは限らない。

だが、その個人差はどうでもいい。
重要なのは
「自身が考えるバランスが
 自ら実践している生活と合っているか」
なのである。

あなたは自分の大切なものを
本当に大切にしているだろうか。

この本を読んで、今一度
自身と向き合ってみるといいかもしれない。

こんな人にオススメ!

・日本以外の労働観に興味がある人
・ワークライフバランスを改善したい人
・効率よく仕事を進めたいと考えている人

こんな人には合わないかも…

・自分はモーレツ社員だと思う人
・現代の働き方の価値観が合わない人
・今の自分の働き方に満足している人

お読みいただき、ありがとうございました。

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Naseka@令和の哲学者
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