種蒔き作業に勤しむ
1年を通して、とても些細なチャレンジを、時々やってみることにしている。日常に追われて、なかなか出来なかったやりたかったことを主に。
例えば、絵を描くこと。行われているイラストの公募に、たまにひっそりと応募したりもする。
素人なので、私には絵はがきサイズくらいが丁度。少しずつ完成していく過程が、とても楽しい。
それから、絵本を一冊作ってみたり。
試行錯誤しながら完成を目標に、これもなんとかクリアできた。
工程の多さに「あー、もう無理だ。」と思う時に限って、ここで諦めて大丈夫?
方向性がちょっと違う、私のもったいない精神がひょっこり顔を出して、そのおかげで完成できて良かった。
興味のあった講習にも、参加してみよう。
これだけ高齢化の波が押し寄せているなら、私にもできることが、何か一つくらいきっとある。
介護の現状や、知識を少しでも得たい。
講師の先生方は、現役でお仕事をされている人ばかり。それはもう、視界がパリン!と音を立てて開けたような、私にとってはそのくらい衝撃的な学びだった。
そういえば、草刈り機も使えるようになりたいんだった。自宅の庭なら使えるけれど、公的な場で使うには、きちんと安全衛生講習を受けていたほうがいい。曾祖父の田植えの準備もある。ちょっとでも力になれるかな。
座学と実技、これもまた学ぶことが多く、とても楽しかった。
学びたい・知らない世界を見てみたい・出来ることを増やしたい気持ちが、歳を重ねる度に大きく膨らんでいる。だから破裂しないよう、時々セーブしつつ、落ち着いて取捨選択をすることの大切さも、ひしひしと感じるようになった。
こうやって、時折小さなチャレンジをすることは、種を撒く感覚と似ている。
土に種を撒いて、優しく土を被せる。水を与えてから、また日常に戻る。前を向いて歩く毎日のなかで、ある日ふと振り返ると、いつの間にか芽が出ているような。
たまに小さな花を咲かせて、自分だけじゃなく、周りの人も嬉しそうだったりすると、「やっぱりあの時、種を撒いてて良かった。」と心から思う。嬉しくて幸せでたまらない。
だから私は、種蒔き作業に勤しむ。
忙しくても、せっせせっせと種を撒く。
芽が出ても出なかったとしても、いつもわくわくしながら種を撒いている。