「書き出し」で釣りあげろ(レス・エジャートン著、倉科顕司・佐藤弥生・茂木靖枝訳、フィルムアート社、2021年)の読了記事にて、テクニックの解説には大変納得したけれど紹介されている作例があまり好みではかった書きました。
じゃあどんなのが好きなのか。
ということで今回は私がまんまと釣りあげられた作品の書き出しを紹介していきます。
19歳、デビュー作!?
読んだのは17歳のときだった。敵わねーーーーと心底思った。
以上の4つは先が気になるタイプの書き出し。
『うたかたの日々』のは厳密には一文目ではないけれど。
私は1ページ目にあるこの文にまんまと釣りあげられて、そして読み切りました。
平家物語やホメロスもそうなんですけど、吟遊詩人の語りのような「これからこういう話をしますよ」という導入の語りがすごく好きです。あまりに古風なので現代の創作論では勧められないでしょうけど。
こうして並べてみると、レス・エジャートンの言う「良い書き出し」とは必ずしも一致しない。けれども「これはやめとけ」という書き出しは見事に外していた。創作論に振り回されず、自分の思い入れのある作品に照らして、どんな文章を書きたいかよくよく考える作業が必要とされるのだと思った。
いずれにせよこうした創作論は「知らない」のと「知ってるけど従わない」のでは大きな違いがある。単純に興味深くもあるし、本を読む時に分析する新たな視点が得られるのも楽しい。
2024.6.17