「信長の覇道Online~現代にタイムスリップしてきたノブナガはどうしても天下統一っぽいことがしたくてVRゲーム廃人になる~」第2話 信長との初デート
一瞬死んで降り立った恐山の山頂には黒い炎を纏っている鳥が一匹いた。
『なんすか?』
物凄く巨大で、一度触れてしまえば消えることはない黒炎を纏った鳥が羽ばたいておった。
『マジかよ。普通ここまでくる?怠いわ~』
「ノブナガ~。『火之迦具土神』がちょっとイメージと違うんだけど~」
「、、、大体こういうのはイメージと違うもんだ」
「マジ!?じゃあ私はこの若干イラっとする鳥と契約を結ばないといけないの?」
「しゃーないだろ。というかどうせ鳥なんだ。基本的にイラつくだろ」
「ホトトギス殺す派の人だもんね」
『なに勝手に俺を使役する流れになってんの?笑えるんだけど』
「殺してしまおう。火之迦具土神」
「殺したらダメなんじゃね?式神にするんだから・・・」
『いいからさっさとかかって来いよ』
「焼き鳥の癖に生意気な」
そこからのノブナガはえぐかった。
敵の特化した部分にバフをかけまくって制御できないほどに特化させ、ステータス的に最も低い部分にデバフをかけ続けてその数値を1にする。
制御できない力は自らに牙をむくし、さらに一つでもステータスが1になれば生き物としておかしくなる。
つまり火之迦具土神は自分の炎で焼かれ、さらにLUKの数値が1にされてしまったので何をやってもうまくいかない。そしてそんな悲惨な火之迦具土神に追い打ちをかけるようにマウント状態でタコ殴りにしているノブナガ。
うん、えぐい。
『ちょ、もうギブギブ!』
「まだ言葉遣いが悪いな」
『もう配下になるんで勘弁してくださいよ!はい、調伏された。されましたー!!!』
火之迦具土神は両腕を上げて降伏の意思を示す。だがうちのノブナガさんはそんなことでは折れやしない。え、折れやしないの?マジかよ。
「おい、クソカラス。契約ごときじゃダメなんだよ。お前は俺に絶対逆らえなくなるまで徹底的に躾けてやる。所詮生き物を縛るのは絶対的な契約でも強く結んだ絆でもない。恐怖だ。体に染みついた恐怖。足が震え、一瞬で全身が冷え切り、言葉を話すことも出来なくなるぐらいに刷り込んだ恐怖だ。さあ始めよう。そのための作業をこれから始める」
『え?ちょっと旦那?俺もう降参してるんですけど?』
「どう考えてもお前の方がランより強い。かなり。相当。だからそんなクソ弱いランの配下にさせるためには、俺がお前を調伏の向こう側まで行くしかない。そして終わったらポン!っとランに渡す」
『えぇ!?ちょっと言ってること意味わかんない』
「意味が分かる必要なんてないんだよ」
『うそ!マジ!?ぎゃあああああ!!!!』
そこから火之迦具土神は私でも時折目を瞑るレベルの責め苦を受ける。
「はははは!もっと鳴いて見せろ!ホトトギス!」
『いや、自分カラスよりっす!』
「口答えしてんじゃねぇ!」
『すんませーん!』
そんな感じでまあ火之迦具土神はノブナガにボコボコにされ続けた。
「はぁ、はぁ。で、どうするお前」
『、、、従います』
「ああん?」
『ちゅ、忠誠を誓います!』
「それでいい。だが俺は陰陽師じゃない。お前はランの式神になれ」
『・・・』
火之迦具土神が私をめっちゃ見てる。
『マジすか?』
「ああん!?文句でもあんのか!?」
『いや、一切ないっす!』
こうして火之迦具土神が私の式神になった。私何もしてないけど。
・・・まあいっか。
と、こんな感じで私めちゃめちゃ強くなりました。
*
「私も強くなったしいよいよ蝦夷に入る感じ?」
「そうだな。この地帯の情報も十分とれた。そろそろ行くとするか」
「じゃあここで一旦気を引き締める必要があるよね!」
「まあこれから未開の地に入っていくんだからな」
「でしょでしょ!それじゃあ明日は私と遊びに行こ!」
「遊びに、、、行く、、、!?」
「そう!ノブナガも家にずっとこもってないで外に出た方がいい!」
「でも俺の戦場はこのゲームの中だし、単純に外に行くの怠い」
「言うこと一つ何でも聞くって言った。にゅふふ」
「、、、そういえばそうだった」
「にゅふふふ。じゃあ明日は一日空けといてね!」
「わかった、、、でも、その笑い方クソキモいからやめた方がいいぞ」
「むきー!うるさい!」
「そのむきー!っていうのもそこそこキモいぞ」
「むきー!だまらっしゃい!とにかくノブナガは明日の準備をして早く寝なさい!明日はアクティブに動きまくるからね!」
「準備といわれてもな。それにアクティブに動くって余計怠そうなんだけど」
「いいから早く寝る!明日はお出かけなんだからね!天下人たるもの今の東京を知らずしてどうするの!」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はいはいはい」
ということで明日はノブナガとのデートとなったのだ。にゅふふふ。
*
私のデートプランの朝は早い。
まずは4:30起床。
「おい!4;30だぞ!店なんかどこもやってないだろ!」
「店なんてどうでもいいのよ!デートと言えばまずは日の出鑑賞からでしょ!」
「はぁ!?お前山でも登る気か!?てかお前の中のデートって一体どうなってんだ?」
「質問が多い!そしていきなり山なんて登れるわけない!山舐めてんの!?自然舐めてんの!?」
「悪い悪い。舐めてないから。で、どこで日の出を見るんだ?」
「裏の河川敷に行くのだ!」
「あぁ、そう」
私たちは河川敷で日の出に感動。
「ね?感動したでしょ?でしょでしょ?」
「、、、」
「でしょ!」
「うん、したした」
信長はあまりの感動に言葉も出ない様である。
「よし!それじゃあ次行くよ!」
「次?」
ランちゃんのデートプランはまだ始まったばかり。私たちは一度部屋に戻る。
そして私は昨日の夜から煮込んでいた鍋のふたを開ける。
もうすぐ5:30。お腹が空く頃でしょう。つまり朝食。
「どうぞ召し上がれ!」
「これは?」
「よくぞ聞いてくれました!信長!これが長時間煮込んだけんちん汁です!」
「なぜにけんちん汁?」
「だって美味しくて健康にもいいから」
「たしかにうまいけども」
「でしょ!?あ、ご飯もどうぞ!」
信長もけんちん汁の美味しさには抗えなかったようで、何杯もお替りしご飯もおかわりした。
「はぁ、食った食った。腹いっぱい!」
「よし!じゃあお腹も膨れたところで一旦寝ます」
「はぁ!?なんで?」
「だって今から出かけてもどこもやってないじゃん。今日は遊園地に行くので8時に家を出ます!それまで各自睡眠!一旦解散!」
「いやそれなら寝た後に朝食でよかっただろ!」
「お腹空いてたら眠れないでしょ!」
「満腹でも寝れんわ!」
「それに寝坊して朝食を食べ損ねたら大変でしょ。それなら先に食べといた方が安心!私ってばしっかり者!」
「どんだけ朝食大事にしてるんだよ」
「ちゃんと食べとかないと思いっきり遊べないもん!それに睡眠不足でもだよ!」
「いや、お前が起こしたんだろーが!」
「細かいこと気にしない!さあ寝る寝る!」
*
―7時45分
「さあ信長起きて起きてー!」
ランに起こされる。今日もうすでに二度目だ。
ランは本当に元気がいい。バカだが。かなりのバカだが。いやむしろバカだからなのか。
今日はデートということで更に輪をかけて元気だ。俺たちは電車とバスを乗り継いでテーマパークに到着する。
「着いたー!!!東京モルモットランドー!!!」
「すごいな、ここ」
さすがに感心した。俺の安土城よりも派手だ。次に城建てるときはこんな感じにしよ。
「どうしたの?信長」
「ちょっと悔しくて」
「なに言ってんの!早く行くよ!モルモットたちは待ってくれないんだから!」
ランに手を引かれランドの中へと入っていく。
そこからはランのモルモットランド必勝ルートとやらを回った。
まずはスペー〇・マウンテン的な何かから始まり、ミッ〇ーのフィルハーマジック的な何かを経由してグラ〇マ・サラのキッチン的なところで昼食をとった。
「どうよ!信長!美味しいでしょ!」
「うっま!」
俺らはとりあえず派手なオムライスを食べた。ぶっちゃけ天下獲ってた。
「こっから後半戦行くよー!」
後半戦はスプラ〇シュ・マウンテン的ななにかに乗り、バズ・ライ〇イヤーのアストロブラスター的な何かで撃ちまくった。やっぱり鉄砲的な何かはテンション上がる。
グレートア〇リカン・ワッフルカンパニー的なところで甘い物を食べて、ジャングルクルー〇的な何かでジャングルを探検。
ランはワールド的なバザールで大学の友達たちにおみやげを買い、最後にビッグサン〇ー・マウンテン的な鉱山列車に飛び乗った。
堪能しまくった俺たちは最後に二人で花火を見る。
「どうだった?信長。外で遊ぶのも楽しいでしょ?」
そう言ってランは満面の笑みで俺の顔を覗き込んできた。なんか微妙にイラっとする笑顔だったが、楽しかったのは本当だ。
「ああ、確かにまた来たいな」
「よし!またすぐ来よう!何なら明日にでも来よう!」
「いやそれはさすがにない」
「まあ明日は冗談だとして、これからも天下取りしながら色んなとこ遊びに行こうね!」
今の笑顔はまあまあ可愛かった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?