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「学校とのやり取りで疲弊した日々。フリースクールが新たな居場所に」〜保護者インタビュー〜

自由登校を見守る会「カスミソウ」の会員である保護者へのインタビュー企画です。今回協力していただいたのは、高2・中1・小5と三人の息子さんがいるYさん。三人の中で長男・次男は小学生の途中から不登校が始まりました。現在はフリースクールに通っているそうです。不登校が始まった時や現在の状況についてお話を伺いました。 

長男・次男ともに保育園の頃から登園しぶり。小学校でも付き添い登校に 

市原市にお住まいのYさん。長男は保育園の頃から登園拒否して毎朝、泣いていたと言います。 

ーーー保育園の入園からずっと登園しぶりが続いていたのでしょうか? 
 
Yさん「2歳の時、優しい先生が担任の時はあまり泣かなかったんだけど、3歳で苦手な先生が担任になったら行きたくないと拒否していました。繊細で変化に弱いところがあったと思います」 
 
長男が4歳の時に次男を出産し、幼稚園に変更。仲の良いお友達もできて、時折嫌がることはありながらも、年中・年長と通うことができたと言います。 
 
ーーー小学校に入ってからはどうでした? 
 
Yさん「入学式は行けましたが、時々行きたくないと言いました。私の方も『学校は行かせなきゃ』という思いがあって、遅刻させて付き添い登校していました。週に1〜2回かな。3番目の子が生まれたタイミングで育休中だったので、赤ちゃんをおんぶしての付き添い登校です」 
 
ーーー次男くんは幼稚園に行けていました? 
 
Yさん「次男は最初から登園しぶりがあって先生も『泣いちゃダメだ』と高圧的に接するので余計嫌になってしまって。毎日、楽しそうじゃなくて。幼稚園を休んで長男の付き添い登校に連れていくこともありました」 

クラスでの嫌がらせをきっかけに長男が完全不登校に 

ーーー全く学校に行けなくなったのはいつ頃ですか? 
 
「1〜2年と付き添い登校をしていたのですが、3年生の時には仲が良い友達ができて、あまり休まず、楽しく通えていたんです。でも4年生の時にクラスで嫌がらせがあって。何人かの子がプリントをわざと乱暴に回して散らばらせたり、うちの子にだけ掃除をやらせて他の子が帰ってしまうことがあって」とYさん。 
 
5年のクラス替えでいじめていた子とは別のクラスになったものの、長男はもう学校自体が嫌になってしまっていたと言います。ちょうど次男が1年生で入学して登校しぶりが始まります。二人ともYさんが付き添い登校して何とか通っていたとのこと。 
 
Yさん「二人とも顔が死んでいたのに『何とか行こうよ』と毎朝長時間説得して付き添い登校を続けていましたが、その年の夏休み明けに私も限界を迎えて、フリースクールを探すことにしました」 

教頭先生とのやり取りで消耗。学校の理解がなかったことが一番辛かった

ーーー当時、一番困っていたことは何ですか? 
 
Yさん「教頭先生から、「遅刻の場合は毎朝学校に連絡してください」と言われていたので、毎朝決まった時間に学校に遅刻の連絡やお詫びをするのがとても辛かったです。教頭先生も担任も理解が全くなくて。『手のかかる困った親子だ』と思われていたと思います。教頭先生は否定することばかり言うので、毎日電話でバトルしていた感じ。自分の言いたいことを電話で伝えるのが難しかった時は、手紙を書いて送ったりもしました。『学校に来られないダメな親子』と毎日先生方に見下されているように感じていて、死にたい気持ちになったこともありました」

ーーースクールカウンセラーや特別支援の先生とは繋いでもらえました? 
 
Yさん「小学校にはスクールカウンセラーがいなくて中学校のスクールカウンセラーと2回ほど面談しました。でもあまり力にはなってもらえませんでした。特別支援の先生で学校の相談員をされている方がいて直接相談したいと言ったら、教頭先生から後日電話がかかってきて、『相談は、担任と学年主任が受けますから。相談員の先生は優しいからね』と繋いでくれませんでした」 
 
ーーー教頭先生は厳しいことが正しいと思っていたんですかね?優しいことの何が悪いのか、よくわからないですね。 
 
Yさん「教育センターに相談しに行った時も、後日教頭先生から『学校を通してもらわないと困ります』と言われて。そんなルールはないのに。教頭先生とのやり取りで疲れ切ってしまいました」 
 
その後、学校では校長先生との面談を設定してくれたそう。校長先生はご自身のお子さんが高校を中退した経験もあるとのことで、不登校に配慮してくださる雰囲気でしたが、その頃にはすでに子どもたちの学校への拒否感が大きく、学校に頼る機会はなかったと言います。

フリースクールが新たな子どもの居場所に 


子どもたちに学校に行こうと促しながら、付き添い登校を続けてきたYさん。長男5年生、次男1年生の7月、自身も限界を迎えてフリースクールを考え始めたと言います。 
 
Yさん「7月くらいに母が不登校の講演会のチラシを持ってきてくれ、話を聞きました。話していたのはフリースクールのスタッフで、元不登校だったという若者でした。経験者の話を聞いたのがきっかけとなり、夏休み明けの9月、子どもたちとフリースクールに見学に行ったんです」 
 
ーーーお子さんたちの反応はどうでした? 
 
Yさん「見学に行ったら子どもたちは『ここに通いたい!』と即決でした。10月から仕事に復帰予定だったので、平日はそのフリースクールに通うことにしました。学校は嫌がっていましたが、フリースクールには自分から通っています。行きたくて行ってることもあり、元気になったのを感じます」 
 
フリースクール見学の際、長男くんはスタッフさんが優しく安心できる場所だと感じたのだと言います。フリースクールに通い始めてからは、長男の家での様子も変わったそう。近所のお友達と遊んでいる時に『フリースクール通っているんだぜ。お母さんが学校行かないことを認めてくれたんだ』と嬉しそうに話していたこともあったとのこと。次男も気難しさが和らぎ、落ち着きを取り戻して行ったと言います。 

理解のない小学校とのやり取りでは、疲弊して死にたくなることもあったというYさん。「あのまま、無理に続けてお互いに苦しい環境に居続けるよりは、フリースクールに通わせる決断をして良かった」と言います。

ーーー今の悩みはありますか? 
 
Yさん「フリースクールは1ヶ月3.6万円でそれが二人分。交通費もかかるのでお金の面ですね。長男は公立の通信制高校に進学しましたが、フリースクールも続けています。また、長男は小5から、次男は小1から学校に行っていません。塾に通っていた時期もありましたが、義務教育期間の勉強を十分にしてこなかったことで、将来的に何か問題が出てくるかなと、私は少し心配しています」
 
 お金の面と将来の面で少し不安は残るとYさん。それでも、今はお子さんたちの学校も理解があり、フリースクールに通っていることに対して、周囲も理解してくれていると感じると言います。
また、長男は 高2になり、早朝に映画館の清掃のアルバイトを始め、バイト先の年配の方々と上手くやっているそうです。

Yさん「うちの息子達は一般的なルートとして小中学校は通れなかった。これからも回り道をしたり、道に迷ったり、引き返したりすることもあると思いますが、これからも自分らしくいられるために、自分だけのオリジナルな道を進んでくれればいいなと思っています」
 
心配はありつつも、息子さんたちに自分らしさを大事にしてこれからも歩んでいって欲しいとのこと。悩みはありつつも穏やかに過ごせている様子でした。

文:hiromin(北区メンバー)
取材:小暮
イラスト:ミナコーラ


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