「現役コーチが社内勉強会で伝えた、1on1に活かしたいコーチングTips」
皆様はじめまして。株式会社ZENKIGENの岡田(まー)と申します。
「revii (リービー)」というプロダクトを通して、世界中に最高のチームを増やすということにチャレンジしています。
ZENKIGENに入社する前から、個人事業でライフコーチングをしております。対話を通じ、個々人のチャレンジを支援し続けてきました。今回のnoteでは、こんな経歴から「社内で何かコーチング勉強会を!」とチャンスを頂いて実施した勉強会でお伝えした事柄をご紹介します。
1.伝えたかったこと
今回の勉強会の目的を「明日からの1on1に活かせる要素を見つけて、持ち帰って頂くこと」に定めて、マネージャー/メンバー問わずご参加頂きました。
「本音で話せる場を一緒につくる」
今回はこれをテーマにしました。どちらか一方だけの努力ではなく「一緒に」場をつくることを意識頂いて、関係性を築いていって欲しいという願いからです。
1on1を実践されている方々のお話を聴いていてよく耳にするのが「何をどこまで話していいかわからない」「目的がよくわからず雑談に終止してしまう」「情報の確認に留まってしまって報連相と変わらない」といったお声。
「1on1はメンバーのための時間」と言われますが、何を目指したらよいかイマイチわからない。コーチングの観点から、ということで「メンバーの気付きと行動を促す」ことにフォーカスしたコンテンツに。
前半25分でTipsをお伝えし、後半は15分の公開コーチング。ゲストに一人ご協力いただきまして、前段でお伝えした内容をふまえ対話の様子を見てもらいながら気付きのコメントを頂く形式としました。最後に「明日から実践したい気付き」を参加者の方々に声にだして頂きました。
2.メンバーに持ち帰ってほしかったこと
メンバー向けには、2つの挑戦してほしいこと、を掲げました。
1 本音で話す
2 沈黙をおそれない
1 本音で話す
これは「マネージャーが何でも知っておきたいから、正確な話をして欲しい」ということではなくて。メンバー自身の「気付きと行動」の促進にあたって、効用があるからです。
生物学の概念に、「オートクライン効果」と呼ばれるものがあります。たとえば細胞Aと細胞Bがあるとき、細胞Bに変化して欲しい細胞Aが「変わってくれ〜!」といった情報を(酵素などを通じて)投げかけます。これを受け取った細胞Bに変化が起こるのですが、このとき、細胞A自身も自分の発した情報を自分で受け取って変化することがあるんですね。
人が「気付く」メカニズムもこれに通ずるところがあって。自分が話していることを自分で聴いて、「あ。こんなことを思っていたんだ。」「こんな風に感じていたんだ。」と気付いていく。このとき、建前のことをいくら話しても仕方ないんですね。
他者から投げかけられる、自分にとっては盲点になってしまっている問に本音で答えていくから、柔軟な発想や行動に繋がる気付きに繋がっていきます。本音で話すのは、自分のためなんですね。
🗣【参加者の声】「自分の本音の聴き方を学んでもらうこと」「本音」がキーワードで、相手が喜ぶことを話してしまう癖が自分にはあるのでどきりとしました。
2 沈黙をおそれない
もう一つ大切なことが、質問に答えるにあたって沈黙をおそれないこと。答えづらい質問、考えたことのない質問を投げかけられたとき、考えるための時間が生じると思います。このとき、沈黙を恐れて間を埋めるように「わかりません」と切ってしまうと、内省が深まらないんですね。
これはメンバーだけが向き合うことではなく、「じっくり内省するための時間を歓迎しよう」「待ってもらえることを信じよう」と、両者ともに場づくりに臨むことが大切です。
立ち止まって内省し、自分の中に深く潜れる時間を持てることで、気付きに繋がっていきます。
🗣【参加者の声】
普段「沈黙」がすごく苦手で、早く話さないと、とその場で思ったことを口にしてしまうのですが、「沈黙がOK」という心構えを持っていいんだ、と一番嬉しい気づきになったかもしれないです。
今後は沈黙を恐れず、しっかり考えて1on1したいなと思いました。
3.マネージャーに持ち帰ってほしかったこと
マネージャー向けには、スキル的なことにも触れながら3点、挑戦して欲しいことを掲げました。
1 聴く
2 問う
3 観て、伝える(フィードバック)
1 聴く
「傾聴の目的って、なんだと思いますか?」
チャット欄に投げかけて、様々な回答を頂きました。
・相手を知る
・メンバーが安心して話せる場を作る
・相手を理解する
・相手を安心させる?
・相手の思考を整理する
・あなたのことを知りたい、と伝える
・理解して、さらに引き出す
・相手の本心を話してもらうため
・自己開示するための雰囲気作り
・相手に向き合う
このnoteをお読み頂いているあなたは、どう思いますか?ちょっと考えてみて下さい。
今回の勉強会では、傾聴の目的を「相手に自分の本音の聴き方を学んでもらうこと」と説明させて頂きました。これは、心理学者カール・ロジャーズの言葉から。
1on1の場では、メンバーが感じていることや考え方を「聴いて」、マネージャーが相手への理解を深める、という要素も当然あるのですが、今回はより「本音を話せる場を一緒につくる」ことに照らして、この目的の置き方としました。
「聴いてもらえている」と感じてもらうにはどうしたらよいか?自分はどんなときに「聴いてもらえている」と感じられたか。そんなことに想いをはせながら、実践してみて頂きたいなと思います。
🗣【参加者の声】
・他人がしている「傾聴」という行為を間近にみて、想像している様子と違った。人のをみて自分は「傾聴」ということをまったくできていないのだとよくわかった。
・岡田さんの「傾聴」シーンをイメージして、1on1のやり方を見直したい。
2 盲点にあることを、問う
質問って色々な種類があります。
問う側・問われる側、その答えを知っている・知らないで分けて、ちょっと質問の種類を整理してみました。
コーチングでは右下の象限に属する質問をします。
「今この瞬間の気持ちを天気に喩えるなら?」
といった、感情と比喩を組み合わせた問なんかが特徴的だなと思います。気付きを促すための1on1では「何をしたか」「何が課題か」といった事柄に着目しすぎず、「そのとき何を感じていたか」「そのプロセスの背景にはどんな想いがあったのか」といった感情・考え方にフォーカスしていきます。
質問を投げかける際の観点として、意識してみて下さい。
🗣【参加者の声】
・お客さんとのコミュニケーションで成果に向かって話すことが多いけれど、「どんな気持ちか」を聞いてどうなりたいのか寄り添ってそして引き出して関係性を築いていきたいと思いました。
3 表情や声のトーンを観て、伝える
話している内容だけに囚われすぎず、話している様子にも着目してみよう、というお話です。これは(意識的/無意識的問わず)「メンバーが本音で話せているかどうか」にも関わってくる観点だなと思っています。
例えば「将来キャリア」をテーマに「やりたいこと」をメンバーが話している場面を想像してみてください。話している内容は「こんなことをやってみたい」「チャレンジしたい」「楽しみだ」と言っているけれど、表情をみると仏頂面で、声のトーンは固く、やたら早口で喋っていたら。何か違和感あるなぁと感じませんか?
マネージャー/メンバーの関係性でよく起こりがちなのが、メンバーが回答にあたって「正解探し」をしてしまうということ。「会社が求めている答えはコレに違いない…」という思考を経て喋っていることって少なくないと思うんです。そして、自身の本音と繋がってないからイマイチ実効性があがらないという…。
翻って、メンバーが自身の本音に気付き、「こんな挑戦を是非したい!」と生き生きとして語れていたら、日々の業務への取り組み方も変わっていきます。「本音で喋れているんだっけ?」に気付いてもらうために、マネージャーは表情や声のトーンなどのフィードバックを通じ、メタ的な視点をメンバーに届ける事ができます。
🗣【参加者の声】
・表情を伝えるのは自分でもできるかと思いました。
・コーチが受けた違和感のFBも大事なのかも。
4.実践と振り返り
コミュニケーションは身体感覚的なものでもあり、実践を繰り返しながら経験的な学習をしていくことが大切だなと実感しています。うまくいかないこと、失敗することもたくさんありますが、色んな人と関わる中で次第に感覚が掴めてくるものだなと。
とはいえ、1on1ってブラックボックスだし、どんなコミュニケーションをとったかって覚えているのは難しいし、何をどう内省したらいいのか、材料がなくて途方にくれるなぁと思います。
僕らが提供しているプロダクト「revii(リービー)」は、そんな課題に寄り添うことができます。
1on1をやって頂いた様子をAIが解析して、マネージャーがどれだけ傾聴行動ができていたかだったり、メンバーがどれだけ安心して話せていたかだったり、発話比率だったりを指標化してくれます。
また、これらの場づくりを通じてメンバーがどれだけ「積極的・開放的」に話すことが出来ていたか、ということも可視化されます。マネージャー自身が対人支援の学びを実践した「結果」、どれだけ身についてきたのかを振り返る材料があれば、実践し続けていくモチベーションも高まっていきます。
対話を通じ、「もっと活躍したい」「もっと活躍させてあげたい」と願う皆さまが、学びを成果に繋げていく挑戦を、ぜひご一緒させて頂けたら嬉しいです!