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【読書日記】結婚とわたし/山内マリコ


\めざすは“家庭内”男女平等/
家事分担どうする? さぁ、腹を割って話し合おう!
「結婚」の幻想をブチ破る、レジスタンス・日記エッセイ。

同棲生活を経て34歳で結婚した著者は、パートナーが家事を3倍にするモンスターなのに絶望し、家庭内男女平等をめざす。春闘を起こして家事分担を叫び、フェミニズム教育に励んだ果てに、夫と親友のような関係を築くことはできるのか? 結婚の欺瞞と幻想を打ち砕く、日記エッセイ5年分。
単行本未収録&後日談を150頁以上増補した、ちくま文庫でしか読めない完全版!

出版社より

小説家でエッセイストの山内マリコさんが、結婚前の同棲期間と結婚後の生活を綴ったエッセイ。
「家庭内男女平等」を目指す描写が面白い。面白すぎる。

私も結婚の経験はないが、同棲ならかつて経験したことがある。
楽しかった時の記憶はないが、嫌だったことは未だにしっかり覚えている。

私の方がきれい好きで、元カレは部屋がどんなに汚かろうが何とも思わないタイプ。当然部屋の掃除をするのは私。そして私の方が仕事が早く終わるので、夜ご飯を用意するのも私。料理のお礼に皿洗いをしてくれるタイプでもなく、皿洗いをするのも私。
共にフルタイムで働いているはずなのに、家事はほとんど私が担っていた。

そしてその状況に限界を迎えた私が、日頃の不平不満を口に出し始めると途端に心のシャッターを下ろす元カレ。ケンカ、というか話し合いがしたいだけなのに、黙りこくるので話し合いにならず、というか話し合いすら拒否されている感じで余計に腹が立ってくる。
更に引越しの手配や旅行の手配もこちらに丸投げ。普段のデートも「どこでも良い」とか、考えることを放棄している!
しょうがない、熱量があるほうがやるしかない。っていうかなんでお前は熱量無いんだと、これまた腹立たしいったらない。

そういう同棲時の(悲惨な)光景がありありと思い出された、終始共感しかないエッセイだった。

誰もが経験するような、本当に普段の家庭内の男女の話だったが、それを面白く書けるのがさすが作家さんだなと感服。

そして私の元カレだけじゃなかった。男ってみんなこうなんだなと、諦めというか悟りを開いたような気持ちに。男って本当に家事しないし気が利かない。女性には理解しがたいレベルで気が利かない。

夫はわたしに、好き勝手させてくれるという意味ではとても優しいけれど、ホスピタリティという面ではまったく優しくないのであった。

本文より

まさにそう・・・。
前者の優しさを持つ日本人男性は割といると思うけど、後者まで兼ね備えた男性はどれほどいるのだろう。
そんな希少種な男性がいれば、私も結婚したい。

山内マリコさんは夫にフェミニズム教育を行っていて、家庭内でも度々家事分担を巡り「春闘」をされている。

私は大学でフェミニズムに関する授業を受けていたこともあり、うんうんと頷きながら読み進んでいたが、そういう教育を受けたことがない方には、自分が女性差別をしている、もしくは受けているという自覚がないこともある。
あとがきにも書かれていたが、フェミニズムの入口になるような内容なので、是非男女問わず読んで欲しい。
私も結婚した暁にはパートナーにフェミニズム教育をせねばと心に誓った。

それにエッセイ自体はフェミニズムをごりごりに出している訳ではないので、単純に読んでいて楽しい!
私もこんな風に文章を書く才能が欲しかった!


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