怖かった話

あれは大学3年生の時だった。
俺は学生寮にいて、その時は4人部屋だった。
二段ベッドが2つに机が4脚、箪笥が2竿。それにあとは私物。

その時同期のSと同じ部屋だった。
ある夜、月明かりが眩しい日だった。
俺は24:00くらいに寝ていたが、何やら物音で目を覚ました。
月明かりの中見えたのは、包丁を砥石で研いでいるSの姿だった。
なぜ、よりによって真夜中に?
就寝時間だから、部屋の灯りは消してある。机のスタンドも点けていない。カーテンを開けて、月明かりだけで、Sは包丁を研いでいたのだ。
砥石と擦れる音だけがしていた。
月の明かりはそんなに強くはないが、包丁が怪しく光っていた。
やばたにえん!
これは怖すぎる。

さらに研ぎ終わると、Sは小刀を箪笥に立てかけた木の板に投げつけていた。
ちゃんと刺さった時はいい。たまに板に弾かれて、小刀が飛んで行くのだ。
これも怖すぎる。

俺以外にも起きた人はいたかも知れない。
だが誰もSには声はかけずに、寝たふりをしていたのだった。

山姥を想像させる怖い話だった。

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