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「友達は好きだけど集団行動は苦手。そんな息子が小3になった今、思うこと」〜保護者インタビュー〜
自由登校を見守る会「カスミソウ」の会員である保護者へのインタビュー企画です。今回協力していただいたのは、小3の息子がいるYさん。ホームスクーリングを経て、今はフリースクールへ通う息子さんについてお話を伺いました。
保育園の頃から始まった登園しぶり。次第にかんしゃくも激しくなり・・・
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登園しぶりが始まったのは息子が年中の頃で、コロナ禍明けからでした。保育園に行きたくないとぐずり、休むことが増えてきました。
Yさん「息子は小さい頃から言葉も早くて発達も早い方でしたが、意思が強くて聞き分けがなく、私は育てにくさを感じていました。保育園でも年少の頃から先生に何度も相談してきましたが、『全く問題ない』と相談に乗ってもらえませんでした。でも、今思うと、息子は環境に過剰適応し、がんばりすぎていたんだと思います。年中、年長と年次が上がるにつれ、集団行動を求められることが増え、しんどくなっていったようです」
年中の頃までは帰宅してかんしゃくを起こすことはあっても、保育園では良い子に過ごしている様子でしたが、年長になる頃には、保育園でも先生の指示に従わないなど、問題行動が増えてきます。
家でかんしゃくを起こす頻度も増え、物を投げたりなど激しい行動が見られるようになりました。また、ちょっとしたことで急にパニックやかんしゃくを起こすので、Yさんも途方にくれていました。
Yさん「当時、保育園の同じ学年には3人くらい発達の凸凹があるお子さんがいて、そのママたちが私の気持ちをわかってくれました。泣いてしまったところを励ましてもらった事もありました」
保護者とのつながりにも助けられたとYさん。今でもお付き合いがあると言います。
子どもの「今」に寄り添うことで、子どもの様子に変化が!
Yさんは息子さんの負担を減らすために園での預かり時間を短くすることにしました。
保育園で過ごす時間を減らして半年ほどで、徐々に息子さんに変化が見られたそう。家庭でかんしゃくを起こす頻度が減り、表情にゆとりが見られるようになりました。
Yさん「私もペアレントトレーニングを受けたり、発達に関する本もたくさん読み、子どもの気持ちに寄り添う努力を続けてきました。私の母から『(息子の)表情が変わってきたね』と言われた時は、驚きましたし、嬉しかったです」
問題行動が多かった頃は、息子さんが楽しく生きていける未来が描けず、本当に辛かったそう。保育園の滞在時間を減らし、家庭では息子さんに自由に過ごしてもらうことで、落ち着いて生活できるようになったと言います。
小学校に入学してからはすぐに不登校に。フリースクールも合わず・・・
就学前検診でWISCを受け、数値の上でも発達障害だと判明しました。WISCの結果を踏まえた心理相談では、『IQが高くても、できることとできないことの差が大きく、集団内で指示に意識を向けることが苦手かもしれません』と言われたそう。息子さんの生きづらさの原因がわかり、Yさんは腑に落ちる感覚があったと言います。
通級にも申し込み、最初の1ヶ月くらいは普通に登校していましたが、学習の時間が長くなるにつれ、登校しぶりが見られるようになりました。
Yさん「担任の先生は熱心で『甘えているだけだから、どうにか連れてきてください。来てくれればこちらで何とかします』とおっしゃいましたが、本人は『友達は好きだけど、学校は楽しくなかった』と帰宅します」
息子さんは給食や体育の時間など好きな時間だけ登校したり、遅れて登校するようになりました。
Yさんは息子さんが不登校になることを想定して、入学前からフリースクールを見学していたため、目星をつけていたフリースクールに週2〜3回、通わせることにします。
Yさん「息子は保育園の年中の頃から子どもクリニックで定期的に心理相談を受けてきました。そこの心理士の先生から『息子くんにはきっと学校は楽しい場所でないと思う』とアドバイスをもらっていました。学校でもフリースクールでも、息子の居場所になればどちらでも良いと思っていました」
週に数回、フリースクールに行き、その他の曜日は行ける授業にYさんが付き添って登校する日々。遠いフリースクールと学校の両方に通う中で、親も子も次第に疲れを感じるようになりました。
Yさん「『フリースクールと学校の両方だと疲れちゃうから、どちらかにしてみない?』と息子に聞くと、『学校の方がマシ』と言いました。少人数ながら集団行動の多いフリースクールは、息子に合わなかったんだと気づきました」
夏休み以降、半年ほど学校に付き添いで登校するようになりましたが、小2のゴールデンウィーク明けからは、完全不登校に。きっかけは学校でクラスメイトから「なんで毎日来ないの?」と聞かれたことでした。
ホームスクーリングを経て別のフリースクールへ
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完全不登校になった息子さん。Yさんは家で育てようと決めました。
Yさん「小島よしおさんの動画を一緒に見て算数を勉強したり、いろんな経験をさせたくて、毎日あちこちに出かけました。友人たちに『有休がある時は教えて』と一斉メールをして、休みの時に一緒に遊んでもらったこともあります」
カスミソウのことは、NPOが運営するカフェでチラシを見て知りました。
Yさん「カスミソウで東洋大の学生が外遊びやゲームで遊んでくれるイベントは、息子も大好きで毎月楽しみにしています。私も同じ境遇の保護者と知り合えて、心強く思います」
息子さんはカスミソウで親しくなったお友達が通っているフリースクールに興味を持ち、今では週5回、通うようになったと言います。今度のフリースクールは自由に過ごせる時間が多い上、ゲームの時間があることが気に入っているそう。
Yさん「ここ1年、息子は本当に落ち着いた様子で家庭での問題はほぼ無くなりました。自分でも『オレ、キレなくなったでしょ』と言います。息子の様子を見ていると、不登校になった時、無理やり連れて行かなくて本当に良かったと思います。勉強など心配な面もありますが、無理に登校させると二次障害のリスクもあると聞いたので、息子の気持ちに寄り添うことを決めました」
書くことには苦手意識がある息子さんですが、算数は得意で算数検定にもチャレンジしているそう。
Yさん「どんな生き方をしようが自分らしく楽しく生きてくれればいい。進学して学びたい事があれば応援しますが、『18歳以降は親元を離れて自立できるようにがんばって欲しい』と今から本人にも伝えています」
Yさんご夫婦も進学や就職の為18歳で親元を離れたそう。早くに自立したことは、親のありがたみを知り、社会で生きて行くことを実感する上でとても役立ったと言います。
息子さんの様子が落ち着いている今は、少しずつ働く時間を増やしてきたYさん。自分らしさも大切にしつつ、息子さんと全力で向き合ってきたのを感じました。
文・取材:hiromin(北区会員)
イラスト:ミナコーラ
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